オール電化
2024/06/16
エコウィルの入れ替えは?エネファームとエコワンとエコキュートの比較
エコウィルは発電機能と給湯機能を兼ね備えた機器で、省エネ性能も高いことから人気を集めていました。しかし、2017年9月に新規販売を終了しており、故障した場合の入れ替えが難しくなっています。
エコウィルとは?
エコウィルとは、ガスエンジンが発電することで、電気とお湯を同時に作るガスコージェネレーションシステムのことです。クリーンな都市ガスで発電するため、環境に優しく、発生した熱を暖房に有効利用することで省エネも実現しています。
エコウィルの特徴は光熱費が安くなることです。実は、電力会社からそのまま電気を購入するよりも、ガス会社から購入したガスで発電する方が電気料金は安くなります。
ガス料金の支払いは増えますが、従来システムよりも年間購入電力量が40%もダウンし、光熱費が年間約67,000円もお得になるのです。
2つ目の特徴はエコウィルによる発電はエネルギー利用率が高いため、環境に優しいことが上げられます。
一般的な発電システムだと電力所で発生した電力を各家庭に送電するのですが、送電する過程で送電ロスが発生します。つまり、すべての電気を無駄なく使用するということができないのです。
また、発電時の排熱なども利用できないため、一般的な発電システムだとエネルギー利用率は約40%と言われています。
一方でエコウィルは、ガスをエコウィルまでに届け、エコウィル内部で発電するため、エネルギー利用率が約92%と非常に高いです。発生した電力や熱を無駄なく使えるため、省エネ性が高い発電機になります。
ほかにもエコウィルには、CO₂排出量を削減する、発電だけでなく暖房や給湯までマルチに活躍できる、電気の送電が止まっても自立運転可能などの特徴があります。
エコウィルの仕組み
エコウィルの仕組みはガスエンジン発電ユニットで電気と熱を発生させます。電気はそのまま家庭の各所に給電し、熱は排熱利用給湯暖房ユニット(貯湯ユニット)に送り、給湯と暖房に利用します。
機種にもよりますが家族の生活パターンを学習し、効率よく発電します。例えば、日中は家にいる人数が少ないためエコウィルは自動停止し、夕方から翌朝まで稼働する、といったパターンを独自に設定します。
なお、電気の使用量が1.0kWを超える、あるいはエコウィルが停止状態になると電力会社から電気を購入します。購入電力量は少なくなりますが、電気代がゼロになるということはありません。
エコウィルは2017年に新規販売を終了
エコウィルは2003年に販売をスタートしました。ガスエンジンで発電をする家庭用コージェネレーションシステムということで、電気の市場にガスが乗り込んだ形になり注目されました。
スペックの高さや環境性能の良さから省エネ大賞などを獲得していましたが、ガス給湯器と比べて初期費用が高い、短いサイクルで定期点検が必要、お湯の使用量が少ない季節は発電量が減少するなどのデメリットがあり、2017年9月に新規販売を終了しました。
つまり、記事執筆時点ではエコウィルを新しく購入する、あるいは同じ製品を買い替えることはできません。
エコウィルから別の機器に入れ替えを検討している方は、次の3つのどれかを選択することになります。
- エネファーム
- エコワン
- エコキュート
それぞれの違いを見ていきましょう。
エネファームとエコワンとエコキュートの特徴と違い
エネファームとエコワン、エコキュートはどれも省エネ給湯器ですが、動力やエネルギー効率などに違いがあります。
次の表は、3つの省エネ給湯器の特徴などをまとめたものになります。
エネファーム | エコワン | エコキュート | |
---|---|---|---|
特徴 | ガスから水素を取り出して発電・排熱を行う | ガスと電気の両方を動力とした給湯器 | 電気と空気の熱を利用してお湯を作る給湯器 |
正式名称 | 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム | ハイブリット給湯・暖房システム | 家庭用ヒートポンプ式給湯器 |
動力 | ガス | ガス・電気 | 電気 |
エネルギー効率 | 約80% | 約130% | 約300% |
発電能力 | あり | なし | なし |
給湯能力 | あり | あり | あり |
貯湯タンク | あり | あり | あり |
販売価格 | 200万円前後 | 80万円前後 | 50万円前後 |
耐用年数 | 20年 | 10年 | 10年 |
それぞれの特徴について、順番に詳しく解説します。
エネファームとは?
