オール電化
2023/09/28
10月からどのくらい電気代が上がるのか?政府が実施している負担軽減措置の縮小について解説!
2023年8月30日、大手電力会社10社は10月請求分(9月使用分)の家庭向け電気料金を発表しました。これによると平均的な使用量の電気代は642円から1,024円高くなります。その原因は政府が同年2月から実施していた負担緩和措置を9月使用分から縮小したからです。
今回は電気料金の決まり方や2023年に電気料金が急騰した理由、政府が2023年2月から実施した負担緩和措置の内容、10月からの負担緩和措置の縮小、電気代を節約する方法について解説します。
電気料金の決まり方
2016年4月以前、一般家庭の電力料金は国によって決められていました。これを規制料金といいます。2016年4月に電力の小売り全面自由化が実施され、電力会社が独自の料金プランを設定できるようになりました。電力自由化以後、以下のように電気料金が決定するようになります。
- 基本料金+電力量料金+再エネ賦課金
電力量料金は2つのパートから成り立ちます。1つ目のパートが電力使用量に応じた従量単価です。電力単価と1ヶ月の使用電力量を掛け合わせて算出します。2つ目のパートが燃料費調整単価です。天然ガスや石油などのエネルギー資源の価格や為替レートなどを電気代に反映させます。こちらも電気使用量に応じて増減されます。
再エネ賦課金は再生可能エネルギーの普及促進のため電力料金に上乗せされているものです。2022年までは年々増加していましたが、電力価格の高騰などの影響で2023年にはじめて下落し、1kWhあたり1.40円となりました。
電気料金が高騰したのはなぜ?
2022年は電気代が急騰したことで話題となりました。実際、燃料価格を電気代に反映する燃料費調整額は増加の一途をたどり、電気料金を押し上げました。なぜ、このようなことが起きたのでしょう。電気料金高騰の理由を探ります。
ウクライナ戦争の影響
2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した影響で、天然ガス市場が大きく混乱しました。これまでロシアから天然ガスを輸入していたヨーロッパ諸国はロシア以外からの輸入を増やそうとしたため、天然ガス価格が高騰します。
天然ガスは日本で主力となっている火力発電のエネルギー源であることから、天然ガス価格の高騰は電気代の上昇に直結します。
円安による影響
2022年は記録的な円高が進行した年でした。2022年1月から2月にかけての円相場は1ドル115円近辺でした。しかし、3月に入ると急速な円安が進行します。そして、同年10月には1ドル150円という32年ぶりの円安水準となったのです。
円安の理由は様々ありますが、最も大きいのは日本と欧米諸国の金利差です。欧米諸国はインフレを抑え込むため政策金利を一気に引き上げました。2022年1月には0.50%だった政策金利は急ピッチで上昇し、同年10月には4.50%となりました。その後も金利引き上げが続き、2023年8月の段階で5.50%に達しています。
円安が進むと日本円の価値が下落します。その結果、輸入品の価格が全般的に上昇するのです。日本は火力発電に大きく依存しているため、天然ガスや石油・石炭などのエネルギー資源の価格が上昇すれば、ダイレクトに電気代などのエネルギー価格も上昇します。
電気供給量の不足
電力不足も電気代高騰の理由となります。2011年の東日本大震災により原子力発電所が運転停止に追い込まれました。これまで原子力発電に頼っていた分の電力が不足するため、日本は慢性的な電力不足に悩まされるようになります。
再生可能エネルギーの割合が徐々に増えていますが、原子力発電所停止による不足分を完全に補っているとはいいがたい状況です。電力事情がひっ迫すると、政府は企業や一般家庭に対して節電を要請します。2022年の節電要請は7月と12月に行われました。電力供給が不足する状況が続けば、電気代が高止まりする要因となるでしょう。
政府による負担緩和措置
2022年の電気代・ガス代の高騰を受け、政府は家庭の負担を緩和するための措置を実施しています。負担緩和措置の内容についてみてみましょう。
電気・ガス料金の補助を実施
2022年の秋から冬にかけて、ウクライナ侵攻や急速な円安に伴い、電気代・ガス代が値上がりし続けていました。政府は総合経済対策の一環として「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を実施しました。
電気代の補助対象は低圧契約をしている一般家庭と企業と高圧契約をしている企業が対象です。対策内容は電気やガスの使用量に応じて料金を値引きするものです。電気料金の値下げは以下のとおりです。
契約内容 | 値下げ | |
---|---|---|
電気代 | 低圧 | 1kWhあたり7円の値下げ |
高圧 | 1kWhあたり3.5円の値下げ |
事業者支援のため手続き不要
政府は電気やガスの小売事業者に対し、値引き分の原資を補助金として支出します。2023年1月以降の使用分(2月以降の請求分)が対象となります。事業者に対する補助ですので、消費者である個人や事業主が申請する必要はありません。
