オール電化
2021/04/17
特殊条件下のご家庭のエコキュート導入について(井戸水・塩害地域)
一般的なエコキュートは一般地仕様と呼ばれており、普通の環境下で使うことを想定した性能・価格になっています。一方で、特殊条件下の地域に住んでいてエコキュートを導入する場合は、その特殊条件下に対応したエコキュートが必要です。
そこで今回は、特殊条件下の地域で住んでいてエコキュートを導入するときの問題点や対策について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
特殊条件下とは?
エコキュートは、電気と空気の熱を利用してお湯を作る給湯器です。電気だけでなく、空気の熱も利用することから、電気給湯器やガス給湯器よりも少ないエネルギーでお湯を作れる省エネ給湯器になります。
しかし、エコキュートは一般地で使用することを想定して設計されており、次のような特殊条件下でエコキュートを導入する場合は性能が下がる、あるいは特殊条件下に対応したエコキュートを導入する必要があります。
- 井戸水・地下水地域
- 塩害地域
- 寒冷地域
- 狭小スペース
なお、一般地とは井戸水・地下水地域や塩害地域、寒冷地域に当てはまらない地域全般のことを指します。
井戸水・地下水地域でエコキュートを導入するときの注意点
一般的に家庭で使用される生活用水は河川水をろ過して使用しています。ろ過する過程で不純物などが取りのぞかれ、生活用水ではありますが飲料水として使用できるほど清潔な水となります。
一方で生活用水として消費される水の2割は地下からくみ上げた井戸水・地下水になります。都市部では滅多に見かけなくなりましたが、現在でも井戸水・地下水を生活用水として使用している地域はあります。
井戸水や地下水は周辺からの汚染を受けやすく、基本的な成分が水道水と異なります。一見すると清潔な水のように見えますが、内部にはミネラルが多く含んでおり、エコキュートを導入するときの問題点になります。
ミネラルにはカルシウムなどの成分が含まれております。エコキュートはお湯を作る給湯器のため、内部では水が蒸発していますが、その際に井戸水・地下水に含まれているカルシウムが析出(溶けた物質が個体として出る現象)してしまいます。
水に溶けきれなくなった物質が配管内部に詰まるとその部分は詰まりやすくなり、長期間にわたって放置していると白い塊となります。これをスケールと呼び、放置しておくとお湯や水が流れ難くなるという不具合を起こします。
井戸水・地下水地域でエコキュートを導入するときの対策
井戸水・地下水地域でエコキュートを導入する場合の対策は次の2つのどちらかになります。
- 井戸水・地下水に対応したエコキュートを導入
- メーカー独自の水質調査を受け、問題が無ければ一般地用のエコキュートを導入
井戸水・地下水地域でエコキュートを導入するときの対策で、最も簡単なのは井戸水・地下水に対応したエコキュートを導入することです。
例えば、日立の水道直圧給湯「ナイアガラタフネス」というエコキュートは、井戸水・地下水といった硬度の高い水に対応しています。
タンクの水の入れ替え量を約30分の1にまで低減することで、エコキュートの配管詰まりの原因になるスケールを抑制する独自の機能を搭載しており、井戸水や地下水を使用している家庭におすすめです。
日立以外のエコキュートメーカーだと、井戸水・地下水対応のエコキュートは扱っている数が少なく、満足のいく性能とはいえません。しかし、メーカー独自の水質判定調査を行い、水質判定基準を満たしていれば一般地仕様のエコキュートを設置できます。
例えば、ダイキンでは井戸水・地下水地域でエコキュートを導入する場合は、ダイキン独自の水質判定調査を行います。調査の流れは次になります。
- 水質検査依頼書を提出
- 届いた検査用採水容器にサンプルを採取する
- 採水サンプルを送り、結果を待つ
検査の結果、問題が無ければ一般地仕様のエコキュートを導入することができます。導入後にエコキュート設置保険証と地下水利用認定ステッカーが渡されるため、大切に保管しましょう。
なお、ダイキンの水質検査依頼は費用として15,000円かかります。調査の結果、エコキュートを導入できない場合は費用が無料になりますが、導入できる場合は費用を払うことになります。
