蓄電池
2025/03/15
DR補助金とは?家庭用蓄電池の補助金制度の申請条件や補助金額などをわかりやすく解説
DR補助金とは、家庭用蓄電池を購入する際に条件を満たせば補助金を受けられる制度です。年度によって条件や金額は異なりますが、2025年度に開催するDR補助金では、家庭用蓄電池1台あたり最大60万円の補助が受けられます。
高額な家庭用蓄電池を購入しやすくなる補助金制度ですが、幾つか注意すべきポイントもあるので、内容を知っておくことが重要です。
そこで今回は、DR補助金について解説します。申請条件や補助金額などを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、本記事は2025年2月末日時点での情報に基づいて作成しております。
DR補助金とは?
DRとは「ディマンド・リスポンス(Demand Response)」の略称で、日本語に訳すると需要応答です。
電力は作る量と消費量が同じ時に同じ量である「同時同量」が求められています。需給バランスが一致していないと電気の周波数が乱れてしまい、電気の供給が正常に行えなくなる可能性があります。
実際、2018年9月に北海道全域で起きた停電は電力需給バランスの崩壊が原因でした。
そのため、発電所だけに調整を任せるのではなく、家庭用蓄電池や電気自動車などの需要側が持つエネルギー源を活用して、需給バランスをコントロールするという考え方がDRの基本です。
例えば、電力の需要が増える時期や時間帯に、供給側が需要側に節電の要請を行い、需要側が消費電力を抑える節電や、蓄電池に溜めてある電力を使用するなどを行うことを「下げDR」と呼びます。
2022年の6月末頃は例年と比べて猛暑となったため、電力の需要が電力会社の予想を上回りました。そこで、東京電力エナジーパートナーや株式会社エネットなどは、法人を含めた顧客に対して下げDRを要請して、需給バランスをコントロールしました。
DRを民間レベルで実現するためには、家庭用蓄電池の普及率を高めて、DR要請を繰り返し出すことが重要です。
つまり、DR補助金とは、家庭用蓄電池の導入に補助金を出す代わりに、政府が出したDR要請への参加を求められる補助金制度になります。
DR補助金の概要
2025年に開催を予定しているDR補助金は2024年度の補正予算のため、同様の内容になると予定されています。
次の表は2024年度に開催されたDR補助金の概要をまとめたものです。
DR補助金の概要 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 令和5年度補正 家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業 |
予算額 | 75億円 (産業用は15億円) |
条件 | 下記の要件をすべて満たしている・本事業の実施のために新規で導入された蓄電池であること ・SIIで事前に登録された機器であること ・DR対応可能な設備であること(HEMSを設置することも認められる) ・国が認めた事業者であること ・設備費と工事費の合計が蓄電容量14.1万円/kWh以下であること ・補助金交付前に発注や契約を結んでいないこと |
補助金の対象 | 設備費と工事費 |
補助金の上限額 | 1台あたり最大60万円で、下記いずれか金額が低い方が採用される 設備費と工事費の合計の3分の1 初期実効容量3.7万円/kWh ※商品次第では最大9,000円/kWhの増額 |
スケジュール | 公募期間:2024年4月10日(水)~2024年12月6日(金) 事業完了:2025年1月15日(水)まで (※予算額に達した場合は申請受付期間内でも受け付けを終了する予定) |
本事業の正式名称は非常に長いので、本記事ではDR補助金と略称させていただきます。事業の詳しい内容を、次項より順番に解説します。
DR補助金のスケジュール
2024年度に開催されたDR補助金は2024年4月10日(水)~2024年12月6日(金)までが申請期間で、事業完了を2025年1月15日(水)までに行う必要がありました。
しかし、記事執筆時点で、2025年度のDR補助金のスケジュールは不明です。
DR補助金の公募期間は半年以上あるのが通例でしたが、2025年度のDR補助金は2024年度の補正予算のため、公募期間が短縮される可能性があります。
そのため、事業者によっては記事執筆時点で早期の申請予約受け付けを開始しており、公募開始と同時にスムーズに申請が可能です。
本事業は予算額に達した時点で公募受付期間であっても受付を終了します。公募開始や交付状況についてはDR補助金を行っている一般社団法人環境共創イニシアチブのホームページで確認しましょう。
DR補助金の予算額と補助金額
2024年度のDR補助金は75億円で、家庭用蓄電池に対する補助金の予算はそのうちの60億円になります。
DR補助金は数年連続で開催されていますが、年々補助予算が増えていく傾向があります。
ただし、2025年度のDR補助金は2024年度の補正予算のため、現時点で予算総額が幾らになるかは不明です。
予算額によっては、早期に補助金が尽きてしまう可能性があるので注意しましょう。
なお、2024年度のDR補助金の家庭用蓄電池の補助上限額は1台につき60万円です。
補助金額は設備費と工事費の合計額の3分の1か、初期実効容量1kWhあたり3.7万円のいずれか低いほうになります。
たとえば、初期実効容量が20kWhで、設備費と工事費の合計額が180万円以上の家庭用蓄電池なら、補助上限額の60万円が交付されます。
DR補助金の条件
DR補助金の条件は以下の通りです。
- 本事業の実施のために新規で導入された蓄電池であること
- SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)で事前に登録された機器であること
- DR対応可能な設備であること(HEMSを設置することも認められる)
- 国が認めた事業者であること
- 設備費と工事費の合計が14.1万円/kWh以下であること
