オール電化
2024/06/13
エコキュートとはいったい何?知っておきたい仕組みと導入のメリット
エコキュートはメリットが多い給湯器のため、導入する住宅が増えています。また、地域によっては補助金が貰える場合もあり、お得に購入できる可能性が高いです。 一方で、エコキュートは一般的な給湯器とは仕組みが違うため、購入する前にエコキュートの仕組みやメリット・デメリットなどを知っておくと良いでしょう。
そこで今回は、エコキュートの仕組みを詳しく紹介し、導入のメリットやデメリットも説明します。
エコキュートとはどういうもの?
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器の名称です。本来の正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」で、エコキュートは関西電力の登録商標ですが、名前の響きや知名度の高さからエコキュートという愛称が広まっています。
給湯器にはエコキュート以外にガス給湯器や石油給湯器、電気温水器などがあり、お湯を温めるためのエネルギーは次のとおり異なります。
お湯を温めるためのエネルギー | |
---|---|
エコキュート | 電気と空気の熱 |
ガス給湯器 | ガス |
石油給湯器 | 石油(灯油) |
電気温水器 | 電気 |
電気を使用してお湯を沸かす給湯器には電気温水器がありますが、電気温水器と違ってエコキュートは空気の熱を利用することが最大の特徴です。
電気だけで加熱するよりもお湯の沸き上がりが早く、給湯に必要な電気エネルギーも少なく済みます。同じ湯量を沸かすための消費エネルギーが、電気温水器の3分の1程度に抑えられます。
エコキュートの仕組み
エコキュートはエアコンの室外機に似たヒートポンプユニットと、お湯を貯めておく貯湯タンクユニット、機器をコントロールするリモコンユニットの3つに分かれています。
機器ごとの仕組みを順番に解説します。
ヒートポンプユニットの仕組み
ヒートポンプユニット内部では冷媒(CO2)が循環しており、空気をファンが吸い込むと内部の空気側熱交換器を利用して冷媒が空気の熱を取り込ます。
取り込んだ熱はコンプレッサーで圧縮されると高温に上昇し、水加熱側熱交換器でお湯を作ります。役目を果たした冷媒は膨張弁で膨張されると温度が低下し、再び空気側熱交換器で空気の熱を取り込みます。
「熱」は高い温度から低い温度へと移動する性質があり、エコキュートやエアコンといったヒートポンプ技術を活用している機器は、冷媒を温めたり冷やしたりすることで、熱を移動させて、お湯を作ったり、室内の温度を調整したりしています。
貯湯タンクユニットの仕組み
貯湯タンクユニット内部には温められたお湯と水道水が層のように重なって溜まっています。低温の水道水はヒートポンプユニットの水加熱側熱交換器で温められると高温のお湯となり、タンク内部の上部に溜まっていき、必要に応じて各所に給湯されます。
お湯を溜めておく仕組みとなっているため、エコキュートは貯湯式給湯器です。一般的なガス給湯器は給湯時にガスでお湯を直接沸かしてすぐに給湯するため、瞬間式給湯器と呼びます。
- エコキュート…貯湯式給湯器
- ガス給湯器…瞬間式給湯器
貯湯タンクユニットの仕組みはシンプルで、水道水やお湯を溜めておき、必要に応じて各所に給湯することです。基本的な仕組みはメーカーによって違いはありません。
しかし、メーカーごとに貯湯タンクユニットに用いられている技術や材質などが異なるため、年間給湯保温効率が異なる場合があります。エコキュートを選ぶ際は、貯湯タンクユニットの性能もチェックしてみましょう。
リモコンユニットの仕組み
リモコンユニットはエコキュートの全体的なコントロールを行う機器です。給湯温度の設定やお湯はりの量や時間、お湯を沸かす時間帯の設定など、さまざまな操作ができます。
台所と風呂場の二カ所に設置し、メーカーや機種によっては機器を通じて会話することが可能です。また、機種によってはスマートフォンアプリとの連携機能があり、自宅に居なくてもお湯はりの設定や、遠い場所で暮らしている方の見守りなどが行えます。
電気温水器との違い
エコキュートと電気温水器は、両方とも電気を使う給湯器で、貯湯タンクユニットが必要などの共通点はありますが、お湯の沸かし方に大きな違いがあります。
電気温水器は金属に電気を流して発熱させる「電熱ヒーター」を用いてお湯を作る機器です。電気で直接お湯を沸かそうとするため、エコキュートよりも電気代が約3~4倍かかります。
一方で、エコキュートに比べて設置費用は安く、ヒートポンプユニットを設置するスペースが必要ないことは電気温水器のメリットです。
エコキュートを導入するメリットとは?
