蓄電池
2025/04/14
V2Hとは?V2Hのメリットやエコ突撃隊で販売しているV2Hの種類を解説
災害における停電の備えとして、V2Hに注目が集まっています。V2Hを導入すれば、電気自動車が移動手段だけでなく、停電時の蓄電池としても使用できます。 そこで今回は、V2Hについて解説します。V2Hを設置するメリットやデメリット、エコ突撃隊で販売しているV2Hの種類なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
V2Hとは?
V2Hとは、「Vehicle to Home」の略称で、電気自動車(EV)に貯めてある電気を住宅に給電するシステムのことです。
住宅から電気自動車に給電するのではなく、電気自動車から住宅に給電して、エアコンやテレビ、冷蔵庫などの家電製品を動かせることが大きな特徴になります。
つまり、V2Hを構築しておけば、家庭用蓄電池の代わりを電気自動車が担うことになります。仮に、災害で停電したとしても、電気自動車に貯めてある電気を使うことで、日常に近い生活を送ることができます。
V2Hが注目されている理由
V2Hが注目されている理由は以下のとおりです。
- 災害時の停電に対応できる
- 地球環境への貢献
上記を順番に解説します。
災害時の停電に対応できる
V2Hが注目される大きな理由の1つが、災害時の停電対策です。
地震や台風などの自然災害が多い日本では、停電による生活インフラの停止が深刻な問題となります。
V2Hを導入しておけば、電気自動車に蓄えた電力を住宅に供給できるため、エアコンや冷蔵庫、照明、スマートフォンの充電など、最低限の生活を維持することが可能です。
太陽光発電システムや蓄電池を設置していれば同様のことができますが、太陽光発電システムは悪天候化や夜間では発電できず、蓄電池は蓄電容量に比例して初期費用が高額になる傾向があります。
電気自動車は天候に関係なく電気を給電でき、一般的な家庭用蓄電池よりもバッテリー容量が大きいため、車種によっては数日間分の電力をまかなうこともできます。
つまり、状況や機器によりますが、非常時に備える手段として、太陽光発電システムや蓄電池よりも使えやすいという理由から注目を集めています。
地球環境への貢献
V2Hは、地球環境の保全という観点からも注目されています。
電気自動車とV2Hに加えて太陽光発電システムを活用できれば、再生可能エネルギーを効率よく利用でき、家庭のCO₂排出量を大幅に削減することが可能です。
昼間に太陽光発電で発電した電気をEVに充電し、夜間にその電力を住宅に供給することで、系統電力の使用を減らし、クリーンな電力で生活が送れます。
また、電気自動車の普及とV2Hの活用が広がることで、電力の地産地消が進み、エネルギーの自給自足率の向上にも貢献します。脱炭素社会の実現に向け、V2Hは今後ますます重要な技術として期待されています。
V2Hを設置するメリット
V2Hを設置することで得られるメリットは次になります。
- 電気料金の節約につながる
- 停電時の蓄電池としてEVを使用できる
- 家庭用の充電器(200V)よりも充電時間が短くなる
電気料金の節約につながる
V2Hシステムを構築することで得られる最大のメリットは、電気料金の節約につながることです。
例えば、夜の時間帯の電力が安いプランに加入していれば、割安な深夜電力で電気自動車を充電でき、日中の電力を電気自動車から給電してもらうことで電気料金を節約できます。
太陽光発電システムを設置していて電気自動車が日中にあるなら、日中は電気自動車に電力を蓄え、太陽光発電システムが発電できない夜間を電気自動車から給電して賄うという使い方も可能です。
このように、V2Hと電気自動車があれば、電気代の削減が期待できます。
停電時の蓄電池としてEVを使用できる
V2Hと電気自動車があれば、停電時の蓄電池として電気自動車に蓄えてある電力を使用できます。
日産リーフの場合、満充電状態なら約3日間の住宅電力消費を賄うことができます。
一般的な家庭用蓄電池は蓄電容量が10kWh前後の機種が大半で、満充電でも住宅の電力を1日前後しか賄えません。家庭用蓄電池は太陽光発電システムと組み合わせることで停電時でも活躍できます。
一方、電気自動車の蓄電容量は車種にもよりますが10kWh~40kWh程度はあり、なかには60kWh~80kWh以上の大容量の電気自動車もあります。
V2Hと電気自動車は太陽光発電システムが無くても停電時に活躍できるだけのスペックを有しています。
家庭用の充電器(200V)よりも充電時間が短くなる
V2Hを導入するメリットとして、家庭用の充電器よりも電気自動車を充電する時間が短くなることも挙げられます。
電気自動車は電力で走る車のため、充電器を自宅に設置するのが一般的です。
しかし、自宅に設置できる100Vや200Vの充電スタンドだと、電気自動車が満充電になるまでに時間が掛かってしまいます。次の表は、日産リーフ(60kWh)への充電時間の表になります。
