オール電化
2026/09/28
エコキュートの沸き増しとは?沸き上げとの違いや使えるようになるまでの時間などを解説

エコキュートのリモコンには「沸き増し」というボタンがありますが、普段は使わないまま過ごしている人も少なくありません。お湯が足りなくなりそうなときに押すものだと分かっていても、電気代が高くなると聞いて手が止まってしまうこともあります。
沸き増しは、タンクのお湯が不足しそうなときに追加でお湯を沸かす機能です。日々自動で行われる沸き上げとは、運転のきっかけが異なります。
この記事では、沸き増しの意味と沸き上げとの違いから、押してから使えるようになるまでの時間、電気代の考え方、メーカー別の操作方法までを解説します。
エコキュートの沸き増しとは

沸き増しとは、貯湯タンクのお湯が不足しそうなときに、追加でお湯を沸かす機能です。
エコキュートは、ヒートポンプユニットで沸かしたお湯を貯湯タンクにためておき、必要なときに取り出して使う仕組みになっています。ガス給湯器のように使うたびにお湯を作るわけではないため、ためてある分を使い切ると湯切れが起き、設定した温度のお湯が出せなくなります。
この湯切れを避けたり、湯切れした状態から回復させたりするために用意されているのが沸き増しです。リモコンのボタン操作で、必要だと感じたタイミングで実行できます。
なお、沸き増しには、利用者がボタンを押して行うものと、機種が湯量を判断して自動で行うものがあります。「押していないのに昼間に運転している」と感じる場合は、後者が働いていることがあります。それぞれの違いは後ほど詳しく取り上げます。
沸き増しと沸き上げの違い
沸き増しと沸き上げは、どちらもお湯を沸かす動作ですが、運転が始まるきっかけが異なります。それぞれの位置づけは次のとおりです。
| 項目 | 沸き上げ | 沸き増し |
|---|---|---|
| 位置づけ | 通常運転 | 臨時の運転 |
| 運転のきっかけ | 設定や学習した使用量にもとづく | お湯が不足しそうなとき |
| 沸かす量 | 1日に必要と判断された量 | 不足分を補う量 |
| 実行される時間帯 | 設定した時間帯 | 必要になったとき |
沸き上げは、その家庭が1日に使う湯量をまかなうための通常運転です。多くの機種は過去1〜2週間程度の使用実績を学習し、必要な量を自動で判断して沸かします。
一方の沸き増しは、その日の使用量が想定を超えたときに、足りない分だけを補う臨時の運転です。沸き上げが定期的なものであるのに対し、沸き増しは必要が生じた場面だけで動きます。
沸き上げは深夜に行われるものだと説明されることがありますが、これは電気料金の安い夜間に沸かす設定が一般的だったためです。近年は太陽光発電の余剰電力を活用するため、昼間に沸き上げをシフトする機種も登場しており、時間帯で両者を区別することはできません。
なお、浴槽のお湯を増やす「たし湯」や「高温さし湯」は、タンクにためたお湯を浴槽へ送る操作です。タンクのお湯そのものを増やす沸き増しとは目的が異なるため、混同しないよう注意してください。
自動で行われる沸き増しと手動で行う沸き増し
沸き増しには、利用者が操作して実行するものと、機種が自動で実行するものがあります。動きかたは主に次のとおりです。
- 手動の沸き増し
- 自動の沸き増し
手動の沸き増しは、リモコンのボタンを押して実行します。多くの機種では沸かす湯量も指定でき、必要な分だけを追加できます。実行するかどうかを自分で判断するため、湯量や時間帯を意識した使い方ができる一方、押し忘れれば湯切れを防げません。
自動の沸き増しは、残湯量や過去の使用量から不足すると判断された場合に機器が実行します。制御のしかたはメーカーや機種によって異なり、貯湯量が一定を下回った時点で動くものもあれば、使用実績から不足を予測して動くものもあります。
湯切れを防げる反面、電気料金の高い時間帯に運転することがあり、意図しない電気代の増加につながります。
リモコンを操作していないのに昼間に運転しているときは、この自動沸き増しか、昼間に沸き上げを行う設定が働いていると考えられます。日立の「湯切れ防止設定」のように、自動での追加沸き上げをオフにできる機種もあるため、電気代を優先するなら設定を確認し、必要なときだけ手動に切り替える運用も選べます。
沸き増しが必要になるタイミング

沸き増しを使うかどうかは、その日の残湯量と、これから使う予定の湯量を照らし合わせて判断します。判断の材料になるのは主に次のような場面です。
- 来客があり入浴する人数が普段より増える
- 洗い物やシャワーの使用量が普段より多かった
- リモコンの残湯量表示が少なくなっている
- 湯切れを知らせる表示が出ている
