蓄電池
2025/09/19
蓄電池をローンで賢く導入!ローンの金利や種類、補助金や資産までを徹底解説
近年、電気代の高騰や再生可能エネルギーの普及に伴って、家庭用蓄電池への関心が高まっています。蓄電池を導入すれば、単価の安い夜間電力をためておいたり、太陽光発電で発電した電力をためておいたりでき、災害時にも心強い存在です。しかしネックとなるのが、導入時の高額な費用です。そのため、ローンを活用して蓄電池を導入する人も少なくありません。そこでこの記事では、蓄電池を導入する際に使えるローンの種類や選び方、注意点などを詳しく解説していきます。
1.蓄電池とは?導入する人が増えている背景
まずは、蓄電池とはどのようなものなのか、なぜ導入する人が増えているのかを解説していきます。
1-1.蓄電池とは?
家庭用の蓄電池とは、電気をためておいて必要な時に使うための設備です。一般的にはリチウムイオン電池が使われており、太陽光発電と組み合わせて使うことが大部分です。太陽光発電は日中、太陽の出ている時に電気を創出できるものの、その電力をためておくことができません。蓄電池を併用すれば、日中に発電した電力を無駄にすることなくためておけ、夜間や停電時などに使えるのが大きな魅力です。
家庭用蓄電池の容量は、4kWh~15kWhのものが主流です。冷蔵庫や照明、スマホの充電といった最低限の電力を確保するタイプから、家の電力全体をまかなえる大容量タイプまで、幅広い選択肢から選べます。
また、蓄電池は「全負荷型」と「特定負荷型」の2種類あります。全負荷型は、停電の際に家全体に電気を供給できるタイプで、ほぼいつも通りの生活が可能です。特定負荷型は、事前に選んでおいた特定の部屋・家電製品にのみ電力を供給するタイプです。全負荷型は便利なものの、特定負荷型と比べて設置コストが高めになります。
このように蓄電池は、家庭の電気使用状況や目的に応じて柔軟に選べるように、さまざまなタイプが用意されています。
1-2.蓄電池を導入する人が増えている背景とは?
近年電気料金の高騰が続いていて、電力会社になるべく頼らず太陽光発電で自家発電する人が増えています。また、これまでは太陽光発電で発電した電力のうち、余分な電力は電力会社に買い取ってもらう「売電」が、太陽光発電のメリットだとされていました。ところが2019年以降は「固定価格買取制度(FIT)」の満了を迎える家庭が増えたことで、売電のメリットがなくなり、売電より自家消費を選ぶ人が増えたことも、蓄電池に注目が集まっている要因です。
さらに近年、大きな災害が頻発していることから、停電リスクを避けるためにも、蓄電池への関心が高まっています。蓄電池があれば、災害時などに停電になっても、ライフラインの確保につながります。冷暖房設備や冷蔵庫、スマホの充電や蓄電池の容量によっては電気自動車へも電気を供給でき、停電がしばらく続いたとしても安心です。
2.蓄電池を導入するメリットとは?
蓄電池を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。次の4点が考えられます。
2-1.太陽光発電の自家消費で電気代を削減できる
蓄電池は、太陽光発電と組み合わせることで両者の良さを最大限に活かせます。太陽光発電が日中創出した電気を蓄電池にためておいて、発電できない夜間に使えれば、電力会社から購入する電気を減らせます。とくに夜間の電気使用量が多い家庭では、大きな電気料金の削減効果が期待できるでしょう。
2-2.災害・停電時の非常用電源になる
近年日本において、地震や台風が頻発していて、災害への備えに対する意識が高まっています。蓄電池があれば、災害時にも生活に欠かせない家電を稼働させられ、大きな備えになります。
2-3.固定価格買取制度(FIT)終了後も電気を有効活用できる
固定価格買取制度(FIT)が終了すれば、売電単価が下がり、売電するメリットは少なくなります。売電するより、自宅で使って電気代を削減した方が大きなメリットを得られます。
2-4.環境への貢献
自家発電した電気を蓄電池によって効率的に活用することは、二酸化炭素の削減や持続可能な社会の実現に寄与します。そのため、環境意識の高い人の中で、蓄電池が注目されているのです。
3.蓄電池導入にかかる費用とローン利用の必要性とは?