エコキュートを導入するメリットは以下のとおりです。
- お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約できる
- 非常用の生活用水を確保できる
- 環境に負荷をかけにくい
上記のメリットを順番に解説します。
お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約できる
エコキュートの最大のメリットは、お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約できることです。次の表は、同じ湯量を沸かした場合のエコキュートとほかの給湯器のランニングコストを比較したものになります。
エコキュート | ガス給湯器 | 電気温水器 | 石油給湯機 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約104,400円 | 約184,800円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約98,400円 | 約189,600円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約112,800円 | 約166,800円 | 約70,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約73,200円 | 約158,400円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約81,600円 | 約100,800円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約75,600円 | 約87,600円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約108,000円 | 約176,400円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約93,600円 | 約193,200円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約102,000円 | 約84,000円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 約62,400円 | 不明 | 約55,200円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能やお湯の使い方などによって異なりますが、すべての地域でエコキュートのランニングコストが抑えられていることが分かります。
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。お湯を沸かすために必要なエネルギーの消費量がガスや石油、電気のみに比べると少なく済むため、お湯を沸かすためのランニングコストが安いです。
地域やエコキュートの性能にもよりますが、東京電力エナジーパートナーエリアでガス給湯器からエコキュートに交換した場合、年間約35,000円の節約ができ、10年間で約350,000円の節約効果を期待できます。
家庭の支出を減らしたいと考えている方は、エコキュートへの買い替えを検討してみましょう。
非常用の生活用水を確保できる
エコキュートは貯湯タンクユニットにお湯を溜めており、外側から操作すると取り出すことが可能です。
メーカーや機種によって貯湯タンクユニットの容量は異なりますが、4人家族向けの一般的なエコキュートの場合、貯湯容量が370L程度はあります。つまり、エコキュートを購入していれば2Lペットボトル換算で約185本分の生活用水を確保できます。
エコキュートの貯湯タンクユニットから取り出したお湯は飲用水として使用できませんが、体を拭いたり、食器を洗ったりする生活用水として使用することは可能です。万が一、断水が発生しても、生活用水を大量に確保できていることは安心に繋がります。
環境に負荷をかけにくい
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器のため、ガス給湯器や石油給湯器に比べてCO₂排出量が抑えられています。
メーカーや機種によって異なりますが、従来のガス給湯器からエコキュートに買い替えると、年間約22%のCO₂排出量の削減が可能です。
また、エコキュートは電気で稼働する住宅機器のため、太陽光発電システムとの相性が非常に良いです。太陽光発電システムを設置して発電すれば、エコキュートを稼働するための電気をご自宅で賄うこともできます。
つまり、エコキュートはガス給湯器や石油給湯器などの他の給湯器に比べて、環境に負荷をかけにくいというメリットもあります。環境のことを考えている方は、エコキュートの導入も検討してみましょう。
エコキュートを導入するデメリットは?