V2H | 200V充電器 | |
---|---|---|
充電方式 | 200V交流 単相 |
200V交流 単相 |
最大出力 | 6kW | 3kW |
充電時間 | 12時間 | 23.5時間 |
V2Hと200V充電器の大きな違いは最大出力です。V2Hは最大出力が200V充電器よりも高いため、日産リーフへの充電時間が半分程度になります。
電気自動車でネックになりやすいのが、充電時間の長さです。200V充電器を使用していると、電気自動車を使おうとしても充電が足りないというケースは珍しくありません。V2Hなら200V充電器よりも短時間で充電できます。
V2Hを設置するデメリット
V2Hを設置するデメリットは次になります。
- V2Hと電気自動車の両方が必要
- 電気自動車のバッテリーが消耗しやすくなる
それぞれ、順番に解説します。
V2Hと電気自動車の両方が必要
V2Hを設置する際のデメリットは、V2Hと電気自動車の両方が必要になるため、コストと設置スペースの問題があります。
V2H機器は設置する機種や場所、太陽光発電システムの有無によって必要なコストが変わります。そのため、機種にもよりますが本体費用は50万円~180万円、工事費用で20万円~40万円ほどします。
さらに、V2Hに対応している電気自動車の新車相場は250万円~600万円です。日産リーフの最新モデルで最も安いグレードは約408万円で、高額なグレードになると約583万円になります。
- V2H機器…70万円~220万円
- 電気自動車…250万円~600万円
組み合わせにもよりますが、電気自動車とV2Hの両方を揃えるとなると、かなりの出費が必要です。
住んでいる自治体にもよりますが、V2Hや電気自動車は補助金の対象になり、電気自動車は税制優遇措置が取られているなどのメリットもあります。
しかし、電気自動車とV2Hを一緒に設置するには高額な出費が必要だと覚えておきましょう。
電気自動車のバッテリーが消耗しやすくなる
V2Hを設置した場合のもう1つのデメリットは、電気自動車のバッテリーが消耗しやすくなることです。
バッテリーの寿命が短くなるのは、満充電・過放電を繰り返すことでバッテリーが消耗するからです。電気自動車を蓄電池の代わりとして住宅に給電していると、効率的に使用してもバッテリーの消耗が早くなってしまいます。
消耗したバッテリーは交換可能ですが、交換するときにコストが発生します。だからといって、バッテリーを交換しないでいると、充電できる容量が少なくなり、満足に走ることもできなくなります。
電気自動車のバッテリーの寿命には気を付けましょう。
V2Hの構成
V2Hは次の2つで構成されます。
- V2H機器(EV用パワーコンディショナー)
- V2Hに対応する電気自動車(EVまたはPHVなど)
住宅の家電製品を動かしている電力は交流ですが、電気自動車のバッテリーに貯めてある電力は直流です。そのままの状態ではEVから住宅に給電することはできないため、直流と交流を変換するV2H機器が必要になります。
EV用パワーコンディショナーとも呼ばれており、V2Hにおける充放電のコントロールを担っています。
ただし、V2H機器は直流と交流を変換する機器のため、基本的には蓄電機能はありません。
V2Hにおいて蓄電池の代わりを担っているのがV2Hに対応する電気自動車です。EV、もしくはPHVが対応しているので、V2Hを導入したい方は検討してみましょう。
- EV…電気自動車
- PHV…プラグインハイブリッド自動車
V2Hと太陽光発電システムの注意点
太陽光発電システムは停電時でも発電し、電力を住宅や電気自動車に給電できます。V2Hとセットで導入すれば、電気自動車が家庭用蓄電池の代わりに電気を貯め、夜間の住宅に給電し、車を動かすエネルギーとなります。
V2Hとの相性も良いため、セットで導入することを検討しているかもしれませんが、太陽光発電システムとV2Hを導入する際には注意点があります。
家庭で使用されている電気とは、電力会社から給電される系統電力です。
太陽光発電システムとV2Hを導入していると、系統電力のほかに太陽光発電の発電した電力と、電気自動車に蓄えられた電力を加えて合計3種類の電力が存在します。
V2H機器は系統非連系という、同時に使用できる電力が1つしか使えない構造となっている機種があります。系統非連系の場合は、太陽光発電で発電した電力を使うことができません。
一方、系統連系という種類は同時に3種類の電力が使えるため、太陽光発電で発電した電力を貯めることができます。
- 系統非連系…同時に使用できる電力が1つ。太陽光発電の電力は使えない
- 系統連系…同時に3種類の電力が使える。太陽光発電の電力は使える
系統連系は停電時に使える電力容量が大きいといったメリットもあるため、V2H機器を選ぶ時は系統連系を選びましょう。
エコ突撃隊で販売しているV2Hの種類は?