ここからは、蓄電池の導入にはどの程度の費用がかかるのか、蓄電池を導入するのにローンを利用する人が多いのはなぜなのか、解説していきます。
3-1.蓄電池の平均額
蓄電池の価格は、容量によって変動するものの、およそ80万円~200万円が相場だと言われています。容量別の平均価格は、およそ次のような相場感です。
- 5kWh未満:約70~100万円
- 5~10kWh:約100~140万円
- 10kWh以上:約130~200万円
3-2.蓄電池が高い理由とは?
蓄電池の価格は80~200万円と、決して安くありません。それはまず、原材料コストの高さが理由に挙げられます。正極材に使われるコバルトなどは、希少金属で非常に高額です。また、蓄電池の製造には高度な技術と安全性を必要とするため、その分コストが必要になります。さらに設置場所や工事の難易度によって、工事費用も必要です。加えて日本では、まだまだ蓄電池の普及が進んでいないことから、量産されていない点でも、価格が下がりにくいのでしょう。
3-3.蓄電池の費用対効果
蓄電池は高額なものではありますが、導入すれば深夜電力をためて日中使えるようになり、毎月数千円ほどの節約が期待できます。太陽光発電とセットで使用した場合には、さらに節電効果が高まり、月々の電気代を大幅に節約できるようになるでしょう。10kWhの蓄電池導入で、15年間に渡って数百万円の節約が可能だというシミュレーションもあります。
4.蓄電池導入にローンは利用できる?利用できるローンの種類を解説
家庭用蓄電池は容量・性能などによって幅があるものの、80万円~200万円ほどの費用がかかります。工事費やオプションを含めるとさらに高額になり、100万円~250万円程度になることも、少なくありません。そのため、蓄電池を導入するのに当たって、ローンを利用している家庭も多くあります。ローンを活用すれば、初期費用を抑えながらも、早い段階からメリットが享受できます。
蓄電池購入のために利用できるローンはいくつかの種類があるものの、それぞれ条件がことなるため、特徴を理解するのが重要です。そこでここでは、代表的なローンとその形態について、詳しく解説していきます。
4-1.銀行系ローン
「リフォームローン」や住宅ローンの一部として銀行の提供しているのが、銀行系ローンです。最大の魅力は金利の低さであり、条件次第では年1%台から利用できるケースもあります。金利が低いため、総返済額を抑えたい人には、有力な選択肢です。
ただしローン利用に当たっての審査基準が厳しく、年収や勤務先、既存の借入状況などによっては、承認が難しいケースもあります。借入の承認が下りるまで時間がかかる傾向もあるので、導入を急ぐ人は注意が必要です。
4-2.JA・信用金庫のローン
農協や信用金庫といった、地域密着型の金融機関でも、蓄電池導入に向けてローンを組むことができます。地域住民や組合員を対象に優遇金利が設定されることもあり、条件によっては大手銀行より有利な場合もあります。窓口で相談がしやすく、担当者が補助金制度などに詳しいことも多いので、地域ごとの最新情報をもとに導入計画を立てられるのも強みです。
4-3.クレジット会社のローン
蓄電池の販売店や施工業者を通じて申し込めるローンは、クレジット会社の提供するローンが多い傾向にあります。審査が比較的スピーディーで、契約から導入までスムーズに進むのがメリットです。その一方で金利は年3~8%ほどとやや高めに設定される場合が多く、長期返済を選ぶと総支払額が膨らみやすい点は、注意が必要です。短期間で返済を終えたい人、手続きの簡便さを重要視する人に向いています。
4-4.メーカー・販売店独自のローン
一部の蓄電池メーカーや大手販売店で、独自のローンを用意している場合もあります。金利が優遇されるキャンペーンが行われたり、長期分割払いに対応していたりと、他のローンには見られない柔軟な条件が提示されることも、少なくありません。販売店独自の保証やアフターサービスが付帯するケースもあって、安心感があります。ただし選択肢は限られるので、比較検討の幅は広いとは言えません。
5.蓄電池導入にローンを利用するメリット・デメリット
蓄電池を導入するのに当たって、ローンを利用する際には、次のようなメリットとデメリットも知っておくようにしましょう。
5-1.蓄電池導入にローンを利用するメリット
ローンを活用すれば、まとまった現金が用意できるのを待たずに蓄電池を導入できます。初期費用を抑えられるので、電気代の削減や災害対策といった、蓄電池導入によるメリットをすぐに享受できるのは大きなメリットです。さらに月々の電気代の削減分で、ローン返済額を一部まかなえる可能性もあり、実質的な負担を軽減できる場合もあります。
5-2.蓄電池導入にローンを利用するデメリット
ローンを利用すれば蓄電池の費用を分割して支払えるだけでなく、金利負担が伴うのを忘れてはなりません。返済期間が長引くほど総支払額は増加していき、経済的なメリットを損なう恐れもあります。また、ローン返済中に収入が変動したり予期せぬ支出が発生したりすると、返済が苦しくなるリスクもあるので、注意が必要です。
6.蓄電池ローンのシミュレーション
蓄電池をローンで導入する際は、次のようにシミュレーションをするようにしましょう。
6-1.蓄電池ローンの金利はどのくらい?