前半の2つは、これから足りなくなると予想できる場面です。エコキュートは過去の使用実績をもとに沸かす量を決めているため、普段と違う使い方をした日は学習した量では不足します。宿泊客がある日や、大掃除などでお湯を多く使った日が当てはまります。
後半の2つは、すでに残量が減っている状態を示すものです。残湯量表示は、リモコンで設定している給湯温度に換算した目安として示されます。表示が半分を下回っていたり、目盛りが残り少なくなっていたりする場合は、その日の入浴前に沸き増しを検討する場面です。
いずれの場合も、湯切れしてから慌てるより、入浴の前に残湯量を確かめておくほうが余裕を持って対応できます。沸き増しは押してすぐお湯が増えるわけではないため、時間の余裕があるうちに判断することが大切です。
沸き増しにかかる時間の目安
沸き増しにかかる時間は、追加する湯量のほか、機種の能力や外気温、給水温度によって変わります。そのため全機種に共通する目安は存在せず、メーカーが示している数値を確認するのが確実です。
主要メーカーが公表している能力は、次のとおりです。
| メーカー | 沸かせる湯量の目安 |
|---|---|
| パナソニック | 42℃換算で100Lの沸き増しに約1時間 |
| 日立 | 約40℃換算で1時間あたり冬季120L、夏季240L |
パナソニックの機種では、沸き増しする湯量を100L単位で指定でき、100Lにつきおよそ1時間かかります。浴槽1杯分の湯はりに180〜200L程度を使う家庭が多いことを踏まえると、湯はり1回分を確保するには2時間前後の余裕を見ておく計算です。
日立は季節による差を明示しており、冬季と夏季で沸かせる量が倍近く違います。外気温が低いほどヒートポンプが空気から熱を集めにくくなるため、同じ1時間でも作れる湯量が減るためです。
なお、両社の数値は換算している温度が異なるため、そのまま比較することはできません。自宅の機種でどれくらいかかるかを知りたい場合は、取扱説明書か各メーカーの公式サイトで確認してください。
沸き増し中でもお湯は使えるのか
沸き増しの運転中でも、お湯は問題なく使えます。ヒートポンプユニットが沸かしている間も、貯湯タンクに残っているお湯は通常どおり取り出せる仕組みです。
ただし、湯切れした状態から沸き増しを始めた場合は事情が変わります。タンクに使えるお湯がほとんど残っていない状態では、沸き上がった分から順に消費していくことになり、設定した温度のお湯を安定して出せません。すぐに入浴したい場合でも、ある程度沸き上がるまで待つほうが確実です。
また、沸き増し中に大量のお湯を使うと、沸かす量と使う量が追いつかず、残湯量がなかなか回復しません。シャワーは1分あたり約10Lを使うため、10分間浴びるだけで100L近くを消費します。これは機種によっては1時間分の沸き増し量に相当する量です。
早く残湯量を戻したいときは、沸き増し中のお湯の使用を控えることが有効です。洗い物を後回しにする、入浴の順番を空けるといった調整で、回復までの時間を短縮できます。
沸き増しすると電気代は高くなる?
沸き増しそのものに割高な料金が設定されているわけではありません。負担が変わるのは、運転する時間帯と契約している電気料金プランの組み合わせによるものです。
電気代に影響する要素は主に次のとおりです。
契約している料金プランの種類
沸き増しを実行する時間帯
追加で沸かす湯量
料金プランには、夜間の単価が割安に設定されているものと、時間帯によって単価が変わらないものがあります。前者を契約している場合、昼間に買った電気で沸き増しをすると、夜間の沸き上げと同じ湯量でも支払う金額は大きくなります。
一方、時間帯別の設定がないプランでは、いつ沸き増しをしても単価は同じです。自宅がどちらに当てはまるかは、検針票や電力会社のマイページで確かめられます。
時間帯については、手動の沸き増しなら実行するタイミングを自分で選べます。ただし、必要になった時点で操作するものである以上、単価の安い時間帯まで待てるとは限りません。翌日まで待てる場合は、夜間の沸き上げに任せるほうが負担を抑えられます。
湯量は、必要な分だけを指定できる機種であればその設定を使うほうが無駄はありません。タンクを満タンにする設定にすると、使わずに残ったお湯の分まで電気を消費することになります。
メーカー別の沸き増しの操作方法
沸き増しの操作はリモコンから行いますが、ボタンの名称や湯量の指定方法はメーカーごとに違います。自宅の機種がどの方式かを把握しておかないと、必要な場面ですぐに操作できません。
なお、同じメーカーでも製造年やリモコンの種類によって手順が変わるため、以下は代表的な操作として参考にしてください。
パナソニックの沸き増し操作
