オール電化
2025/03/12
エコキュートの内部構造ってどうなっているの?メーカーの違いもわかりやすく解説
エコキュートはヒートポンプ技術を用いる貯湯式給湯器のため、一般的なガス給湯器に比べて内部構造が複雑です。そのため、ガス給湯器からエコキュートへ買い替える際は、内部構造を知っておくと良いでしょう。本記事では、エコキュートの内部構造を解説します。ぜひ、最後までご覧ください。
エコキュートの内部構造ってどうなっているの?
エコキュートは電気と空気の熱を用いてお湯を沸かす給湯器です。
エアコンにも搭載されているヒートポンプ技術を採用しており、ヒートポンプユニットが沸かしたお湯を貯湯タンクユニットで溜めておき、各所に給湯します。
基本的な仕組みはどのメーカーでも共通しており、主に次のパーツで構成されています。
- ファン
- 空気熱交換機
- コンプレッサー
- 水冷媒交換機
- 膨張弁
- 循環ポンプ
- タンク本体
- メイン基板
- 減圧弁
- 風呂循環ポンプ
- ミキシングバルブ
上記を順番に解説します。
ヒートポンプユニット①ファン
エコキュートのファンはヒートポンプユニット内に設置されており、外気を取り込み、吐き出す役割を果たす装置です。
ファンが回転することで、大気中の熱を効率的に集め、熱交換器へと送り込みます。
過去にはファンの回転する音が問題になりましたが、現在は静音性に優れている製品が多く、設置場所や環境によって異なりますが、かなり静かになりました。
ただし、ファンの性能はエコキュート全体の効率に直結しており、荷物やゴミ、積雪、霜などで塞がっていると給湯効率が著しく低下する可能性が高いです。
エコキュートを設置したら、ファンの周りを定期的に掃除しましょう。
ヒートポンプユニット②空気熱交換機
空気熱交換機とは、ファンが取り込んだ空気の熱を冷媒(CO₂)に伝える役割がある装置です。
外気温が低い冬季でも、空気熱交換機が微細な熱エネルギーを効果的に回収し、エコキュートの高効率な運転を支えます。
ヒートポンプユニット③コンプレッサー
コンプレッサー(圧縮機)は、冷媒を圧縮して高温高圧の状態にする装置です。
空気は圧縮されると空気分子の運動エネルギーが増え、圧縮熱と呼ばれる現象を引き起こします。エコキュートは圧縮熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。
なお、エコキュートの騒音問題はファンの回転音やコンプレッサーの稼働音が原因と言われており、最新の機種は振動や騒音を最小限に抑える設計が施され、静かな運転を実現しています。
ヒートポンプユニット④水冷媒交換機
水冷媒交換機は、コンプレッサーによって圧縮された冷媒の持つ熱を、水道水に伝えてお湯を沸かす装置です。
内部には高性能な伝熱管が配置され、冷媒と水道水の間で効果的な熱交換が行われます。
なお、エコキュートはヒートポンプユニット内部で熱を生み出し、お湯を沸かす仕組みです。
貯湯タンクユニットとヒートポンプユニットの距離が遠くなると、沸かしたお湯がタンクに戻るまでに時間がかかり、熱を無駄に放出する可能性があるので注意しましょう。
ヒートポンプユニット⑤膨張弁
膨張弁は、コンプレッサーで圧縮されて高温高圧状態になった冷媒を低温低圧の状態へと変化させ、空気熱交換機で効率良く熱を吸収できるようにする装置です。
この圧力変化のプロセスは「膨張」と呼ばれ、エコキュートのヒートポンプシステムでは圧縮と膨張を繰り返すことでお湯を沸かします。
ヒートポンプユニット⑥循環ポンプ
ヒートポンプユニット側の循環ポンプは、タンク内の水をヒートポンプユニットへ送り出し、加熱されたお湯を再びタンクへ戻す役割を果たします。