エネファームとは発電能力と給湯能力を兼ね備えた家庭用燃料電池コージェネレーションシステムです。エコウィルと同様にガスを動力としていますが、エネファームはガスから取り出した水素と酸素で発電します。
電池とありますが、電池・蓄電池としての機能はなく、どちらかというと発電機兼給湯器として使用できます。
都市ガスやLPガスに含まれている水素と空気中の酸素を化学反応させて発電するのと同時に排熱もしているため、エコウィルと同じように給湯・暖房機能があります。
エネファームの最大の特徴は自宅で発電するため、年間購入電力量を減らせることで、電気代金の節約が可能になるということです。
従来ガスシステムからエネファームに切り替えた場合の光熱費を、仙台市ガスのシミュレーションで算出したものが次になります。
年間ガス代 | 年間電気代 | 年間の合計 | |
---|---|---|---|
従来ガスシステム | 89,400円 | 144,600円 | 234,000円 |
エネファーム | 90,100円 | 107,500円 | 197,600円 |
エネファームはガスを使用して電力と熱を作る省エネ給湯器のため、年間ガス代金は従来システムよりも高くなります。しかし、年間購入電力量が少なくなるため、年間の合計金額が従来ガスシステムよりも安くなります。
また、発電した電力を家庭ですぐに使用できるため送電ロスがほとんどなく、発電時に騒音が発生しにくい仕組みのため近隣住民への影響が少ないです。
2009年に販売がスタートし、2019年時点で販売台数が31.3万台を突破しており、注目を集めています。
エネルギー利用率が高く、省エネ性能の高い機器ですが、デメリットもあります。例えば、発電機能と給湯機能がセットになっているため、導入コストがほかの省エネ給湯器よりも高いことです。
また、太陽光発電システムと異なり、発電した電力を電力会社に売電することができない、ガスの供給が止まってしまうと発電できないといったデメリットがあります。
エコワンとは?
エコワンはガスと電気を動力としたハイブリッド給湯・暖房システムです。電気を用いたヒートポンプ技術と、ガスによって直ぐに給湯できる機能の2つを兼ね備えています。
エネファームやエコキュートは、それぞれの技術で温めた水をタンクに貯湯して、必要に応じて給湯する仕組みとなっています。この仕組みだと、湯切れが起きた時にすぐにお湯を給湯するのは難しいです。
エコワンは余裕があるときはタンクに貯湯したお湯を給湯しますが、湯切れが起きた場合はガスによって瞬時にお湯を沸かして給湯します。つまり、エコワンは状況に合わせて柔軟に給湯できる省エネ給湯器になります。
従来システムに比べて光熱費を削減できるのもエコワンの特徴になります。次の表はリンナイのエコワンランニングコストシミュレーションを用いて算出したものになります。
年間ガス代 | 年間電気代 | 年間の合計 | |
---|---|---|---|
従来ガスシステム | 129,700円 | 101,300円 | 231,000円 |
エコワン | 53,100円 | 138,100円 | 191,200円 |
エコワンは基本的に電力でお湯を作り、湯切れを起こした場合にガスでお湯を作ります。そのため、年間電気代は増加しますが、年間ガス代が約60%削減され、結果として年間光熱費が従来システムよりも安くなります。
シミュレーションは都市ガスで設定しているため、都市ガスよりも価格が高いプロパンガスを用いている地域ならさらに安くなる可能性もあります。
また、エコワンはスマートフォンから操作できる機種もあるため、お湯はりや床暖房を遠隔操作したり、光熱費をアプリで確認したりすることもできます。
年間光熱費を削減でき、多機能高性能なエコワンですがデメリットもあります。例えば、動力に電気だけでなくガスも必要としているため、エコキュートよりも導入費用が高くなる点です。
また、上記のシミュレーションでは従来システムよりも光熱費が安くなると出ましたが、家庭によっては光熱費の削減効果が少なくなります。
エコワンは給湯機能しか搭載していないため、住んでいる人数が少ない、お湯の年間使用量が少ない家庭だとそれほど削減効果は期待できません。
エコキュートとは?