蓄電池を導入する際に利用できるローンは複数あり、種類によって金利は大きく異なります。銀行や信用金庫の提供するリフォームローンなら、条件が揃えば年1.0~2.5%ほどの低金利で利用できるケースもあります。一方でクレジット会社の提供するローンなどは、手続きがスムーズで審査も通りやすい反面、金利は年3~8%ほどと高めです。販売店独自のローンは、手続きがスムーズで審査も通りやすい反面、金利は年3~8%ほどと、やや高めです。
6-2.借入額別の返済シミュレーション
たとえば金利2%のローンを10年間で返済するとなると、借入額別に返済額は次のようになります。
- 100万円借り入れ→月々約9,200円
- 150万円借り入れ→月々約13,800円
- 200万円借り入れ→月々約18,400円
金利が5%に上がると、200万円借り入れの場合、月々の返済額は約21,200円にまで増加します。ローンを選ぶ際には、金利のわずかな違いでも総返済額に大きな差が出ることを念頭に、事前にシミュレーションして比較検討することが欠かせません。
6-3.電気代の削減効果とローン返済額のバランス
太陽光発電と蓄電池を併用した場合、月々数千円から1万円前後の電気代削減が見込める家庭もあります。ローン返済額と節約額を比較すると、導入初期は負担の残るケースもあるものの、ローンを完済した後は、電気代の削減分がすべて家計のプラスになります。単純な目先の支出だけでなく、投資に近い性質をもつのが蓄電池ローンの特徴です。
7.蓄電池導入時に使える補助金の活用法
蓄電池を導入するにはまとまった金額が必要になり、ローンを検討される人が多くいます。ただし、ローンとともにぜひ活用したいのが、蓄電池導入時に利用できる補助金制度です。
7-1.国の補助金制度
国では、家庭用蓄電池の導入をサポートする補助金制度を用意しています。2025年度において、家庭用蓄電池導入に対して国が用意している補助金の一つは、「DR補助金(DRリソース導入支援事業)」です。電力の安定供給を図るうえで家庭用蓄電池の活用が有効だという理由から、国が費用の一部を補助する制度です。条件を満たしていれば、最大60万円の補助が受けられます。
もう一つ、「子育てグリーン住宅支援事業」も、省エネリフォームや蓄電池設置などを行う子育て世帯・若者世帯を支援する国の補助金制度です。一戸につき一律64,000円が補助されます。
これらの補助金は予算に達し次第、その年度の募集を終了することがあり、補助を受けるための条件も満たす必要があります。
7-2.自治体ごとの補助金
各自治体レベルでも、独自の蓄電池向け補助金を設けている地域が増えています。支給額は、数万円から20万円程度まで幅があり、国の補助金と併用できるケースとできないケースもあります。
7-3.補助金とローン返済の組み合わせ
蓄電池の導入を考える場合、まずは補助金で初期費用を抑え、残額をローンで分割返済すれば、導入における費用面でのハードルを下げられます。たとえば200万円の蓄電池を導入する際に、国と自治体の補助金で合計40万円を受け取れた場合、ローンの借入額は160万円にまで減らせられます。結果として月々の返済額や返済期間も軽くなり、家計への負担が抑えられるのです。
8.蓄電池ローン利用時の注意点と落とし穴
蓄電池を導入するのにあたって、ローンを使用するには次のような注意点や落とし穴もあることを把握しておく必要があります。
8-1.固定金利か変動金利か
ローンには固定金利と変動金利があり、借入時に選択しなければなりません。固定金利は金利が一定額のローンなので返済額も一定で安心感があり、長期返済を予定する人に適しています。変動金利は、借り入れ当初の金利が低く設定されやすいものの、将来金利が上がる恐れもあり、リスクを十分理解しておく必要があります。
8-2.付帯費用に注意