台所リモコンの「沸き増し」スイッチを押し、上下ボタンで湯量を選んでから決定します。指定できる湯量は42℃換算で100L、200L、300L、400L、500L、全量の6段階です。
購入時は500Lに設定されているため、少しだけ足したい場合は湯量を下げてから決定してください。全量に設定した場合は24時間後に自動で解除されます。浴室リモコンからは、メニューを開いて「タンク沸き増し」を選ぶ形で操作できます。
日立の沸き増し操作
「タンク沸き増し」ボタンを押して操作します。台所リモコンと浴室リモコンのどちらからでも実行できる点が特徴です。
ボタンを押すと湯量の目盛りが点滅するので、上下ボタンで希望の目盛りに合わせます。そのまましばらく待つと点滅が点灯に変わり、音声と表示で知らせたうえで沸き増しが始まります。中止したいときは、もう一度同じボタンを押してください。
三菱の沸き増し操作
台所リモコンのふたを開けたところにある「満タン」ボタンを押します。名称に「沸き増し」が入っていないため、探して見つからないという声が多い部分です。
満タンボタンは押した当日のみ有効で、タンクが満タンになった後もお湯を100L使うと再び沸き増しを開始します。必要がなくなったら、もう一度押して解除してください。湯量を指定したい場合は「沸き増し」スイッチから設定します。
ダイキンの沸き増し操作
リモコンのふたを開け、「沸き増し」ボタンを数回押して湯量を設定します。押すたびに設定が切り替わる方式です。
湯量は5段階から選べるほか、6時間、12時間、24時間といった時間を指定する「満タン」設定も用意されています。この設定にすると、指定した時間内はタンクのお湯が減るたびに満タンまで沸き上げるため、来客が続く日などに向いています。設定が完了すると音声で案内され、そのまま運転が始まります。
沸き増しに頼らずに湯切れを防ぐ方法
沸き増しは湯切れへの対処であり、そもそも湯切れを起こさない使い方に整えておくほうが、時間の面でも電気代の面でも負担が軽くなります。方法は以下のとおりです。
- 入浴前に残湯量を確認する
- シャワーの使い方を見直す
- 沸き上げモードの設定を変更する
- お湯を多く使う日は前夜に備えておく
- 家族構成が変わったらタンク容量を見直す
それぞれ、順番に解説します。
入浴前に残湯量を確認する
最も手軽で効果があるのが、入浴を始める前にリモコンで残湯量を確かめる習慣です。
湯切れは、残量に気づかないまま使い続けた結果として起こります。表示を見て少ないと分かれば、入浴の順番を空けて回復を待つ、洗い物を後回しにするといった調整ができます。数秒の確認で、慌てて沸き増しを押す場面そのものを減らせます。
シャワーの使い方を見直す
シャワーは、家庭で使うお湯のなかでも消費量が大きい部分です。
1分あたり約10Lを使うため、体を洗っている間に出しっぱなしにすると、それだけで数十Lが失われます。使わない間はこまめに止める、家族の人数が多い日は1人あたりの時間を意識するといった工夫で、1日の使用量を抑えられます。
沸き上げモードの設定を変更する
頻繁にお湯が足りなくなるなら、沸き上げモードそのものが実態に合っていない可能性があります。
多くの機種には、必要最小限で沸かす省エネ寄りのモードと、余裕を持って沸かすモードが用意されています。湯切れが続くようなら、余裕のある設定に変更してください。逆にお湯が余りがちな家庭では、控えめな設定に変えることで無駄な沸き上げを減らせます。
お湯を多く使う日は前夜に備えておく
来客の予定がある日など、普段と違う使い方をすると分かっている場合は、前日の夜のうちに沸き上げ量を増やしておきます。
エコキュートは過去1〜2週間程度の使用実績を学習して沸かす量を決めるため、突発的な増加には対応できません。前夜に設定を変えておけば、電気料金の安い時間帯に必要な量を確保でき、翌日に昼間の沸き増しをせずに済みます。
家族構成が変わったらタンク容量を見直す
同居する人数が増えた場合、設定の調整だけでは足りないことがあります。
タンク容量は設置時の家族構成をもとに選ばれているため、人数が増えれば1日に必要な湯量も増えます。設定を変えても湯切れが続き、沸き増しが日常的になっているなら、容量そのものが合っていない可能性を考えてください。
買い替えの際に容量を見直すことで、湯切れの悩みから解放されます。
沸き増しができないときに考えられる原因
ボタンを押しても沸き増しが始まらない場合、機器の故障とは限りません。設定や外部の要因で運転が止まっていることもあるため、確認しやすいものから順に見ていきます。考えられる原因は主に以下のとおりです。
- 沸き上げを止める設定が有効になっている
- タンクが満タンで沸き増しの必要がない