エコキュートを導入するデメリットは以下のとおりです。
- 初期費用はガス給湯器よりも高額
- お湯を使いすぎると湯切れが起きる
- 設置場所を選ぶ
- 電気代が高くなる可能性はある
上記のデメリットを順番に解説します。
初期費用はガス給湯器よりも高額
エコキュートの最大のデメリットは、工事費込みの初期費用がガス給湯器に比べて高額な傾向があることです。
メーカーや機種によりますが、ガス給湯器の工事費込みの初期費用の相場が150,000円~250,000円程度に対して、エコキュートは400,000円~700,000円となっています。
エコキュートに買い替えた場合と、ガス給湯器に買い替えた場合では、初期費用で差額250,000円~450,000円が発生するため、初期費用だけを考えるとガス給湯器のほうがお得です。
ただし、エコキュートはランニングコストがお得なため、エリアや機器によっては10年以内に初期費用の差額を回収できる可能性は十分にあります。
例えば、東京電力エナジーパートナーでガス給湯器からエコキュートに買い替えた場合、10年間で約350,000円、14年目で約450,000円を超えます。
エコキュートの寿命は10年~15年と言われているため、購入するエコキュートの価格にもよりますが、初期費用の差額を回収でき、一定の節約効果を得られる可能性は高い給湯器です。
お湯を使いすぎると湯切れが起きる
エコキュートは貯湯式給湯器です。夜間にお湯を沸かして、翌日にお湯を消費する仕組みとなっており、お湯を使いすぎると湯切れを起こす可能性があります。
湯切れになれば、お湯を沸かすまで利用できません。お湯を使いたい時に、すぐに利用できないことは不便なポイントです。
また、湯切れを起こして日中にお湯を沸かすと、ランニングコストが高くなる可能性もあります。
エコキュートのランニングコストが安い理由の1つに、季節別時間帯別電灯に切り替えることが挙げられます。季節別時間帯別電灯とは、季節や時間帯によって電気量料金単価が異なるプランで、基本的に日中よりも夜間の方が1kWhあたりの単価が安いです。
例えば、東京電力エナジーパートナーでは、スマートライフSの電気量料金単価が適用されます。
単位 | 料金 | ||
---|---|---|---|
基本料金 | 10Aにつき | 1契約 | 295.24円~ |
電気量料金単価 | 午前6時~翌午前1時 | 1kWhあたり | 35.96円 |
午前1時~午前6時 | 28.06円 |
湯切れを繰り返して日中にお湯を沸かそうとすると、電気代が余分にかかってしまい、お湯を沸かすためのランニングコストが高くなってしまう可能性があります。
エコキュートを導入した場合、お湯の使い方に注意しましょう。
設置場所を選ぶ
エコキュートは一般的なガス給湯器に比べて設置場所を選ぶ給湯器です。
エアコンの室外機に似たサイズのヒートポンプユニットに加えて、人の背丈よりも大きい貯湯タンクユニットを設置し、なおかつメンテナンスするスペースを確保する必要があります。
狭小スペース用のエコキュートも販売されていますが、必ず設置できるとは限りません。
また、過去にはヒートポンプユニットの騒音被害も報告されています。現在では機器の性能や環境への配慮も進んでおり、音は小さくなり、場合によっては防音壁や防音シートを設置するなどの対策もあるため、音が問題になるケースは少ないです。
しかし、ヒートポンプユニットの向きによっては冷たい空気が隣家に流れてしまう可能性があります。
そのため、エコキュートを購入する際は、設置状況を確認し、エコキュートに関する詳しい知識を持った業者に依頼すると良いです。
電気代が高くなる可能性はある
エコキュートは電気代が安くなる夜間にお湯を作ります。そのため、夜間の電気量料金単価が安い電気プランのご家庭は問題ありませんが、時間帯で電気代が変動しないプランのご家庭は電気プランを変更しないと、光熱費の節約につながりません。
一方で、夜間の電気量料金単価が安いプランは日中の料金が高くなるため、日中の消費電力量が多い家庭では電気代が高くなる可能性があります。
トータルでの電気代を節約したい方は、エコキュートだけでなく、太陽光発電システムや蓄電池の設置も検討してみましょう。
エコキュートを選ぶときのポイント
エコキュートを選ぶときのポイントは次の4つになります。
- 住んでいる地域
- 設置形状とスペース
- タンクの容量と家族の人数
- 給湯タイプ
それぞれ、順番に解説します。
①住んでいる地域
エコキュートは外気の熱を利用する給湯器のため、外気が寒い寒冷地には寒冷地仕様の製品を選ぶ必要があります。
大まかな目安としては最低気温がマイナス10℃までなら一般地仕様、最低気温がマイナス25℃までなら寒冷地仕様のエコキュートで対応できます。なお、マイナス25℃を下回る地域では、エコキュート自体が使用できません。