また、水質調査の結果が問題なく導入したとしても、水の中にカルシウムなどの成分が含まれていることには変わりません。一般地に比べてスケールが発生しやすいということを念頭に、エコキュートを使用しましょう。
塩害地域でエコキュートを導入するときの問題点
塩害地域とは、一般地に比べて空気中の水分に塩分が多く含まれている、あるいは嵐や台風が発生したときに舞い上がった海水が直接あたりやすい地域のことです。主に沿岸部から300m~1㎞以内が塩害地域とみなされています。
塩害地域でエコキュートを導入するときの問題点は次の3つになります。
- 塩害地域だと錆びやすい・故障しやすい
- 場所によっては設置できない場合がある
- 一般地や寒冷地に比べて設置までに時間がかかる
エコキュートは空気中の熱を利用する給湯器のため、空気中に塩分が多く含まれていると、内部の金属などが腐食しやすくなります。ヒートポンプユニットは熱交換器を始め精密な部品を多く使用しているため、腐食や錆が起きると故障に繋がります。
また、嵐や台風によって舞い上がった海水や潮風にさらされると、そこから腐食するというケースもあります。
そのため、塩害地域にエコキュートを設置する場合は、沿岸部までの距離によって設置できる場所が指定されており、場合によってはエコキュートを設置できないという問題があります。
井戸水・地下水に対応したエコキュートがあるように、塩害地域に対応したエコキュートもありますが、塩害地域仕様のエコキュートは受注生産となっています。設置までに2ヵ月~3ヵ月程度の時間を必要とするため、すぐに設置できないという問題点もあります。
塩害地域でエコキュートを導入するときの対策
塩害地域でエコキュートを導入するときの対策は次の2つになります。
- 塩害地域仕様のエコキュートを購入する
- 潮風が直接当たらない場所に設置する
エコキュートは特殊条件下に対応した製品を販売しており、塩害地域仕様のエコキュートというのがあります。
井戸水・地下水対応のエコキュートが、井戸水・地下水用の対策が施されていたように、塩害地域仕様のエコキュートでは潮風で錆びないように防錆効果を高める加工がされています。
例えば、ヒートポンプユニットの部品は錆びに強い鋼板を採用し、電装部品にはプリント基板をシリコンコーティングするなど、故障を防ぐ対策が施されています。これらの対策が施されたことで、一般地仕様に比べて防錆効果が高く、塩害地域でも使用できるようになっています。
ただし、塩害地域仕様のエコキュートは受注生産品のため、上記にもあるように設置まで時間が掛かる場合がある点は注意しましょう。
次に、エコキュートを設置する場所も考えないといけません。メーカーは塩害地域にエコキュートを設置する場合は建物の陰になる場所、あるいは屋上といった直接潮風が当たらないところに設置するべきとしています。
ですから、塩害地域にエコキュートを設置する場合は直接潮風が当たらない場所にしましょう。
事情があって潮風が当たる場所に設置する場合は、沿岸部からの距離によって設置できるかどうかが決まります。沿岸部に近い場所ほど、塩害地域仕様のエコキュートであっても、設置できないという場合があるので注意しましょう。
寒冷地域でエコキュートを導入するときの問題点
寒冷地域とは、冬の寒さが厳しい地域のことです。エコキュートのメーカーは1999年に政府が発表した「次世代省エネルギー基準」に基づいて寒冷地に該当する地域として、北海道全域や青森県、岩手県など東北地方の一部などを指定しています。
寒冷地域でエコキュートを導入するときの問題点は次の3つです。
- 寒さの影響で給湯効率が下がる
- 配管内部の水が凍結して故障する
- ヒートポンプユニット周りがふさがりやすい
エコキュートはヒートポンプ技術を用いてお湯を沸かす給湯器ですが、寒冷地域のように大気の温度がマイナス10℃を下回ると空気中の熱が少なくなり、給湯効率が低下するという弱点があります。
また、エコキュートの給湯タンクや配管は一部が外に出ているため、凍結して故障するというリスクがあります。
豪雪地帯だとヒートポンプユニットの熱交換機の吹き出し口や吸い込み口が雪で塞がれてしまい、空気を取り込めなくなってしまうということも珍しくありません。
豪雪地帯でなくても、寒冷地域だと霜が発生しやすくなり、雪で塞がるのと同じように給湯効率が下がるということが起きます。
