エコな知識
2024/12/10
エネファームって実際どうなの?太陽光・蓄電池との組合せは?
省エネ性能の高い給湯器として有名なエネファームですが、実際にどうなのか気になっている方もいるかもしれません。そこで今回は、エネファームのシステムや設置価格、使い勝手、太陽光発電・蓄電池との組み合わせなどをわかりやすく解説します。エネファームに興味がある方は、最後までご覧ください。
エネファームとは?
エネファームは正式名称を「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」といい、ガスを利用して電気を発電し、発生する熱を給湯に活用する省エネ型システムです。
燃料電池と聞くと電気を貯める蓄電池を連想しがちですが、エネファームには電気を蓄える機能はありません。あくまで電気を発電し、同時に熱を無駄なく利用するという一石二鳥の仕組みです。
エネファームは都市ガスやプロパンガスのどちらにも対応しており、従来のガス給湯器に比べてエネルギーの無駄を削減できるため、環境性能に優れています。
一方で、ガスを使用するシステムであるため、ガス代がかかる点には注意が必要です。
ガス会社によってはエネファーム向けの料金プランを提供している場合があるため、導入を検討する際にはガス料金プランを確認し、自宅の電気・ガス使用状況と照らし合わせて判断しましょう。
エネファームは、効率的なエネルギー利用ができるうえ、環境負荷を軽減できる魅力的な選択肢です。ただし、設置コストやランニングコストも含めて総合的に検討することが大切です。
エネファームのメリットは?
エネファームは、「発電機付きの給湯器」とも言える画期的なシステムです。家庭で自家発電を行うことで、電力会社から購入する電気を減らすことができ、電気料金を抑えられます。
発電にガスを使用するため、ガスの使用量は増えますが、ガス事業者ごとに用意している料金メニューにより、月々のトータルの光熱費がお得になることが最大のメリットです。
年間での電力購入量を半分以下にして、トータルの光熱費が年間トータルで約3割程度削減できる試算も出ています。
エネファームの使い勝手は?
エネファームから住宅側へ供給できる電気量は、最大で700Wとなっています。
一般的な4人家族の場合、平均的に使用している電力は1~2kWhのため、使っている電気の約半分の電気をエネファームから補うことができます。
また、貯湯できる量はメーカーによって異なりますが、パナソニックの場合は100Lの商品があるため、風呂や家事、洗濯などに気兼ねなくお湯を使うことが可能です。
各メーカーにより若干異なりますが、液晶モニターのリモコンが付属していますので、普段の給湯器としての操作も従来のリモコンと、変わらずお使いいただけます。
つまり、ガス給湯器からエネファームに買い替えたとしても、使い勝手が大きく変わるわけではありません。
床暖房の熱源としても使える
エネファームは、給湯器としてキッチンやお風呂で使用するお湯を作るだけでなく、熱を活用して床暖房の熱源として利用できるタイプも販売しています。
ガス式の床暖房は電気式に比べて立ち上がりが早いのが特徴です。寒い冬の日に家に帰ってすぐに部屋を暖めたい場合、ガス式床暖房のスピーディーな暖房性能は大きなメリットとなります。
さらに、エネファームを使った床暖房は、部屋全体を足元から均一に暖めるため、エアコンのような乾燥感がなく、快適性が高いのも魅力です。
停電時も使えるタイプがある
エネファームには、停電時でもガスが供給されていれば自立運転に切り替わり、発電を行うことで最低限の電気とお湯を使用できるタイプがあります。災害時や停電時に非常に頼りになるため、防災対策として注目されている機能です。
自立運転機能を持つエネファームは、最大で約700Wの電気を供給できるため、冷蔵庫と照明、小さめの液晶テレビ、携帯電話の充電などの日常生活に必要な最低限の電力を賄うことができます。
ただし、全てのエネファームが停電に対応できる機能を備えているわけではありません。災害対策としてエネファームの導入を検討している方は、停電時対応タイプを選びましょう。
エネファームの価格は?
エネファームは、一般販売を行っておりませんので、好きなところで自由に変えるシステムではありません。基本的にはガス関連の会社を通じてしか、購入ができませんので設置工事と共に費用が掛かってきます。
エネファームの本体価格
- パナソニック製:約200万円前後~
- アイシン精機製:約200万円前後~
エネファームの工事費用
- 設置工事:約40万円前後~
上記より、各社の割引などを踏まえたとしても、実質の導入費用としては約200万円~250万円程度が市場の一般的な価格です。
ZEHや低炭素住宅の補助金取得に効果を発揮
エネファームは、省エネ性能を高める設備として、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)や低炭素住宅の補助金取得に大きな効果を発揮します。
上記の補助金では、「一次エネルギー消費量」の削減が評価基準となっており、エネファームを導入することで、削減率を大幅に向上させることができます。
例えば、標準的な住宅と比較して、低炭素住宅は10%以上、ZEHでは20%以上の一次エネルギー削減が必要です。
エネファームでは従来の給湯暖房システム(+火力発電のエネルギー)とエネファーム(アイシン精機のタイプS)と比較すると、9.0MJから5.4MJと、約40%削減できる計算になり、この一次エネルギー削減率を高めるとことができます。
さらに、ZEHよりも省エネ基準が高くなった次世代ZEH+では水素と酸素を反応させて作り出した水のエネルギーを、電気エネルギーや熱エネルギーに変換して使えるようにした電池の導入が条件の1つに含まれています。
エネファームは条件の電池を満たしている機器のため、次世代ZEH+の要件を満たしたいときに役立つでしょう。
エネファームのデメリットは?