エコキュートとは、電気と空気の熱を用いてお湯を作る家庭用ヒートポンプ式給湯器のことです。
エアコンなどにも用いられるヒートポンプ技術を利用しており、空気の熱からお湯を作るため、非常にエネルギー効率が高く、お湯を作るのにガスを一切使わないことがポイントです。
同じ量のお湯を作る場合、エコキュートのランニングコストを1とすると、ほかの給湯器は次のようになります。
- エコキュート…1
- 電気温水器…4
- 石油給湯器…2
- ガス給湯器…3
エコキュートは従来の給湯システムに比べてはるかに効率よくお湯を作ることが可能です。次の表は三菱電機のシミュレーションを用いて算出した年間給湯光熱費の比較です。
家族の人数 | 従来のガス給湯器(都市ガス) | エコキュート |
---|---|---|
2人 | 57,011円 | 23,875円 |
3人 | 66,688円 | 28,280円 |
4人 | 76,282円 | 32,648円 |
エコキュートに交換することで、従来のガス給湯器に比べて年間給湯光熱費は半額以下になります。家族の人数が多い家庭ほど削減できる金額が大きくなるため、家計の節約につながります。
また、エコキュートは動力が電気のため、太陽光発電システムとの相性が非常に良いです。
給湯に必要なランニングコストが最も安いエコキュートですが、デメリットは従来のガス給湯器よりも初期費用が掛かることと、貯湯式のため湯切れが発生しやすいことです。
エコキュートのランニングコストが安いのは、電気料金が安い深夜にお湯を作るためです。エコキュートを導入する際に変更する料金プランは日中の電気代が高く、深夜は安くなる特殊なプランとなっています。
関西電力「はぴeタイムR」 | 1kWhの電気量料金 | |
---|---|---|
デイタイム(昼間時間) | 夏季 | 28.87円 |
その他の季節 | 26.24円 | |
リビングタイム(生活時間) | 22.80円 | |
ナイトタイム(夜間時間) | 15.37円 |
表にあるように、ナイトタイムに比べてリビングタイムやデイタイムの電気量料金は高額になります。日中に湯切れを起こしてしまうと、電気料金の高い時間帯にお湯を作ってしまうため、無駄な出費となります。
また、エコキュートの電気プランは日中の電気料金が高くなるプランのため、日中に人がいる、日中の消費電力が高い家庭だと、電気料金が高額になってしまう恐れもあります。
エコウィルの入れ替えではどれを選べばいいの?
エコウィルの入れ替えを検討している場合、選択肢は次の3つになります。
- エネファーム
- エコワン
- エコキュート
エコウィルとエネファームは発電機能と給湯機能の両方を兼ね備えた機器です。
一方、エコワンとエコキュートは給湯機能だけを搭載した給湯器になります。
そのため、「給湯器を入れ替える」のが目的なら、ランニングコストや初期費用を考えてエコワンやエコキュートを選択すべきです。
発電機としての機能が必須ならばエネファームを選ぶ必要があります。
入れ替えに必要な予算
エネファーム、エコワン、エコキュートの大きな違いは販売価格です。
エネファーム | エコワン | エコキュート | |
---|---|---|---|
販売価格 | 200万円前後 | 80万円前後 | 50万円前後 |
3つのなかで最も販売価格が安いのはエコキュートで、エコワンはヒートポンプ技術以外にガス給湯機能もあるためエコキュートよりも高くなります。エネファームは給湯機能以外に発電機能まで付いているため、販売価格が最も高額となります。
費用面で考えるならエコキュートを選ぶとよいでしょう。
エネファームへの入れ替えが最適な人
発電機兼給湯器を交換する目的で入れ替える方はエネファームを選びましょう。
エコウィルは発電機能と給湯機能を兼ね備えた機器で、同様の性能を発揮できるのはエネファームだけです。
つまり、エコウィルと同じ製品が欲しい方はエネファームに買い替えるのが唯一の選択肢になります。
ただし、エネファームはオール電化住宅と相性が悪いです。