水道水やお湯が循環するポンプなので、経年劣化や目詰まりによって水漏れが起きる可能性があるため、定期的に目視で確認しましょう。
貯湯タンクユニット①タンク本体
タンク本体は、加熱されたお湯を貯蔵するための容器であり、エコキュートの中核を成す部品です。
一般的に腐食劣化を防ぐために耐久性の高いステンレスを用いており、断熱性を向上させるために真空断熱材やウレタンなどでタンク本体を包み込む場合があります
貯湯タンクユニットの形状は角型が一般的で、内部のタンク本体も1つです。
ただし、薄型の貯湯タンクユニットは内部のタンクが2つに分かれています。
なお、貯湯タンクユニット内部は水抜きをしない限り、水道水、あるいはお湯で満たされた状態です。
お湯を沸かした場合、タンク内部は高温のお湯で満たされますが、シャワーやお湯はりなどで消費すると水道水の割合が減っていき、相対的にお湯の利用できる量が減っていきます。
リモコンユニットで湯切れと表示されていても、タンク本体には水道水が満たされているので、断水時でも生活用水として利用できると覚えておきましょう。
貯湯タンクユニット②メイン基板
メイン基板は、貯湯タンクユニットの制御を司る電子部品であり、各センサーや部品からの情報を集約し、最適な運転を指示します。
例えば、外気温やタンク内の温度、使用状況などをリアルタイムで監視し、効率的な運転モードや加熱時間のコントロールが可能です。
また、異常検知やエラーメッセージの表示など、安全性を確保する機能も備えています。
貯湯タンクユニット③減圧弁
減圧弁とは、給水時に貯湯タンクユニットに入る水道水の水圧を減圧する装置です。
エコキュートは高圧の水道水を利用するため、そのままでは内部の配管や部品に負担がかかり、故障の原因となることがあります。
減圧弁で圧力を下げているため、タンク本体が変形する心配はありません。
ただし、減圧弁で水圧を弱めているので、一般的なガス給湯器に比べてエコキュートの水圧は弱い傾向があるので注意しましょう。
貯湯タンクユニット④風呂循環ポンプ
風呂循環ポンプは、フルオートタイプのエコキュートに搭載しているポンプです。浴槽内のお湯をエコキュートに戻し、再加熱して再び浴槽へ送り出す、追い焚き機能を担います。
追い焚き機能は、お湯を無駄にすることなく、湯温を維持することが可能です。
なお、風呂循環ポンプはタンク本体に直接つながっておらず、タンク内部で溜めてあるお湯の熱を利用して、浴槽内部のお湯を温めなおします。浴槽のお湯がタンク内部にあるお湯と混ざる心配はありません。
貯湯タンクユニット⑤ミキシングバルブ
ミキシングバルブは、エコキュートが供給するお湯と水道水を適切に混合し、使用に適した温度のお湯を作り出す装置です。
ヒートポンプユニットで沸かしたお湯は、65℃~90℃で保温されており、そのまま利用するには熱すぎます。
そのため、シャワーや蛇口での使用時に、ミキシングバルブで給湯温度に応じて自動的に混合比を調整し、快適な温度のお湯を安定的に供給する仕組みです。
シャワーのお湯が急激に熱くなる、設定した温度通りにならないなどのトラブルが発生する場合は、ミキシングバルブの故障が考えられます。
内部構造のメーカーの違い
エコキュートはお湯を沸かすための仕組みがほとんど同じなので、内部構造の構成もほとんど似通っています。
一方で、メーカーごとに独自のパーツを使っているため構成は同じでも、給湯性能や耐久性、特徴などが異なるので、選ぶ際は比較しましょう。
次項より、メーカーが異なる場合の内部構造の違いを、メーカー別に解説します。
三菱の内部構造
三菱のエコキュートは「こだわりの先進仕様」を採用しており、次のような内部構造が特徴です。
- サーモジャケットタンク
- 4条ガスクーラー
- ポキポキモータ―
