オール電化

2024/06/28

エコキュートとエネファームはどう違う?それぞれの特徴とメリット・デメリットを徹底比較!

エコキュートとエネファームはどう違う?それぞれの特徴とメリット・デメリットを徹底比較!

近年では産業や社会活動、日常生活などあらゆる面で環境に配慮した行動や施策が求められています。 住宅で用いるエネルギー源に対しても同様で、特に電力消費量を抑えることでエコを実現させる仕組みや機器の導入が進んでいます。 そんな省エネタイプの給湯システムの例として「エコキュート」と「エネファーム」が挙げられるでしょう。

これらはなんとなく名前は似ていますが、正確にはそれぞれどのように違うのでしょうか。

この記事ではエコキュートとエネファームのそれぞれの機能と特徴、メリット・デメリットや費用等を比較していきます。

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仕組みの比較

エコキュートの仕組み

エコキュートとは二酸化炭素を冷媒(熱を移動させるために必要な媒体) として空気中の熱を効率よく集める給湯システム(ヒートポンプ技術)の総称です。

ヒートポンプとはエアコンでいう室外機にあたる機構のことで、ヒートポンプが外気の熱を吸収してその熱を高効率に活用してお湯を沸かす仕組みとなっているものです。自然に存在する外気の熱を利用してお湯を沸かすため、電熱で直接水を加熱するタイプの電気給湯器と比べ、はるかに少ない電力でお湯を沸かせるのが大きな特長となっています。

また、二酸化炭素を冷媒に使用していることから、フロンガスのように地球環境に害を与えることはありません。

エコキュートは省エネの観点ばかりでなく、このような部分でも環境にやさしい給湯器であるといえるでしょう。

エネファームの仕組み

エネファームとは家庭用ガス(都市ガスやLPガス)から水素を抽出し、酸素と化学反応を起こして電気を作る家庭用蓄電池です。

さらには発電時に発生する熱を利用してお湯を沸かすことも可能で、給湯機能を兼ね備えた自家発電バッテリーと例えることができるでしょう。

エネルギーを有効活用する発電システムを農場になぞらえて「エネルギー」と「ファーム」を組み合わせてエネファームという名前が付けられています。

メリットの比較

メリットの比

エコキュートのメリット3点

①省エネ・電気代の節約

エコキュートは空気中の熱を利用して水を温めるため、少ない電力で効率よく給湯することができます。

また、夜間の安い電気を活用できることから、総体的な電気代は従来の電気温水器より格段に安くなるというメリットがあります。

従来タイプの電気温水器と比較するとエコキュートを使用した場合の電気代は1/3ほどに抑えることが可能とも言われています。

②操作がわかりやすく、安全で簡単

エコキュートはボタン一つでお湯はりや足し湯など、お風呂周りの給湯も簡単に行うことができます。省エネ効果はもちろんとして、給湯機としての基本性能も高く便利な機能が備わっているため(メーカーや種類によって詳細の機能は異なります)、誰でも安全かつ簡単に操作できるわかりやすさもメリットです。

③断水や停電など、非常時にも活躍

非常時にも活躍

地震などによる断水や停電の際にも、タンク内に貯めてあるお湯(水)は使用可能です。

もちろん稼働のための電力が確保できない状態ではやがてお湯は冷めていきますが、非常時の水ストックとして機能します。

基本的にはそのまま飲料水として用いることは想定していませんが、災害に備えて浴槽に水を貯めておくことが奨励されているように、万が一の際に安全な生活水を確保できるのはありがたいのではないでしょうか。

エネファームのメリット4点

①電気代が節約できる

エネファームはガスエネルギーを基に発電することができ、日常生活の電力として利用できるため相殺される形で電気代は安くなります。

通常の家庭(電力会社から電気を購入する場合)と比較して電気代は約1/2程度に抑えられると言われています。

②稼働時の騒音が出にくい

エネファームはエコキュートのヒートポンプユニットと比べると、稼働時の騒音が出にくいと言われています。

ただし比較的静かではあるものの機械ですのでまったくの無音というわけにはいかず、人間の耳には聞こえにくい低周波音をします

③停電時にもしばらく使用できる機種がある

停電時にも使用でき

エネファームはガスエネルギーを基に発電しますが、本体の稼働には電力が必要なため多くの機種は停電時に利用できません。

しかし一部の機種では停電が発生した場合に作動する発電機能が設けられており、これを予備電源として継続して稼働させることが可能です。

停電時におけるエネファームの起動にはバッテリーや発電機など、何らかの外部電源の確保が必要ですが、あらかじめ非常用蓄電システムを組み込んでおくという方法もあります。ガスさえあれば発電できるというわけではありませんが、非常用電源で起動すれば停電時にも稼働できることはエネファームの大きな強みといえるでしょう。

④湯切れを起こさないバックアップ熱源機を搭載

エネファームで沸かしたお湯は専用のタンクに貯められて適宜使用するようになっていますが、給湯量を超えて一気に使った場合にはタンク内はまだ水のままの状態です。これを湯切れといいますが、ガスを用いるエネファームにはバックアップ用の熱源機が搭載されています。