10月に電気代が値上がりする理由
政府による電気代の補助で電気料金は値下がりしました。しかし、最初に述べたように大手電力10社は2023年10月から電気代を値上げすると発表しています。なぜ、電気料金が値上がりしてしまうのでしょうか。
負担軽減措置が縮小するから
最大の要因は政府による負担軽減措置が縮小するからです。2023年1月に導入された負担軽減措置は同年9月まで満額で実施されます。翌月である10月には補助金額が半減、具体的には2023年10月から補助金が1kWhあたり3.5円(高圧は1.8円)に圧縮され、10月にはゼロになる予定でした。電力各社はそれを見越し、10月からの電気代値上げを発表したのです。
負担軽減措置の縮小でどのくらい家計の負担が増えるか
負担軽減措置が縮小したことで、家計負担がどのくらい増えるのでしょうか。日本経済新聞に掲載されていたデータをもとに家計の負担増を見てみます。
電力会社 | 電気料金 | 前月比 |
---|---|---|
北海道電力 | 8,373円 | +674円 |
東北電力 | 7,641円 | +741円 |
東京電力 | 7,573円 | +777円 |
中部電力 | 7,181円 | +782円 |
北陸電力 | 6,763円 | +642円 |
関西電力 | 6,146円 | +910円 |
中国電力 | 7,434円 | +684円 |
四国電力 | 7,425円 | +748円 |
九州電力 | 6,126円 | +875円 |
沖縄電力 | 8,204円 | +1,024円 |
参考:日本経済新聞
使用する電力量や各電力会社ごとの固有の事情があるため一律での値上げではありませんが、全ての電力会社が値上げしているとわかります。負担軽減措置が予定通り終了した場合、さらに負担額が増大します。
軽減措置は縮小した状態で12月末まで延長
電気代が当初の想定よりも高止まりしている事態を受け、政府は負担軽減措置を12月末まで延長すると決定しました。しかし、2024年1月以降も措置を継続するかは不透明です。政府が補助を打ち切った場合、来年1月から電気料金が値上げされてしまいます。
どうすれば電気代を節約できる?
電気代高騰の原因となっているウクライナ戦争や円安が、今後どうなるのか全く予測できません。今後数年は対外的な要因でエネルギー価格が乱高下する可能性があります。国際情勢に関与できない私たちはどうやって電気代を節約すればよいのでしょうか。ここでは、私たちにもできる電気代節約の方法を考えます。
電力会社や料金プランを見直す
真っ先に検討するべきは電力会社や料金プランの見直しです。2022年12月に電気代が高騰したときは、一部の新電力会社で大幅に電気代が値上がりしました。電力料金が上がった理由は「燃料費調整額」が上昇したからです。
大手電力会社には国が電気料金を認可する規制料金という仕組みがあります。規制料金は認可があるまで値上げも値下げもできません。したがって、燃料費が高騰したからといってすぐに値上げできないのです。
2022年のように電気代が急激に上昇するようなケースでは燃料費の上昇がすぐに反映される自由料金より値上げしにくい規制料金のほうが負担が軽くなります。安定した価格を希望するなら規制料金を、価格変動が大きくても値下げ時のメリットを得たいのであれば自由料金を選択したほうがよいでしょう。
太陽光発電や蓄電池を活用する
電気代の変動による影響を最小限にするため、太陽光発電や蓄電池を購入する方法があります。太陽光発電で生み出した電力を自家消費すれば、電力会社から電気を買わずに済みます。その分だけ、電気代を安く抑えることができるでしょう。
太陽光発電を活用するメリットはもう一つあります。自家発電の電力を使用すると電気料金に含まれる再エネ賦課金を支払わずに済むからです。2012年に始まった再エネ賦課金の負担は決して軽いものではありません。それを支払わずに済むメリットはかなり大きいといえるでしょう。
これに加え、蓄電池を導入すればさらなるコストダウンがはかれます。通常、自家消費量を超えた電力は電力会社に売電されます。しかし、売電価格は年々低下しているため、余剰電力を蓄電池に充電して夜に使った方が電気代削減につなげられます。
まとめ
今回は10月からの電気料金値上げと政府による負担軽減措置について解説しました。値上げ幅は電力会社によって異なりますが、600円から1,000円の負担増が見込まれています。値上げの理由は政府が実施していた負担軽減措置の規模が半分に縮小するからです。
昨今の電気代の高止まりを受け、政府は負担軽減措置を2023年12月まで継続することとしました。といっても、いつまでも措置が継続するわけではありません。
電気代削減のために私たちができることは、太陽光発電設備や蓄電池を導入し、電力の自家消費を進めることです。エコ突撃隊では太陽光発電設備や蓄電池、エコキュートなどの省エネ設備を多数扱っています。
太陽光発電設備や蓄電池、エコキュートの導入を検討しているのであれば、ぜひ一度、エコ突撃隊にお問い合わせ下さい。
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