エコ突撃隊では、ニチコンとパナソニックのV2Hを販売しています。メーカーや機器によって特徴が異なるので、購入前に確認しましょう。
次項より、メーカーごとのV2Hを解説します。
ニチコン
エコ突撃隊で販売しているニチコンのV2Hは「発展型太陽光パワーコンディショナ」と「トライブリッド蓄電システム」です。
発展型太陽光パワーコンディショナは太陽光発電や蓄電池、V2Hを柔軟に連携させる次世代パワーコンディショナです。
性能に優れたパワコンと蓄電容量7.7kWhと9.7kWhの2種類から選べる蓄電池がセットになっている機器で、別売りのV2Hシステムを導入することができます。
専用アプリや室内リモコンで蓄電池とV2Hシステムを制御できるため、遠出をする場合は電気自動車への充電を優先し、台風に備えて蓄電池への充電を優先するといった使い方が可能です。
トライブリッド蓄電システムはトライブリッドパワコンと蓄電池ユニット、V2Hスタンド&V2Hポッド™がセットになっている商品になります。
蓄電池は4.9kWhと7.4kWhの2種類があり、それぞれ同じ蓄電容量の機器を増設可能です。つまり、全部で4つのパターンがあり、最大14.9kWhの蓄電池ユニットを設置できます。
また、系統電力(電力会社から購入した電力)だけでなく、太陽光発電システムや蓄電池から電気自動車への倍速充電が可能なこともポイントです。
ニチコンは、高性能なパワコンとセットになっているV2Hが欲しい方に適しています。
パナソニック
エコ突撃隊で販売しているニチコンのV2Hは「eneplat」です。
高出力6.0kWながら、スリムな形状をしたパワーステーションと蓄電池用コンバータを採用しており、設置面積を削減して、省スペースでの設置を可能としています。
さらに、対応している電気自動車なら6.0kWによる充電が可能なので、充電時間を短くしたい方におすすめです。
また、ライフスタイルや設備にあわせて複数の種類の蓄電容量から選べます。エコ突撃隊で購入できるタイプは蓄電容量3.5kWhとやや少ないですが、コンパクトなサイズで室内に設置が可能です。
ほかにも、パナソニックではEVライフを便利にする「おうちEV充電サービス」というアプリを配信しており、電気代のシミュレーションや近くの充電スポットの検索、ポイントの獲得と交換などが行えます。
宅内に蓄電池を設置したい方や、便利なアプリに興味がある方はパナソニックのV2Hを検討しましょう。
まとめ
以上が、V2Hの解説になります。V2Hは、電気自動車を単なる移動手段だけでなく、停電時の非常用電源や電気料金の節約ツールとして活用できる画期的なシステムです。
日本は災害が発生しやすい国のため、V2Hは停電リスクへの備えとして高い注目を集めています。
導入には、V2H機器と対応する電気自動車が必要で一定のコストがかかりますが、補助金制度や電気代削減効果を考慮すれば、長期的なメリットも大きいと言えるでしょう。
エコ突撃隊ではV2Hや家庭用蓄電池の販売から設置まで行っております。創業26年、総施工件数25,000件を突破しており、これまでに多くの方に喜んでいただいております。V2Hや家庭用蓄電池に関するご相談がありましたら、ぜひご連絡ください。