オール電化

2021/02/21

寒冷地仕様と塩害地仕様のエコキュートを設置する地域は?

エコキュートは一般地仕様以外に寒冷地仕様と塩害地仕様という、特殊な地域に対応したタイプのエコキュートもあります。なぜなら、寒冷地や塩害地だと、一般地仕様のエコキュートは効果を発揮できない、故障するリスクが高くなりやすいからです。

ですが、自分の住んでいる地域は寒冷地仕様にするべきなのか、塩害地仕様にするべきなのか、判断するのは難しいです。

そこで今回は、寒冷地仕様と塩害地仕様を設置する必要がある地域について解説します。寒冷地仕様と塩害地仕様のエコキュートの特徴なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

寒冷地仕様・塩害地仕様とは?

寒冷地仕様・塩害地仕様とは、一般地タイプのエコキュートとは異なり、寒い地域・塩害が発生しやすい地域でも使用できるように設計されたエコキュートのことを指します。

  • 一般地仕様…寒冷地・塩害地に当てはまらない地域で使用できるタイプ
  • 寒冷地仕様…外気温マイナス10℃以下の環境下でも使用できるタイプ
  • 塩害地仕様…主に潮風などが発生しやすい臨海地域で使用できるタイプ

エコキュートは大別すると、一般地用と寒冷地用の2種類があり、そこからさらに派生して、塩害地仕様にするかどうかという流れで購入するべき仕様のエコキュートが決まります。

つまり、エコキュートを地域に合わせて選ぶと、次のような組み合わせの仕様があります。

  • 一般地仕様
  • 一般地仕様×塩害地仕様
  • 寒冷地仕様
  • 寒冷地仕様×塩害地仕様

寒冷地仕様のエコキュートの特徴

エコキュートは外気温がマイナス10℃を下回る地域では、一般地仕様の性能では満足にお湯を作ることができません。状況によっては配管内部で水が凍ったり、ヒートポンプユニットが故障してしまいます

そこで、各メーカーではマイナス10℃以下の環境でも使用できるという寒冷地仕様のエコキュートを扱っています。

一般地仕様との違いは凍結防止ヒーターや凍結防止運転機能の搭載、そして現場施工の3つになります。

一般地仕様でも冬場に備えてヒートポンプユニット配管や風呂配管内部でお湯が凍らないように、循環凍結防止運転機能や圧縮余熱運転機能が搭載されています

寒冷地仕様では上記に加えて、貯湯ユニットに凍結防止ヒーターが内蔵されており、貯湯ユニット内部の配管が凍結しないように対策が施されています

寒冷地仕様は現場施工も特殊で、メーカーごとに内容は異なりますが、機器や配管が寒さで凍結して破損するのを防ぐための施行をおこないます。たとえば、ダイキンの場合は配管に10mmの断熱材を巻き付けるなどの内容となっています。

このように寒冷地仕様は一般地仕様に比べてマイナス10℃以下という環境でも使用できるように工夫が施されていますが、それでも限界はあります

たとえば、ダイキンのエコキュートはマイナス25℃まで運転可能となっていますが、運転可能なのはヒートポンプユニットだけで、貯湯ユニットはマイナス20℃以下の環境では屋内に設置することを推奨しています。

寒冷地での注意点

寒冷地でエコキュートを使用する際は、次の点を注意しなければなりません。

  • 外気温が低いと給湯効率が下がる
  • 霜や雪を定期的に取り除かないといけない
  • 豪雪地帯だと防雪対策が必要

エコキュートは空気中の熱を利用してお湯を作る仕組みです。ランニングコストは電気温水器やガス給湯に比べて非常に安く、効率よくお湯を作れます。

しかし、空気中の熱が少ない地域だと給湯効率が下がってしまいます。給湯効率が下がるということは、電気エネルギーの割合が増えてしまい、結果として電気料金が増えてしまう可能性があります。

また、エコキュートはヒートポンプユニットが外気を取り込む仕組みですが、ヒートポンプユニット周りが霜や雪で塞がれていると、極端に給湯効率が下がるという弱点があります。