エネファームの最大のデメリットは高額な初期コストです。
従来のガス給湯器に比べると、エネファームは高度な技術を使用したシステムのため、設置費用が非常に高くなる傾向があります。
実際、想定使用年数としては一般的な給湯器と同等で約7年~10年前後での運用の寿命があるため、太陽光発電のように「元を取る」というシステムではありません。長期使用の運用で初期費用を回収することは難しいと覚えておきましょう。
ただし、エネファームはエネルギー効率が非常に高く、発電時に発生する熱を給湯や暖房に再利用するため、日々のエネルギー使用における無駄を大幅に削減できます。
さらに、ガス会社によってはエネファーム利用者向けの割安なガス料金プランを提供しており、運用コストを抑えることも可能です。
つまり、初期投資が高額でも、ランニングコストの削減によってある程度バランスを取ることができます。
エネファームの購入を検討する際には、初期コストとランニングコストの両方を考慮し、長期的な視点でコストパフォーマンスを判断しましょう。また、ガス会社や専門業者に相談し、自分のライフスタイルやエネルギー使用状況に合ったプランを見つけることが重要です。
エネファームのベストな使い方は?
エネファームを最大限活用するには、設置条件や家庭のエネルギー利用状況を考慮した運用が重要です。
例えば、都市ガスはプロパンガスに比べて料金が安く、エネファーム向けの特別な料金プランを利用することで、ランニングコストをさらに抑えることが可能なため、都市ガスが利用できる地域ではエネファームの導入を検討しましょう。
また、ガスの利用を好む家庭にとって、エネファームは非常に魅力的な選択肢です。特に、ガスを活用した暖房システムを併用する場合、エネファームの発電時に生じる熱を暖房に再利用できるため、エネルギー効率をさらに高めることができます。
初期コストがやや高額なため、導入するかどうか迷う方もいますが、地域のガス供給状況や家庭のエネルギー使用状況を踏まえた計画的な運用により、エネファームは効果的に活用可能です。
そのため、購入したい方は、専門業者やガス会社に相談して最適な運用プランを見つけましょう。
太陽光発電と蓄電池との同時設置の場合
太陽光発電とエネファームは、それぞれが独立して電気を作り出す設備であり、直接的に連携はしません。
しかし、この2つを併用することで、自宅で必要な電力を昼夜問わずまかなう「電気の自給自足」を実現することが可能です。
- 昼間は太陽光発電が発電
- 夜間はエネファームによる発電
昼夜問わずに電力を発電できるため、電気料金の大幅な節約を期待できます。
ただし、エネファームと太陽光発電は高額な機器のため、同時に購入した場合の負担が大きいです。また、エネファームを稼働するためにはガスが必要なので、ガス会社との契約を終了することができません。
太陽光発電は「ダブル発電」に該当することが注意点(既存太陽光ありのご家庭のリフォームのみ)
太陽光発電を既に導入している家庭が、リフォームでエネファームを後から設置する際は「ダブル発電」に該当する可能性があります。
「ダブル発電」とは、同一の家庭で2つ以上の発電設備を持ち、それぞれが同時に発電を行う状態を指します。
具体的には、太陽光発電と新たに設置したエネファームが同時に電力を生み出す場合が該当し、現在FIT権利が残っている方(設置から10年経過していない方)は売電単価が落ちますので、その点だけご注意ください。
- 2014年度(kWh):シングル発電37円/ダブル発電30円
- 2015年度(kWh):シングル発電33円/ダブル発電27円
- 2016年度(kWh):シングル発電31円/ダブル発電25円
- 2017年度(kWh):シングル発電28円/ダブル発電25円
- 2018年度(kWh):シングル発電26円/ダブル発電25円
- 2019年度(kWh):シングル発電24円/ダブル発電24円
- 2020年度(kWh):以降はシングル発電とダブル発電の価格は同じ
なお、2024年現在、新たに太陽光発電とエネファームを設置する場合は、売電単価は変わらないため気にする必要はありません。
蓄電池とエネファーム両方からの電気で生活
蓄電池とエネファームは併用が可能です。エネファームから700W、太陽光発電や蓄電池から残りの電気を供給することにより、ほぼ自給自足が成り立ちます(蓄電池等のシステムを稼働させるために買電している僅かな電気のぞく)。
また、エネファームから電気を住宅側へ供給すれば、太陽光発電で発電した電力をより多く売ることができるので、売電収入を増やすことが可能です。
ただし、太陽光発電も現在、売電単価が下落してきていることから、売らずに自己消費した方が良い、という考え方にシフトしています。
余剰電力を売らずに蓄電池に貯めておき、自家消費に回すという考え方が一般的になりつつあるため、蓄電池とエネファームの併用は電気料金の節約に大きく貢献します。
なお、蓄電池の種類によってはエネファームとの併用ができない場合があるため、購入する際に確認しましょう。
まとめ
以上が、エネファームの解説になります。エネファームはガスから水素を抽出して、化学反応によって電気を生み出す家庭用燃料電池です。発生時の熱を利用してお湯を沸かすことから、給湯器としての活用もできます。
ガスを用いる給湯器ですが、発電機能があるため電気料金の節約効果を期待でき、停電時にもしばらく使用できるなどのメリットがあるため、ガスを使い続けたい方におすすめです。
ただし、エネファームは初期費用がかなり高額で、発電した電力を太陽光発電のように売電はできません。太陽光発電や蓄電池との相性は悪くありませんが、ガス会社との契約を終了できないため、オール電化住宅を目指せないことも無視できないデメリットです。
そのため、省エネ性能が高い給湯器を購入したい方はエコキュートを検討しましょう。
エコキュートは電気と空気の熱によってお湯を沸かす給湯器で、従来のガス給湯器やエネファームよりもランニングコストが抑えられています。お湯を沸かすのにガスを必要としないので、太陽光発電や蓄電池との相性も良いです。
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