蓄電池
2023/08/22
FIT終了後に、蓄電池を導入することは本当にメリットある?
2019年11月以降、固定価格買取制度(FIT制度)が終了して電力の買取価格が下がってしまう方が増えています。FIT制度終了後は、自家消費の割合を増やすことが重要とされており、蓄電池の購入はおすすめです。本記事ではFIT制度終了後に蓄電池を導入するメリットについて解説します。
固定価格買取制度(FIT制度)では、太陽光発電システムを導入してから10年間は電力の買取価格が決まっています。しかし、2019年11月以降は、10年間の期間が終了して電力の買取価格が下がってしまった方が増えています。
FIT制度終了後は発電した電力は売電するよりも、自家消費したほうが節電効果を期待できます。そのため、蓄電池の購入を検討してみましょう。
そこで今回は、FIT制度終了後に蓄電池を導入するメリットについてわかりやすく解説します。
FIT制度とは?
FIT制度とは、固定価格買取制度の略称で、電力会社が太陽光発電システムで発電した電力を買い取る際の価格を、国が定めた価格で一定期間買い取るように電力会社に義務付けた制度です。
例えば、2023年に太陽光発電システムを設置した方は、発電した電力を10年間1kWhあたり16円で買い取ってもらえます。
太陽光発電システムの買取価格は電力会社によって異なり、東京電力エリアなら2023年時点で1kWhあたり8.5円~13円程度が相場です。
ただし、上記の売電価格は10年後も同じとは限りません。実際、FIT制度の売電価格は次の表のように年々減少傾向にあります。
1kWhあたりの買取価格 | |
---|---|
2012年度 | 42円 |
2013年度 | 38円 |
2014年度 | 37円 |
2015年度 | 27円~35円 |
2016年度 | 25円~33円 |
2017年度 | 25円~30円 |
2018年度 | 25円~28円 |
2019年度 | 24円~26円 |
2020年度 | 21円 |
2021年度 | 19円 |
2022年度 | 17円 |
2023年度 | 16円 |
FIT制度の期間は10年間なので、2013年度に太陽光発電システムを購入した方は1kWhあたり38円で発電した電力を売電できていましたが、FIT制度終了後は買取価格が1kWhあたり8.5円~13円程度に下がります。
FIT制度終了後は売電と自家消費のどちらがお得?
結論から申し上げますと、FIT制度終了後は自家消費の割合を増やしたほうがお得になる可能性があります。
例えば、2013年度に太陽光発電システムを設置して、1年間で約4000kWhの電力を売電していた場合、FIT期間中の売電収入は年間約152,000円でしたが、FIT制度終了後は34,000円~52,000円まで低下します。
一方で、約4000kWhの電力を自家消費に回していた場合、電力会社から購入する電力量が減り、電気代の節約につながります。例えば、電力量料金単価が1kWh30円なら、約4000kWhの電力を自家は消費することで、電気代を年間120,000円節約できる可能性があります。
実際の電気代は、太陽光発電システムの発電力と電気料金メニューによって異なりますが、FIT制度終了後の売電価格と現在の電気量料金単価を比較すると、FIT制度終了後は発電した電気は売電するよりも自家消費したほうが良いです。
FIT制度終了後に蓄電池を導入するメリットは?
FIT制度終了後に蓄電池を導入するメリットは以下のとおりです。
- 夜間にも太陽光発電システムの電力が使用できる
- 太陽光発電システムのパワーコンディショナーを新しくできる
上記のメリットを順番に解説します。
夜間にも太陽光発電システムの電力が使用できる
FIT制度終了後に蓄電池を導入する最大のメリットは、夜間にも太陽光発電システムの電力を使用できるので、自家消費の割合が増えて電力会社から購入する電力量を減らせることです。
太陽光発電システムは太陽光エネルギーを電力に変えて発電する住宅機器です。発電するためには太陽光が必要なので、発電できる時間帯は主に日中です。
蓄電池を導入していない場合、発電した電力を貯めておくことができず、自宅で消費するか、電力会社に売却するしか選択肢はありません。
一方で、蓄電池を導入していれば自家消費しきれなかった余剰電力を貯めておくことができ、太陽光発電システムが発電できない夜間や朝方の電力として供給することが可能です。
蓄電池の蓄電容量が大きければ、夜間から朝方までの消費電力の大半を蓄電池で賄うこともできるので、電力会社から購入する電力量を大幅に減らせます。1日の購入電力量を半分に減らせれば、単純計算ですが電気代も半分になります。
太陽光発電システムのパワーコンディショナーを新しくできる
パワーコンディショナーとは、太陽光発電システムで発電した電力を家庭で使用できる電力に変換する機械です。ソーラーパネルの寿命は20年~30年と長期ですが、パワーコンディショナーは10年~15年と短いです。
FIT制度の終了時点で、太陽光発電システムを設置してから10年が経過しているので、パワーコンディショナーの交換時期になります。経済産業省資源エネルギー庁によれば、パワーコンディショナーの交換費用は約22.4万円です。