エネファームは太陽光発電システムと同じように発電機能はありますが、発電した電力を売電することはできません。
また、動力にガスを必要としているため、ガス会社と契約する必要があります。
エコウィルを買い替える際に太陽光発電システムを導入しようとしている場合は、エネファームではなくエコキュートを選択するとよいです。
エコワンへの入れ替えが最適な人
同居する家族の人数が多い方や、頻繁にお風呂に入りたい方など、使用する湯量が多い方はエコワンを選ぶとよいでしょう。
エコワンはガスで湯沸しするエコキュートの機能、ガスで湯沸しするガス給湯器の機能の双方を備えた給湯器です。
エコキュートはあらかじめ沸かしておいたお湯を貯湯タンクに貯めて使用します。
日中にお湯を使い切ってしまうと、割高な電気代での湯沸しをする必要があり、時間もお金もかかってしまいます。
エコワンはエコキュートに比べると販売価格こそ高いですが、エコキュートと違って湯切れの心配をする必要がありません。
また、契約するエコワン用の電気料金プランは日中の料金が高くなるといった特徴がないため、日中に家に人がいる家庭でも契約しやすいというメリットがあります。
使用する湯量が多い方、湯切れが心配な方はエコワンへの入れ替えを検討しましょう。
エコキュートへの入れ替えが最適な人
導入費用やランニングコスト等、費用面にこだわる方はエコキュートを選ぶのが最適です。
エコキュートは3つの中で導入費用が最も安いだけでなく、月々にかかる電気代を含む継続的な費用面でも優れています。
エコキュートはエコワンに比べて販売価格が安く、給湯するのにガスを必要としないため、オール電化住宅との相性が非常に良いです。
近年では太陽光発電システムとの連携性も上がり、既に設置している、あるいはこれから設置を検討している方はさらにお得になるでしょう。
給湯器以外の機能を必要としたり、湯切れを頻繁に起こしたりしない方はエコキュートを選ぶとよいでしょう。
エコウィルを安く入れ替えする方法
エコウィルを安く入れ替えるなら補助金をチェックしてみましょう。
政府や自治体は省エネルギー性能の高い給湯器への買い替えに対して、補助金やポイントの付与といった制度を行っています。
2024年にはエネファームやエコワン、エコキュートを対象に高額の補助金をもらえる「給湯省エネ2024事業」が実施されています。
- エネファーム…18万円/台
- エコワン…15万円/台
- エコキュート…8万円/台
対象機器によって補助金の額が異なる他、特定の条件を満たすことで更に増額できます。
給湯省エネ2024事業は国からの補助金制度の一例で、ほかにも都道府県や自治体で補助金制度を行っているかもしれません。
自治体等によって補助金制度の有無や金額は異なりますが、要件を満たしていれば補助金は給付されるため、エコワンやエコキュート、エネファームの購入を考えている方は確認をしてみましょう。
ただし、補助金制度は先着順のため、予算が尽きてしまった、あるいは申込期限が切れている場合もあります。
ご家庭の状況次第ではありますが、申し込みは早めに行うことをおすすめします。
給湯省エネ2024事業について詳しくは下記の記事をご覧ください。
まとめ
以上が、エコウィルの入れ替えについての解説になります。エコウィルを別の機器に入れ替える場合、給湯器として交換するなら、エコワンかエコキュートがおすすめです。
光熱費の削減割合に大きな違いはないため、オール電化住宅や販売価格にこだわるならエコキュートが、在宅勤務の方や湯切れの心配をしたくないならエコワンを選択しましょう。
もし、エコウィルと同じように発電機能と給湯機能の両方が必要ならエネファームと入れ替えましょう。
エコ突撃隊ではエネファームを中心に省エネ性能の高い給湯器を各種取り扱っています。メーカー正規品を低価格でご提供しており、創業25年・総施工数28000件を突破。多くの方にご満足して頂いております。エコウィルの入れ替えに関するご相談は、ぜひエコ突撃隊までご連絡ください。
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