特に霜はエコキュートの構造上発生しやすいため、定期的に霜取りをするべきです。エコキュートによっては霜取りモードを搭載している場合もありますので、積極的に活用しましょう。

ほかにも、冬場に高確率で雪が積もる地域だと防雪対策が必要になります。ヒートポンプユニットの底面に雪が接する、風雪が吹き込み凍ってしまうなど、故障・停止するリスクがあるからです。

各メーカーから防雪部材が販売されています。セット内容によって20,000円~40,000円ほどかかってしまいますが、寒冷地でエコキュートを設置するなら必要になります。

塩害地仕様のエコキュートの特徴

海外に近い場所は、一般地に比べると空気中の水分に塩分が多く含まれており、金属などが腐食しやすい地域になります。エコキュートの場合、ヒートポンプユニット内部のヒートポンプや貯湯タンクを設置しているベースなどがサビやすくなり、故障の原因となります。

これらの問題をまとめて塩害と呼び、各エコキュートメーカーは設置場所から海岸までの距離や直接潮風が当たるかどうかで、一般地仕様か塩害地仕様にするべきか判断しています。

塩害地仕様のエコキュートの特徴は潮風でサビないように、防錆効果を高めていることです。

たとえば、ヒートポンプユニットの場合、外装部品や内装部品にサビに強い鋼板を採用し、電装部品にプリント基板をシリコンコーティングし、絶縁劣化による故障を防ぐなどの工夫が施されています。

貯湯ユニットも高耐食の鋼板を採用し、防水・防塵カバーを採用することで電装部品を守っています。

このように塩害地仕様は各所に使われている部品が一般地仕様や寒冷地仕様のエコキュートと大きく異なります。そのため、塩害地仕様のエコキュートは受注生産となっており、受注後2ヵ月~3ヵ月程度の時間を必要とします。

メーカーや工務店に在庫がある、あるいは特定の機種なら一般地仕様と同等の納期で対応できる場合もありますが、塩害地仕様のエコキュートを購入するときは時間がかかると考えるべきです。

塩害地での注意点

塩害地でエコキュートを使用する際は、次の点に注意しましょう

  • 設置するなら建物の影や潮風が当たりにくい場所
  • 塩害地仕様でもサビる場合があるため点検は必要
  • 寒冷地なら寒冷地仕様のエコキュートに塩害対策を施す

塩害地でエコキュートを設置するなら、建造物の影や潮風が直接あたりにくい場所に設置するのが理想的です。海岸とエコキュートの間に建物があれば、サビが発生するのを遅らすことができます。

もし、隣家との間隔が狭い、設置できる場所が限定されているなどの事情から潮風が当たる場所に設置する場合は、貯湯ユニットだけでも囲いを作るなどの塩害対策を検討してみましょう。

また、塩害地仕様のエコキュートでもサビは発生します。塩害地仕様のエコキュートは防錆性能が高い加工が施されていますが、それでもメンテナスや点検が必要です。

定期的に目視による点検をおこないサビが発生していないか確認をし、できればエコキュートを拭くことで付着した塩分を取り除くことができます。

上記でも触れましたが、塩害地仕様のエコキュートは基本的に一般地仕様のエコキュートに塩害対策を施しています。ですが、寒冷地では一般地仕様のエコキュートを使用することはできません。

そのため、寒冷地でなおかつ塩害地に該当する地域では、寒冷地仕様のエコキュートに塩害対策を施す必要があります。北海道、青森県、岩手県の沿岸部に住んでいる方は該当する可能性が高いため、エコキュートを購入する際はメーカーや工務店ときちんと確認をしましょう。

寒冷地仕様の設置地域

エコキュートとは?

