蓄電池
2023/06/23
DR補助金とは?家庭用蓄電池の補助金制度の申請条件や補助金額などをわかりやすく解説
家庭用蓄電池は設備費と工事費の合計で100万円以上になっても珍しくありません。そのため、家庭用蓄電池を導入するならDR補助金のような補助金制度の活用がおすすめです。
DR補助金は記事執筆時点で公募を開始している補助金制度で、家庭用蓄電池1台あたり最大60万円の補助が受けられます。高額な家庭用蓄電池を購入しやすくなる補助金制度ですが、幾つか注意すべきポイントもあるので、内容を知っておくことが重要です。
そこで今回は、DR補助金について解説します。申請条件や補助金額などを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
DR補助金とは?
DRとは「ディマンド・リスポンス(Demand Response)」の略称で、日本語に訳すると需要応答です。
電力は作る量と消費量が同じ時に同じ量である「同時同量」が求められています。需給バランスが一致していないと電気の周波数が乱れてしまい、電気の供給が正常に行えなくなる可能性があります。
実際、2018年9月に北海道全域で起きた停電は電力需給バランスの崩壊が原因でした。
そのため、発電所だけに調整を任せるのではなく、家庭用蓄電池や電気自動車などの需要側が持つエネルギー源を活用して、需給バランスをコントロールするという考え方がDRの基本です。
例えば、電力の需要が増える時期や時間帯に、供給側が需要側に節電の要請を行い、需要側が消費電力を抑える節電や、蓄電池に溜めてある電力を使用するなどを行うことを「下げDR」と呼びます。
2022年の6月末頃は例年と比べて猛暑となったため、電力の需要が電力会社の予想を上回りました。そこで、東京電力エナジーパートナーや株式会社エネットなどは、法人を含めた顧客に対して下げDRを要請して、需給バランスをコントロールしました。
DRを民間レベルで実現するためには、家庭用蓄電池の普及率を高めて、DR要請を繰り返し出すことが重要です。つまり、DR補助金とは、家庭用蓄電池の導入に補助金を出す代わりに、政府が出したDR要請への参加を求められる補助金制度になります。
DR補助金の概要
次の表はDR補助金の概要をまとめたものです。
DR補助金の概要 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 令和4年度補正 再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業費補助金 電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR対応蓄電池) |
予算額 | 40億円 (家庭用蓄電池は20億円) |
条件 | 下記の要件をすべて満たしている・本事業の実施のために新規で導入された蓄電池であること ・SIIで事前に登録された機器であること ・DR対応可能な設備であること(HEMSを設置することも認められる) ・国が認めた事業者であること ・設備費と工事費の合計が15.5万円/kWh以下であること ・補助金交付前に発注や契約を結んでいないこと |
補助金の対象 | 設備費と工事費 |
補助金の上限額 | 1台あたり最大60万円(補助率3分の1以内) |
スケジュール | 公募期間:2023年1月31日(火)~2023年12月22日(金)12:00必着 補助金の支給期限:2024年1月31日(火) (※予算額に達した場合は申請受付期間内でも受け付けを終了する予定) |
本事業の正式名称は非常に長いので、本記事ではDR補助金と略称させていただきます。事業の詳しい内容を、次項より順番に解説します。
DR補助金のスケジュール
DR補助金の公募期間は2023年1月31日(火)~2023年12月22日(金)12:00までです。申請は蓄電池の販売業者が代行するので、購入者が手続きを行うことはありません。
ただし、補助金の支給期限が2024年1月31日(火)までとなっているので、支給期限内までに蓄電池の設置を完了できるスケジュールになっているか確認を取りましょう。
なお、本事業は予算額に達した時点で公募受付期間であっても受付を終了します。交付状況についてはDR補助金を行っている一般社団法人環境共創イニシアチブのホームページで確認可能です。