サーモジャケットタンクは、貯湯ユニットのタンクに断熱性の高い真空断熱材(VIP)とウレタンを組み合わせて使用することで、保温性能を大幅に向上させた技術です。
タンク内のお湯の温度低下を最小限に抑え、エネルギー効率の高い給湯を実現しています。
また、4条ガスクーラーは、熱交換器内の水が通る配管に、4本の冷媒配管をツイスト状に巻き付けた構造を持つ高効率な熱交換器で、ポキポキモータは三菱が独自に開発した高密度巻線技術を用いたコンパクトで高出力のモーターです。
どちらも、エコキュートの効率を向上するのに寄与しており、三菱エコキュートは他のメーカーと比べても給湯性能がトップクラスに高い傾向が見られます。
パナソニックの内部構造
パナソニックのエコキュートは貯湯ユニット内部配管を腐食しにくいステンレスに変更し、耐孔食性を向上しています。
また、貯湯タンクユニットの脚を従来の3本脚から4本脚に変えることで、満水のタンクを支える強度をアップしました。
内部構造という視点では、他のメーカーに比べると特徴は少ないですが、耐久性や耐震性が優れているエコキュートです。
ダイキンの内部構造
ダイキンのエコキュートは、空調専門メーカーとしての技術と品質へのこだわりが随所に反映されています。
例えば、貯湯タンクには腐食劣化を防ぐため、ステンレスの中でも特に耐久性の高い高品質な素材を採用しており、長期間にわたって使用できる製品です。
さらに、熱伝導率が低い新断熱材を採用し、断熱材の密閉構造を強化することで、貯湯タンクの保温効率を向上させています。
また、ダイキンはヒートポンプユニットが故障した場合、交換用ヒートポンプユニットを商品化しています。貯湯タンクユニットをそのまま使い続けて、ヒートポンプユニットだけを交換可能なので、交換費用の節約が可能なメーカーです。
コロナの内部構造
コロナのエコキュートは、独自の「ES制御」により、省エネ性能を高めています。このES制御は、お湯を「つくる」「ためる」「使う」の3つのプロセスで効率化を図る技術です。
例えば、ヒートポンプユニットに高効率スクロールコンプレッサーを採用しており、少ない電力で効率的にお湯を生成します。
また、貯湯タンクユニットには真空断熱材や特殊成型断熱材(発泡性耐熱AS系樹脂)を採用し、保温性を向上させています。さらに、7つのサーミスタで細やかな温度管理を行い、ステンレス管の使用で耐久性も強化しています。
ほかにも、省エネ給湯回路により、中温湯(約30~50℃)を無駄なく活用し、エネルギー効率を高めていることもコロナエコキュートのポイントです
日立の内部構造
日立のエコキュートは、独自の「水道直圧給湯」方式を採用し、複数箇所での同時給湯時でも高い水圧と豊富な湯量を提供します。
他メーカーのエコキュートはヒートポンプユニットで沸かしたお湯を貯湯タンクユニットで溜めておき、必要に応じて各所に給湯します。
日立の「水道直圧給湯」は貯湯タンクユニットに溜めたお湯の熱で、水道水を温めて各所に給湯する仕組みなので、ガス給湯器並みの水圧が利用可能です。
そのため、シャワーと台所の蛇口を同時に使用しても、各所で十分な水圧と湯量が確保され、快適に利用できます。
また、貯湯タンクユニット内の水道水やお湯を消費しないので、水の入れ替え量が低減され、堆積物の発生が減少するといったメリットがあります。
まとめ
以上が、エコキュートの内部構造の解説です。エコキュートの内部構造は複雑ですが、基本的な構成は、どのメーカーでも共通しています。
しかし、使用しているパーツの性能や素材が異なるため、メーカーごとに給湯性能や耐久性、特徴などが異なるので、エコキュートを選ぶ際は注意しましょう。
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