エコキュートの一般地や寒冷地は、1999年に政府が発表した「次世代省エネルギー基準」に基づいて次のように決定します。

  • 一般地…次世代省エネルギー基準Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ地域
  • 寒冷地…次世代省エネルギー基準Ⅰ・Ⅱ地域

寒冷地に該当する地域は次になります。

都道府県名 寒冷地に該当する地域
北海道 全域
青森県 青森市(旧青森市に限る。)、深浦町
上記を除く地域
岩手県 宮古市(旧新里村を除く。)、大船渡市、一関市(旧一関市、旧花泉町、旧大東町に限る。)、陸前高田市、釜石市、平泉町
上記を除く地域
秋田県 秋田市(旧河辺町を除く。)、能代市(旧能代市に限る。)、男鹿市、由利本荘市(旧東由利町を除く。)、潟上市、にかほ市、 三種町(旧琴丘町を除く。)、八峰町、大潟村
上記を除く地域
宮城県 栗原町(旧栗駒町、旧一迫町、旧鶯沢町、旧花山村に限る。)
山形県 米沢市、鶴岡市(旧朝日村に限る。)、新庄市、寒河江市、長井市、尾花沢市、南陽市、河北町、西川町、朝日町、大江町、 大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町
福島県 会津若松市(旧河東町に限る。)、白河市(旧大信村に限る。)、須賀川市(旧長沼町に限る。)、喜多方市(旧塩川町を除く。)、 田村市(旧都路村を除く。)、大玉村、天栄村、下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、 三島町、金山町、昭和村、矢吹町、平田村、小野町、川内村、飯舘村
栃木県 日光市(旧今市市を除く。)、那須塩原市(旧塩原町に限る。)
新潟県 十日町市(旧中里村に限る。)、魚沼市(旧入広瀬村に限る。)、津南町
長野県 長野市(旧長野市、旧大岡村を除く。)、松本市(旧松本市、旧四賀村を除く。)、上田市(旧真田町、旧武石村に限る。)、須坂市、小諸市、伊那市(旧長谷村を除く。)、駒ヶ根市、中野市(旧中野市に限る。)、大町市、飯山市、茅野市、塩尻市、佐久市、千曲市(旧更埴市に限る。)、東御市、小海町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村、佐久穂町、軽井沢町、御代田町、立科町、長和町、富士見町、原村、辰野町、箕輪町、南箕輪村、宮田村、阿智村(旧浪合村に限る。)、平谷村、下條村、上松町、木祖村、木曽町、波田町、山形村、朝日村、池田町、松川村、白馬村、小谷村、小布施町、高山村、山ノ内町、木島平村、野沢温泉村、信濃町、飯綱町
群馬県 沼田市(旧沼田市を除く。)、長野原町、嬬恋村、草津町、六合村、片品村、川場村、みなかみ町(旧水上町に限る。)
岐阜県 高山市、飛騨市(旧古川町、旧河合村に限る。)、白川村

表の地域は次世代省エネルギー基準におけるⅠ・Ⅱ地域に該当するため、寒冷地仕様のエコキュートになります。ただし、外気温がマイナス25℃を下回る地域だと、次世代省エネルギー基準Ⅰ・Ⅱ地域でもエコキュートが稼働しないため、屋外にエコキュートを設置することはできません。

塩害地仕様の設置地域

エコキュートとは?

塩害地仕様の設置地域は一般社団法人日本冷凍空調工業会(JRAIA)のJRA 9002というガイドラインと、各社の耐塩害性能によって異なります。

たとえば、パナソニックは塩害地仕様の設置地域を以下の様に定めています。

設置距離の目安 直接潮風が当たらない 潮風が当たる(塩分が含んだ水が直接かからない)
内海(瀬戸内海も含める)に面する地域 300mまでは塩害地仕様
300m以上は一般地仕様
300mまでは設置不可
300m~500mまでは塩害地仕様
500m以上は一般地仕様
外海に面する地域 300mまでは設置不可
300m~1㎞までは塩害地仕様
1㎞以上は一般地仕様
500mまでは設置不可
500m~1㎞までは塩害地仕様
沖縄・離島 500mまでは設置不可
500m~1㎞までは塩害地仕様
1km以上は一般地仕様
基本的に設置不可