蓄電池は幾つか種類があり、太陽光発電システムと蓄電池のパワーコンディショナーが一体化してまとまっているハイブリッド蓄電池があります。
ハイブリッド蓄電池には、太陽光発電システム側のパワーコンディショナーも搭載しています。つまり、ハイブリッド蓄電池を導入すれば、太陽光発電システム側のパワーコンディショナーを買い替える必要がありません。
FIT制度終了後に蓄電池を導入する際の注意点
FIT制度終了後に蓄電池を導入する際は初期費用に注意しましょう。蓄電池は蓄電容量や種類によって初期費用は異なり、導入するためには100万円~200万円程度かかります。
導入後の節約効果を考えると、10年以上使用していれば初期費用を回収する可能性は十分あります。しかし、初期費用として100万円~200万円かかることは、人によっては大きな負担になります。
FIT制度終了後に蓄電池を導入するなら補助金制度を活用する
FIT制度終了後に蓄電池を導入したいと考えているなら、補助金制度の活用をおすすめします。
国や地方自治体は省エネ・創エネ住宅機器の導入に補助金を出しており、蓄電池も対象の1つです。
例えば、一般社団法人環境共創イニシアチブが開催している「DR補助金」では、補助率3分の1以内で、1台あたり最大60万円の補助金が貰えます。
蓄電池の販売価格が200万円なら最大60万円の補助が、100万円でも30万円と高額な補助金が貰える制度です。
一般社団法人環境共創イニシアチブが認めている蓄電池で、国が認めた事業者であることなど、幾つか条件はありますが、高額な蓄電池をお得に購入できる可能性があります。
「DR補助金」以外にも蓄電池を対象にしている補助金制度はあるので、条件を満たしている補助金制度を比較してみましょう。
ただし、補助金制度は予算が尽きてしまったら申し込み期限前に終了します。「DR補助金」の予算は20億円で、2023年8月17日時点で、約7億円分の申し込みが完了しています。
タイミングによっては申し込めない可能性もあるので注意しましょう。
FIT制度終了後に蓄電池と一緒に導入したい住宅機器は?
FIT制度終了後に蓄電池と一緒に導入したい住宅機器は、IHクッキングヒーターとエコキュートです。両方とも、電気の力で調理や給湯を行なう住宅機器になります。
ガスコンロからIHクッキングヒーターへ、ガス給湯器からエコキュートへ買い替えれば、ガスが不要になるため、ガス代を節約できます。
特に、ガスコンロからエコキュートへの買い替えは、お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約できます。次の表は、ガス給湯器とエコキュートの年間ランニングコストを比較したものです。
ガス給湯器 | エコキュート | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約104,400円 | 約54,000円 |
東北電力エリア | 約98,400円 | 約48,000円 |
北陸電力エリア | 約112,800円 | 約42,000円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約73,200円 | 約37,200円 |
中部電力エリア | 約81,600円 | 約25,200円 |
関西電力エリア | 約75,600円 | 約20,400円 |
中国電力エリア | 約108,000円 | 約43,200円 |
四国電力エリア | 約93,600円 | 約44,400円 |
九州電力エリア | 約102,000円 | 約20,400円 |
沖縄電力エリア | 約62,400円 | 約27,600円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能や家族の人数によって異なりますが、ガス給湯器からエコキュートに交換することでコストが大幅に下がるのが分かります。
エコキュートは電気と空気の熱の力でお湯を沸かす給湯器です。ヒートポンプユニットにて圧縮された空気の熱でお湯を温めるので、ガス給湯器を含めたほかの給湯器よりもランニングコストが抑えられています。
IHクッキングヒーターやエコキュートに交換すると、ガス代は発生しなくなりますが、電気代がかかります。しかし、FIT制度終了後に自家消費に切り替えているなら、使用電力量が増えても太陽光発電システムや蓄電池によってカバーできる可能性はあります。
FIT制度終了後は蓄電池やIHクッキングヒーター、エコキュートなどを購入してオール電化住宅を目指してみましょう。
まとめ
以上が、FIT制度終了後に蓄電池を導入するメリットの解説です。FIT制度終了後に蓄電池を導入するメリットは、余剰電力を夜間や朝方に使用できるようになるので、1日の購入電力量を減らせることです。
一方で、蓄電池は初期費用が高額なので、購入する際は補助金制度を活用しましょう。
「エコ突撃隊」は補助金制度や蓄電池に詳しいスタッフが対応致します。蓄電池やIHクッキングヒーター、エコキュートなどのメーカー正規品を低価格で販売しているので、FIT制度終了後の自家消費について悩んでいる方は、ご相談ください。
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