2023年6月8日時点では、予算40億円に対して、約1.6億円の交付が決定されています。
DR補助金の予算額と補助金額
DR補助金の予算額は40億円程度です。程度と付くのは、DR補助金が同時に行われている複数の事業の1つで、全体の予算250億円のうち、40億円を割り当てられているからです。
各事業の執行状況によっては事業間で予算の流用を行う場合があると明記されており、DR補助金が増減する可能性は否定できません。なお、DR補助金は家庭用蓄電池と業務産業用システムが対象となっており、それぞれの予算は20億円が目安になります。
DR補助金の家庭用蓄電池の補助上限額は1台につき60万円です。補助の対象となる費用は設備費と工事費の合計額で、補助率は3分の1になります。
つまり、設備費と工事費の合計額が180万円の家庭用蓄電池なら、補助上限額の60万円が交付されます。
DR補助金の条件
DR補助金の条件は以下の通りです。
- 本事業の実施のために新規で導入された蓄電池であること
- SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)で事前に登録された機器であること
- DR対応可能な設備であること(HEMSを設置することも認められる)
- 国が認めた事業者であること
- 設備費と工事費の合計が5万円/kWh以下であること
- 補助金交付前に発注や契約を結んでいないこと
条件を要約すると、「SIIで認められた高性能な家庭用蓄電池を国が認めた事業者から購入すること」となります。
なお、設備費と工事費の合計額は1kWhあたり15.5万円以下が条件に含まれています。そのため、補助上限額60万円が交付されるには、蓄電容量が約11kWh以上の蓄電池が必要です。
DR補助金の注意点
DR補助金の注意点は以下の通りです。
- 契約は交付決定後に行う
- 政府のDR要請に従う必要がある
- HEMSの導入に補助金が出ない
- 国が行っている他の補助金との併用はできない
上記を順番に解説します。
契約は交付決定後に行う
DR補助金の申請から補助金の給付までの流れは以下の通りです。
- 販売業者が国に登録を行う
- 登録された販売業者がDR補助金の交付申請をSIIに行う
- SIIで審査を行う
- 交付決定通知が販売業者に届く
- 販売業者と契約を結び工事を始める
- 工事完了後、販売業者は完了報告書をSIIに提出する
- 完了報告書の確認後、補助金が交付される
上記の流れでポイントとなるのは、DR補助金は交付が決定してから契約を結ぶことです。交付決定前に契約を結ぶと補助金の対象にならないので注意しましょう。
政府のDR要請に従う必要がある
DR補助金では政府の需要応答プログラムに参加することが求められます。購入者が作業する必要はありませんが、政府が下げDRを出した場合、蓄電池の電力が自動で消費される可能性があるので、不便に感じる場合はあります。
また、DR補助金で購入した蓄電池は法定耐用年数が処分制限期間となります。家庭用蓄電池の場合は、法定耐用年数が6年と定められているので、購入してから6年間は処分できません。
HEMSの導入に補助金が出ない
DR補助金は政府のDR要請に従う義務があるので、家庭用蓄電池に遠隔でコントロールする機能が必須です。機種によってはDR対応となっている家庭用蓄電池もありますが、機能を搭載していない場合はHEMSを導入します。
HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略称で、蓄電池だけでなく太陽光発電システムやエアコンなどの電気機器をつなぎ、エネルギーの使用状況を可視化して、コントロールする機器です。
購入したい家庭用蓄電池にDR対応機能が搭載されていない場合、HEMSの導入が必須ですが、HEMSの導入はDR補助金の対象ではありません。HEMSの相場は5万円~20万円で、家庭用蓄電池の蓄電容量が多いほど高いです。
すでにHEMSが設置されている家庭なら問題ありませんが、DR補助金で家庭用蓄電池を導入する場合はDR対応の機能が搭載されている機種を選びましょう。
国が行っている他の補助金との併用はできない