- 断水や凍結で水が供給されていない
- 機器や基板の不具合
最初に確認したいのは、リモコンの設定です。休止設定や、指定した時間帯に沸き上げを行わない設定が有効になっていると、沸き増しの操作を受け付けないか、運転が始まっても途中で止まります。旅行前に休止設定にしたまま解除を忘れているケースは珍しくありません。
次に、タンクの残湯量を確認します。すでに満タンに近い状態であれば、沸き増しを実行しても運転は始まりません。残湯量表示が十分にあるなら、そもそも沸き増しが不要な状態と考えられます。
断水や配管の凍結が起きていると、タンクへ水を送れないため沸き上げそのものができません。冬の朝に急に動かなくなった場合は、凍結の可能性を疑ってください。気温の上昇とともに自然に解消することがほとんどです。
ここまで確認しても解消しない場合や、リモコンにエラーコードが表示されている場合は、機器側の不具合が考えられます。表示されたコードを控えたうえで、施工業者かメーカーへ相談してください。
設定を見直しても沸き増しが増える場合は点検も検討する
沸き上げモードを調整し、お湯の使い方も見直したうえで、それでも湯切れが続くようであれば、機器そのものの状態を確認する段階です。判断の材料になるのは主に以下の点です。
- 使い方や家族の人数が変わっていないのに湯切れが増えた
- エラーコードの表示が出るようになった
- 水漏れや異音などの症状が出ている
- 設置から10年以上が経過している
前の3つは、機器に何らかの不具合が生じているサインです。特に水漏れは、放置すると漏電や周辺の浸水につながるため、早めに専門業者へ見てもらう必要があります。エラーコードが出ている場合は、表示された内容を控えておくと相談がスムーズに進みます。
設置からの年数は、修理という選択肢が取れるかどうかを左右します。エコキュートの補修用性能部品は、製造の打ち切りからおおむね10年で保有期間が終わります。この期間を過ぎると、故障しても修理に必要な部品が手に入らず、結果として買い替えるほかなくなります。
設置から10年を超えているなら、点検の結果を踏まえて修理と買い替えの両方を検討してください。お湯が使えなくなってから慌てるより、動いているうちに見積もりを取っておくほうが、選択肢を残したまま判断できます。
太陽光発電があれば昼間の沸き増しを活用できる
太陽光発電を設置している住宅では、昼間の沸き増しに対する考え方が変わります。発電した電力を自宅で使えるため、電力会社から買う電気の量を抑えながらお湯を沸かせるからです。
昼間に発電した電力のうち、家庭で使い切れなかった分は余剰電力として売電に回ります。この余剰分を沸き増しに充てれば、買電量を増やさずに湯量を確保できます。夜間の沸き上げでは買った電気を使うことになるため、発電量に余裕がある時間帯にお湯を沸かすほうが有利になる場面もあります。
ただし、発電量は天候や設置容量によって変わります。曇りや雨の日、発電量が少ない冬場は自家消費でまかないきれず、不足分は買電することになる点は押さえておいてください。
こうした使い方を前提とした機種も広がっています。翌日の天気予報や日射量予報と連動し、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を備えたものや、太陽光発電の余剰電力の活用に特化した「おひさまエコキュート」と呼ばれる製品です。
国が実施する給湯省エネ2026事業でも、こうした機能を持つ機種であることが補助の要件になっています。
まとめ
以上が、エコキュートの沸き増しの解説になります。沸き増しは、貯湯タンクのお湯が不足しそうなときに追加でお湯を沸かす機能です。
日々自動で行われる沸き上げとは、運転が始まるきっかけが異なります。沸き上げが1日に必要な量をまかなう通常運転であるのに対し、沸き増しは足りない分だけを補う臨時の運転です。時間帯で区別されるものではありません。
押してすぐお湯が増えるわけではないため、入浴の予定から逆算して早めに操作することが大切です。パナソニックの機種では100Lの沸き増しにおよそ1時間かかり、日立では季節によって沸かせる量が倍近く変わります。
電気代については、沸き増し自体が割高なのではなく、実行する時間帯と契約中の料金プランの組み合わせで負担が決まります。夜間の単価が安いプランを使っているなら、昼間の沸き増しは避けたいところです。
そもそも湯切れを起こさないよう、残湯量の確認や沸き上げモードの見直しを習慣にしておけば、沸き増しに頼る場面自体を減らせます。設定を変えても改善しない場合は、機器の状態を確認してください。
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