つまり万が一タンク内のお湯が無くなって水だけになってしまった際、熱源機が素早くお湯を沸かして供給する仕組みとなっています。

これはガス給湯器とのハイブリッドとも例えられる構造で、このバックアップ熱源機により湯切れの心配がありません。

デメリットの比較

デメリットの比

エコキュートのデメリット3点

①タンクの熱湯がなくなるとお湯が使えなくなる

エコキュートのタンク内に貯められた熱湯がなくなると、当然お湯は使えなくなります。

夜間を中心に水を加熱して得られたお湯は専用の貯湯タンクに蓄えられますが、大量に使用すると産生が追い付かなくなってしまいます。

家庭で一日に使用するお湯の量は家族構成や季節によっても異なることが普通ですが、平均してどの程度のお湯が要るのかを事前に把握しておくのがよいでしょう。

お湯の想定使用量を基準に、ご家庭に合わせた容量のタンクをしっかり吟味する必要がありますね。

②稼働時に騒音が発生する場合がある

エコキュートのヒートポンプユニットは、稼働時に低周波音を発生させます。

ヒートポンプユニットとは熱交換に必要な機構で、しばしばエアコンの室外機に例えられるものです。

エアコンも稼働時には室外機が音を立てることから、不可抗力とはいえ一定の騒音は免れません。

低周波音というものは一般に人間のの耳では聞こえにくいとされていますが、周辺の建物との共振によって揺れや予想外の反響などを引き起こすケースもあり得ます。

特にエコキュートが稼働するのは夜間であることから聴覚の鋭い人や音に敏感な人など、一部の方にとっては気になる音になるようです。

この騒音害は実際に裁判に発展した事例もあることから、施工前の段階から稼働時に周辺環境に対してどのような影響があるかを可能な限りシミュレーションしておくことも重要でしょう。

③タンク内の水をそのまま飲むことができない

タンク内の水をそのまま飲むことができない

エコキュートのメリット③でタンク内の水を非常時に活用できることをご紹介しましたが、先に述べた通りそのまま飲むための水としては想定していません。

主に衛生面の問題によるもので、タンク内のお湯・水そのまま飲用することは危険です。

万が一どうしてもタンク内の水を飲む必要が生じた場合には、煮沸してろ過するなどの処理を行ってからにしましょう。

基本的にはエコキュートのタンクに貯められた水を非常時に使用する際は、トイレを流したり口に入るもの以外の汚れを落としたりといった用途が推奨されます。

エネファームのデメリット2点

①オール電化との相性が良くない

エネファームで発電するためには必ずガスが必要になるため、基本的にオール電化の住宅ではエネファームの使用は想定していません。

エネファームの稼働に使用するガスは都市ガスとLPガスの二種類がありますが、これらを利用する住居の場合はオール電化ではなく電気とガスの併用に分類されます。

それぞれにメリットとデメリットがあるため一概にどちらがよいとは言えませんが、少なくともオール電化の住居が前提のケースではエネファームの利用を想定していないのが一般的でしょう。

仮に家を新築する段階で省エネ型給湯器の設置を考えているとしたら、オール電化にするのか電気・ガス併用とするのかも含めて明確に計画しておく必要があります。

②売電することができない

売電することができない

エネファームは自家発電が可能ですが、太陽光発電のように電力を売ることができません。

その理由は非常にシンプルなもので、エネファームはその時々に必要な電力を必要なだけ発電する仕組みであるため、基本的に売却できる余剰電力が発生しにくいようになっているためです。

もちろんエネファームによる発電量が消費電力を上回ることがあれば余剰電力となりますが、買い取りに対応しているのは一部のガス会社のみです。

ほとんどの場合はエネファームによるもののみではなく、家庭用の蓄電池や太陽光発電等と合わせた余剰電力が売電の対象となります。

したがって、売電を目的の一つにしているケースではエネファームの導入は適切と言い難いでしょう。

エコキュートとエネファームの初期費用比較

エコキュートとエネファームの初期費用比較

エコキュートとエネファームを設置するために必要な初期費用の内訳は、本体価格と設置費用になります。

エコキュートを導入するのに必要な初期費用はメーカーや種類によっても異なりますが、おおよそ40万円~70万円程度と言われています。

一方でエネファームの初期費用はおおよそ170万円~300万円程度と言われています。

両者には約4倍超にも及ぶ金額差があり、導入における初期費用に関してはエコキュートのほうが安価に抑えられると言えるでしょう。

エコキュートとエネファームのランニングコスト比較

それとは別に、継続的に使用するにあたって、エコキュートとエネファームの光熱費はどちらがお得なのかというのも気になるところです。

一般的な戸建てにお住いの4人家族の家庭を想定したケースでは、エコキュートの場合年間15万円~18万円ほどのランニングコストがかかると言われています。

それに対してエネファームを使用した家庭では17万円~23万円程度になるのが一般的なようです。

エコキュートとエネファームを単純にランニングコストで比較すると、電気代は年間で2~3万円ほどエコキュートがお得といわれています。

エネファームでは余剰電力を売却できる可能性もありますが、先に述べた通り積極的に多くの電力を生み出すことを前提としていないため、売電による経費の相殺は期待しにくいと言えるでしょう。

エコキュートとエネファームはどちらがお得か?

機能面で見るとエネファームのほうが自家発電できることや騒音がないこと等優れているように見えますが、価格面で見ると初期費用、ランニングコスト共にエコキュートのほうが経済的だと言えます。

また、エコキュート自体には発電能力がありませんが、太陽光発電やオール電化と組み合わせての使用を考えると総合的にエコキュートのほうがお得だと言えるでしょう。

両者には給湯器という共通の用途がありますが、そもそも熱源の利用法や設計思想が大きく異なり、家庭用蓄電池の有無などアイテムとしてのベクトルも違うものです。

ユーザーが求める用途や機能によって選択肢は変わるため、単純にエコキュートとエネファームを比較するのは困難な面もあります。

しかし省エネをはじめとした環境配慮の行動は個人レベルで求められる段階にきており、経費を抑えつつもさまざまな方法と併せて実施できるエコキュート導入のような取り組みが必要です。

まとめ

最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。この記事でエコキュートとエネファームの違いについて少しでもご理解いただけましたら幸いです。

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