DR補助金は国庫を財源としている補助金制度です。国庫を財源としている家庭用蓄電池の補助金制度には「こどもエコすまい支援事業」や「DER補助金」などがあります。
概要 | |
---|---|
こどもエコすまい支援事業 | 省エネ性能の高い住宅へのリフォーム工事に補助金を出す事業 家庭用蓄電池の場合は1台あたり64,000円 |
DER補助金 | 国が行う予定のDER実証実験への参加を求められる補助金事業 家庭用蓄電池の場合は1台あたり600,000円 |
原則として、国庫を財源としている補助金制度で同じ機器や工事の併用はできないです。
例えば、家庭用蓄電池を購入する際にDR補助金とDER補助金の両方に申し込んで、合計120万円の補助金を受けることは認められません。
一方で、別の機器や工事での併用は可能です。例えば、DR補助金で家庭用蓄電池の補助を受けて、こどもエコすまい支援事業で家庭用蓄電池以外のリフォーム工事の補助を受けることは可能です。
また、省エネ性能の高い住宅機器の導入に対しては地方自治体レベルで補助金を出すケースがあります。
例えば、東京都では「令和5年度 家庭における蓄電池導入促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」を行っており、蓄電池の設置のみでも補助金を出します。
国庫を財源としている補助金制度と地方自治体が行っている補助金制度は併用可能なケースがあるので、住んでいる場所によっては複数の補助金制度から補助金が貰えます。補助金制度を活用したい方は、住んでいる地方自治体の窓口に相談してみましょう。
エコ突撃隊でDR補助金対象機器の一覧
エコ突撃隊はDR補助金の申請が可能な事業者です。販売している家庭用蓄電池のなかで、次の商品は補助金の条件を満たしています。
蓄電池型番 | メーカー名 | 蓄電容量 | 特徴 |
---|---|---|---|
ESSーU2M1 | ニチコン株式会社 | 11.1kWh | 日常生活とは別に非常時用の電力を常に貯めているので、万一の停電に対応しやすい |
ESSーT3S1 | ニチコン株式会社 | 4.9kWh | 増設が可能な蓄電池で、ライフスタイルの変化に合わせて4.9kWh~14.9kWhまでに増える |
ESSーT3M1 | ニチコン株式会社 | 7.4kWh | |
ESSーH2L1 | ニチコン株式会社 | 12kWh | 業界トップクラスの大容量で高出力のため、家中の電力を丸ごとパックアップする |
PDSー1500S02 | 住友電気工業株式会社 | 3.3kWh(2台設置時:6.6kWh) | スリム化と密閉化により、わずかなスペースでも設置可能 |
PDHー6000S01 | 住友電気工業株式会社 | 12.8kWh | 大容量で、15年間の機器保証と見守りサービスが無償付帯 |
EIBIS7 | ダイヤゼブラ電機株式会社 | 7.04kWh(2台設置時:14.08kWh) | 家族の成長やライフスタイルの変化に合わせて後付けが可能な蓄電池 |
KPBPーA | オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社 | 6.3kWh~12.7kEh | 全部で5種類の商品から蓄電容量を選ぶことができ、屋内設置も可能 |
蓄電池はメーカーや機種によって蓄電容量や特徴が異なります。また、太陽光発電システムの有無や停電時の仕様などによっても、選ぶべき蓄電池は違ってくるので、購入する際にはある程度の知識が必要です。
まとめ
以上が、DR補助金の解説になります。DR補助金は政府のDR要請に従う必要はありますが、家庭用蓄電池1台あたり最大60万円の補助金を受けられるのは魅力的です。
ただし、DR補助金は次のような注意点があるので、利用したい方は信頼できる販売業者に相談してみましょう。
- 契約は交付決定後に行う
- 政府のDR要請に従う必要がある
- HEMSの導入に補助金が出ない
- 国が行っている他の補助金との併用はできない
「エコ突撃隊」では、家庭用蓄電池のメーカー正規品を低価格で販売しており、蓄電池のことや補助金制度についても熟知しています。家庭用蓄電池を購入したい方は、ぜひご相談ください。
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