外気温以外にも塩害被害が多い地域では、耐塩害仕様のエコキュートを購入するか、建物を間に挟むように設置するなどの対策が必要です。
②設置形状とスペース
エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクを設置するスペースが必要になります。スペースに合わせられるように角型タイプと薄型・スリム型の2種類がありますが、スペースによってはエコキュートを設置できない場合があります。
エコキュートを購入する際は施工会社ときちんと相談し、将来的なメンテナンスに必要なスペースや隣人とのトラブルにならないのかを確認しましょう。
③タンクの容量と家族の人数
タンクの容量はエコキュートの本体価格に直結しますが、同時にタンクが大きいほど使用できる湯量が増えます。家族の人数と貯湯タンクの目安は次の通りになります。
家族の人数 | タンク容量 |
---|---|
3人~5人 | 370L |
4人~6人 | 460L |
5人~7人 | 550L |
上記は目安のため家族構成や生活スタイルによっては必要なタンク容量が異なります。エコキュートを選ぶ際は、適切なサイズの商品を選びましょう。
なお、エコキュートはお湯の使用状況を学習して必要な分だけの湯量を作るため、貯湯タンクが大きいエコキュートだと電気代が大幅にアップすることはありません。
④給湯タイプ
エコキュートの給湯タイプは次の3つがあります。
- フルオート…お湯を入れるところから、たし湯まで全自動で管理
- オート…お湯を入れるのが自動化。さし湯やたし湯も可能
- 給湯専用…お湯を入れるところから手動のシンプルタイプ
基本的にフルオートタイプのエコキュートは手間が掛からず、多くの機能を搭載しているため便利でおすすめです。
ただし、フルオートタイプのエコキュートは配管やポンプの目詰まり・腐食を防ぐために、指定の入浴剤以外は禁止となっています。さまざまな入浴剤を使用したい方はオートタイプや給湯専用タイプを選びましょう。
エコキュートと相性の良い住宅機器は?
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器のため、電気と関係のある太陽光発電システムや蓄電池との相性が非常に良いです。
例えば、太陽光発電システムを設置していれば日中の余剰電力を用いてエコキュートを稼働させることができます。
本来、エコキュートは夜間にお湯を沸かしますが、設定を変更すれば日中に沸かすことが可能です。太陽光発電システムの余剰電力でエコキュートを稼働させれば、お湯を沸かすためのランニングコストをさらに節約できます。
蓄電池があれば電気料金単価が安い夜間に電気を蓄えておき、料金が高い日中の消費電力量を減らせて、トータルでの電気料金の節約が期待できます。
また、太陽光発電システムや蓄電池があれば、停電時でもエコキュートを稼働でき、お湯を沸かすことが可能です。
つまり、太陽光発電システムや蓄電池はエコキュートのデメリットを補うことができ、万が一の事態が発生しても普段に近い生活を送ることができます。
エコキュートを設置する際は、一緒に太陽光発電システムや蓄電池の設置も検討してみましょう。
我が家にぴったりなエコキュートを選ぼう
以上が、エコキュートの仕組みとメリットやデメリットの解説です。エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器で、省エネ性能に優れているためお湯を沸かすためのランニングコストが抑えられます。
エコキュートを導入するメリットとデメリットは以下のとおりです。
エコキュートを導入する | |
---|---|
メリット | お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約できる 非常用の生活用水を確保できる 環境に負荷をかけにくい |
デメリット | 初期費用はガス給湯器よりも高額 お湯を使いすぎると湯切れが起きる 設置場所を選ぶ |
メリットとデメリットを比較すると、エコキュートは導入したほうがメリットのほうが大きい給湯器と言えます。
エコキュートを導入するデメリットはありますが、知識が豊富な業者から家庭に合った商品を低価格で購入できるならデメリットを抑えることが可能です。
「エコ突撃隊」は独自の仕入れルートにより、メーカー正規品を低価格で販売しております。エコキュートに関する知識が豊富なスタッフが現地調査を行い、ご家庭に合った商品を提案いたします。エコキュートに興味がある方は、ぜひご相談ください。
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