- 補助金交付前に発注や契約を結んでいないこと
条件を要約すると、「SIIで認められた高性能な家庭用蓄電池を国が認めた事業者から購入すること」となります。
なお、設備費と工事費の合計額は1kWhあたり14.1万円以下が条件に含まれています。
目標価格以下での購入が補助金の条件で、年度によって1kWhあたりの金額が異なるので注意しましょう。
DR補助金の注意点
- 契約は交付決定後に行う
- 政府のDR要請に従う必要がある
- HEMSの導入に補助金が出ない
- 国が行っている他の補助金との併用はできない
上記を順番に解説します。
契約は交付決定後に行う
DR補助金の申請から補助金の給付までの流れは以下の通りです。
- 販売業者が国に登録を行う
- 登録された販売業者がDR補助金の交付申請をSIIに行う
- SIIで審査を行う
- 交付決定通知が販売業者に届く
- 販売業者と契約を結び工事を始める
- 工事完了後、販売業者は完了報告書をSIIに提出する
- 完了報告書の確認後、補助金が交付される
上記の流れでポイントとなるのは、DR補助金は交付が決定してから契約を結ぶことです。交付決定前に契約を結ぶと補助金の対象にならないので注意しましょう。
政府のDR要請に従う必要がある
DR補助金では政府の需要応答プログラムに参加することが求められます。購入者が作業する必要はありませんが、政府が下げDRを出した場合、蓄電池の電力が自動で消費される可能性があるので、不便に感じる場合はあります。
また、DR補助金で購入した蓄電池は法定耐用年数が処分制限期間となります。家庭用蓄電池の場合は、法定耐用年数が6年と定められているので、購入してから6年間は処分できません。
HEMSの導入に補助金が出ない
DR補助金は政府のDR要請に従う義務があるので、家庭用蓄電池に遠隔でコントロールする機能が必須です。機種によってはDR対応となっている家庭用蓄電池もありますが、機能を搭載していない場合はHEMSを導入します。
HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略称で、蓄電池だけでなく太陽光発電システムやエアコンなどの電気機器をつなぎ、エネルギーの使用状況を可視化して、コントロールする機器です。
購入したい家庭用蓄電池にDR対応機能が搭載されていない場合、HEMSの導入が必須ですが、HEMSの導入はDR補助金の対象ではありません。HEMSの相場は5万円~20万円で、家庭用蓄電池の蓄電容量が多いほど高いです。
すでにHEMSが設置されている家庭なら問題ありませんが、DR補助金で家庭用蓄電池を導入する場合はDR対応の機能が搭載されている機種を選びましょう。
国が行っている他の補助金との併用はできない
DR補助金は国庫を財源としている補助金制度です。国庫を財源としている家庭用蓄電池の補助金制度には「こどもエコすまい支援事業」や「DER補助金」などがあります。
概要 | |
---|---|
こどもエコすまい支援事業 | 省エネ性能の高い住宅へのリフォーム工事に補助金を出す事業 家庭用蓄電池の場合は1台あたり64,000円 |
DER補助金 | 国が行う予定のDER実証実験への参加を求められる補助金事業 家庭用蓄電池の場合は1台あたり最大600,000円 |
原則として、国庫を財源としている補助金制度で同じ機器や工事の併用はできないです。
例えば、家庭用蓄電池を購入する際にDR補助金とDER補助金の両方に申し込んで、合計最大120万円の補助金を受けることは認められません。
一方で、別の機器や工事での併用は可能です。例えば、DR補助金で家庭用蓄電池の補助を受けて、こどもエコすまい支援事業で家庭用蓄電池以外のリフォーム工事の補助を受けることは可能です。
また、省エネ性能の高い住宅機器の導入に対しては地方自治体レベルで補助金を出すケースがあります。
例えば、東京都では「令和6年度 家庭における蓄電池導入促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」を行っており、蓄電池の設置のみでも補助金を出します。
国庫を財源としている補助金制度と地方自治体が行っている補助金制度は併用可能なケースがあるので、住んでいる場所によっては複数の補助金制度から補助金が貰えます。補助金制度を活用したい方は、住んでいる地方自治体の窓口に相談してみましょう。
DR補助金を利用して蓄電池を購入する際のポイント
DR補助金は主宰しているSiiが認めた一定以上の性能を持つ蓄電池に対して補助金がもらえる制度です。
事業者によって販売している蓄電池の種類や価格は異なりますが、初期実効容量によって補助金額の相場は違います。
次の表は、初期実効容量と補助金額の相場をまとめたものです。
初期実効容量 | 補助金の相場 |
---|---|
5kWh未満 | 20万円以下 |
5kWh~10kWh未満 | 20万円~45万円程度 |
10kWh以上 | 45万円~60万円 |
補助金額は設備費と工事費の3分の1か、初期実効容量1kWhあたり3.7万円のいずれか少ないほうが採用されるため、実際の金額と異なる可能性があります。
しかし、初期実効容量が高いほど補助金額が高くなる傾向があるのは事実です。
蓄電池は蓄電容量が多いほど金額は高額になりますが、多くの電力を溜めておくことができ、震災や非常時に停電が長続きしても複数の家電製品を長時間稼働できます。
蓄電容量が多い蓄電池を購入したいと考えている方は、DR補助金の活用を検討しましょう。
まとめ
以上が、DR補助金の解説になります。DR補助金は政府のDR要請に従う必要はありますが、家庭用蓄電池1台あたり最大60万円の補助金を受けられるのは魅力的です。
ただし、DR補助金は次のような注意点があるので、利用したい方は信頼できる販売業者に相談してみましょう。
- 契約は交付決定後に行う
- 政府のDR要請に従う必要がある
- HEMSの導入に補助金が出ない
- 国が行っている他の補助金との併用はできない
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