表の距離はあくまでもパナソニックの塩害地仕様を設置する際の目安です。ダイキンの場合は海からの距離が300m~1㎞までは耐塩害仕様、300m以内だと耐重塩害仕様と、名称や距離の目安が異なります。

メーカーによって塩害仕様を設置する際の基準は異なりますが、重要なのは面している海が内海なのか外海なのか、潮風が当たるかどうかの2つです。

内海と外海の違い

メーカーによって内海と外海の基準は異なりますが、一般的に内海は瀬戸内海や東京湾、伊勢湾といった陸地に囲まれた海で、外海は陸地から離れた海を指します。

陸地に囲まれた内海は外界からの影響が少なく、波も静かになりやすいため外海に比べると塩害被害が少ない傾向にあります。そのため、内海に面する地域の方が、設置しやすくなっています。

塩害地仕様のエコキュートの設置場所

一般社団法人日本冷凍空調工業会のガイドラインでは、塩害仕様のエコキュートであっても海水や潮風に直接さらされることを極力回避できる場所に設置するように推奨しています。

たとえば、建造物の影や背の高い建物の屋上など、直接潮風が当たらないところに設置するべきです。しかし、事情があってそのような場所に設置できない場合は、直接潮風が当たるところに設置するのも仕方ないとしています。

ただし、直接潮風が当たる場所でも距離が近すぎると塩分を含んだ水がかかる可能性が考えられます。そのため、外海に面する地域や沖縄のような離島では設置距離の目安が厳しくなっており、より塩害対策が施されたエコキュートが推奨されます。

寒冷地仕様や塩害地仕様以外の特殊なエコキュート

寒冷地仕様や塩害地仕様以外にも次のような特殊なエコキュートがあります。

  • スリムタイプ
  • 井戸水対応タイプ

エコキュートのスリムタイプ

メーカーにもよりますが、一般的なエコキュートのサイズは横幅600mm・奥行750mm・高さ1800mm以上もあり、貯湯ユニットを設置するのがネックになります。

最近は土地に対する居住スペースの割合が大きくなり、隣家との間が600mmもない物件も珍しくありません。また、マンションのような集合住宅だとエコキュートを設置できる場所が限定されていることもあります。

エコキュートのスリムタイプは、省スペースでも設置できるタイプの薄型エコキュートです。メーカーによってサイズは異なりますが、ダイキンのフルオートタイプ EQ37HFTVは奥行445mmと非常にスリムなサイズとなっています。

コンパクトながらも貯湯ユニットは370リットルものお湯を貯められ、メンテナス口はサイドに集約されているため、水抜きや手入れもしやすい構造となっています。

エコキュートの井戸水対応タイプ

日本は上下水道とは別に井戸水を自宅で使用している家庭も少なくありません。井戸水は水道水と違い、井戸水内部にカルシウムなどの硬度成分が含まれており、詰まりの原因となります。

そこで、メーカーごとに対応は異なりますが、エコキュートには井戸水対応タイプというのがあります。たとえば、日立のエコキュートはナイアガラタフネスという機能を搭載しており、カルシウムなどの流入を低減することに成功しています。

ただし、事前に水質調査を行い、メーカーの基準を満たしていないと井戸水対応タイプのエコキュートを設置することはできません。その際に発生する調査料金は利用者負担になります。

まとめ

以上が、寒冷地仕様と塩害地仕様のエコキュートを設置する地域になります。北海道や東北地方などの内陸部は寒冷地に認定されやすく、海岸から300m~1㎞以内に住んでいる方は塩害地に認定されやすいです。

該当する地域に住んでいる方はエコキュートを設置する際は寒冷地仕様、塩害地仕様にする必要があります。

もし、自分の住んでいる地域がどの仕様のエコキュートにするべきか分からない時は、エコ突撃隊にご相談ください。

エコ突撃隊ではエコキュートを始めとしたオール電化製品の施行を数多く手掛けております。メーカー正規品を低価格でご提供しており、多くのお客様に満足して頂いた自負もあります。エコキュートに関するご相談は、ぜひエコ突撃隊までご連絡ください。

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