金利だけでなく、保証料や事務手数料の必要な場合もあるので注意しましょう。とくに銀行系のローンでは、数万円単位の費用が発生することもあるので、金利と合わせて実質負担額を比較する必要があります。
8-3.ボーナス払い・繰り上げ返済
ボーナス月に多めに返済する「ボーナス併用返済」や、余裕のある時にまとまった額を返済する「繰り上げ返済」をすれば、利息の総額を抑えられます。ただし繰り上げ返済は手数料のかかる場合もあるので、条件を確認しておきましょう。
8-4.リフォームローン・住宅ローンに組み込む際の落とし穴
住宅を建設時のローンやリフォーム時のローンに蓄電池費用を組み込んで、返済期間を延ばす方法もあります。ただし返済が長期になるほど、利息の負担は大きくなります。とくに20年以上返済期間がある場合、総支払額が本体価格を大きく上回ってしまうリスクがあるので、注意が必要です。
9.蓄電池導入時にローンを利用する際に後悔しないためのポイント
蓄電池を導入するのに当たって、ローンを利用する場合、後悔しないために次の点をよく考えておきましょう。
9-1.返済年数の考え方
月々の負担を減らしたいからといって長期返済にすると、結果として総支払額は増えてしまいます。短期返済は支払う利息が少なくて済む反面、月々の負担が重くなります。家庭の収支に合わせて、無理のない返済年数を選ぶことが大切です。
9-2.金利以外にも確認すべき条件が
ローンについて比較する際には、金利ばかり注目してしまいがちです。ところが実際ローンを組んで返済していくには、団体信用生命保険の有無や保証人の必要性、繰り上げ返済の柔軟さなども重要になってきます。これらを総合的に比較し、自分に合うローンを選びましょう。
9-3.販売店への確認ポイント
ローンを組むと、返済は長期にわたります。その間に「補助金の申請が通らなかった」「故障したのに保証の対象外だった」「施工不良なのに業者が対応してくれない」などといったトラブルが起こると、支払いだけが残ってしまう恐れもあります。だからこそ販売店選びは重要です。見積もりを依頼する際に、補助金が適用できるかどうか、保証の範囲はどこまでか、アフターサービス体制があるかなどをしっかり確認するようにしましょう。これらを明確に答えてくれる販売店なら、ローンを返済している期間も安心して利用できるはずです。
10.ローン以外に蓄電池を導入する方法は?
蓄電池を導入するには、ローンを組む以外にも次のような方法があります。自分の無理のない方法を選ぶのがおすすめです。
10-1.現金一括払い
まとまった資金のある場合には、利息を払わずに済む現金一括払いがもっともお得だといえます。ただし一度に大きな出費をしなければならないので、生活資金を圧迫しない範囲を検討する必要があります。
10-2.リース契約
初期費用ゼロで蓄電池を導入できる、リース契約も増えています。月々一定額を支払う方式で、メンテナンス代金や保証の付帯するものもあります。ただし契約期間が長く、総額が割高になりやすい点には注意が必要です。
10-3.自己資金・補助金・ローンを上手に組み合わせる
たとえば自己資金で50万円を負担し、残額を補助金とローンでまかなえば、無理なく返済額を軽くできます。自己資金と補助金、ローンをうまく組み合わせましょう。
11.まとめ
蓄電池は、単価の安い夜間電力や、太陽光発電の余剰電力を蓄えて使えるため、電気代の節約につながります。停電時には非常用電源として、あらゆる家電を稼働させられるので、防犯面でも心強い存在です。一方で本体価格が高額になるため、ローンの活用が現実的な選択肢になるでしょう。金利や返済期間などを比較検討し、補助金制度も活用しながら自分に合った方法を選ぶようにしましょう。
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