寒冷地域でエコキュートを導入するときの対策
寒冷地域でエコキュートを導入するときの対策は次の2つになります。
- 寒冷地仕様のエコキュートを購入する
- 積雪対策をする
寒冷地域でエコキュートを導入するなら、寒冷地仕様のエコキュートを導入するべきです。各メーカーから寒冷地仕様のエコキュートが販売されていますが、一般地仕様との違いは凍結防止ヒーターや凍結防止運転機能の搭載といった、寒冷地域用の対策が最初から施されていることです。
貯湯ユニットにも凍結防止ヒーターが内蔵されているため、配管が凍結するリスクが少なくなります。また、メーカーによっては機器や配管が凍結しないように特殊な現場施工をする場合もあり、寒冷地域でエコキュートを導入するときのポイントにもなります。
なお、一般地仕様のエコキュートに比べて、寒冷地仕様のエコキュートはメーカーの販売価格が10万円ほど高くなります。工務店で購入する場合も一般地仕様のエコキュートよりも1万円ほど高くなると覚えておきましょう。
また、寒冷地域でエコキュートを導入する場合は、寒さ以外に雪の対策もしなければなりません。一定の高さまで雪が積もり、ヒートポンプユニットの吹き出し口や吸い込み口が塞がれてしまうと、内部のファンが回らなくなりエラーを起こします。
エコキュートメーカーでは積雪対策として、雪の侵入を防ぐ防雪カバーや、設置位置を高くする防雪架台を別売りで販売しています。寒冷地域で、なおかつ積雪が起きやすい地域なら、これらの製品の購入も検討しましょう。
狭小スペースでエコキュートを導入するときの問題点
狭小スペースでエコキュートを導入するときの問題点は次の2つです。
- エコキュートを設置できるスペースがない
- エコキュートの騒音トラブル
最近の都内では狭小地に住宅を建てるケースが増えています。狭小地だと隣家との間が1m以下というのも珍しくなく、人が通るのもやっとというスペースしかありません。
エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯ユニットの2つから構成される省エネ給湯器のため、ガス給湯器に比べて体積が大きい傾向にあります。また、水道管などの配管の関係で、設置できる場所が限られているということもあります。
家族の人数が多いほど貯湯タンクユニットも大きくなるため、一般的なエコキュートだと狭小スペースに設置するのは難しくなります。
仮に狭小スペースにエコキュートを設置したとしても、エコキュートの駆動音で隣家とのトラブルが起きる可能性もあります。実際、エコキュートの音がうるさいと、エコキュートを導入した家庭や販売業者・施工業者を相手に訴訟が起きたという事例もあります。
狭小スペースでエコキュートを導入するときの対策
狭小スペースでエコキュートを導入するときの対策は次の2つになります。
- スリム・コンパクトタイプのエコキュートを購入
- 防音対策を施す
エコキュートのメーカーでは、狭小スペースでエコキュートを使えるように、スリム・コンパクトタイプのエコキュートを販売しています。
例えば、パナソニックでは幅440mmの隙間があればヒートポンプユニットと貯湯タンクの両方を設置できる薄型モデルを販売しており、これまで難しかった狭小スペースでもエコキュートを設置できるようになっています。
また、貯湯タンクユニットの高さを低くした低背モデルというのも販売されています。小型化したことにより、マンションのベランダやPS(パイプスペース)といった狭小スペースに設置しやすくなっています。
ただし、メーカーによっては追い炊きができないといったデメリットがあるため、スリム・コンパクトタイプのエコキュートを購入する際はスペックを確認しましょう。
騒音トラブルの対策としては、防音シートや防振ゴムを利用しましょう。音が広がらない、揺れを発生させないように対策を施すことで、騒音トラブルを回避できます。
特殊条件下が重なった地域の場合は?
ここまで、特殊条件下ごとの問題点と対応策を説明しましたが、地域によっては特殊条件下が重なる場合があります。
例えば、北海道は全域が寒冷地域に指定されていますが、同時に沿岸部は塩害地域に指定されています。このように寒冷地域と塩害地域が重なっているような地域でエコキュートを導入する場合は、寒冷地域仕様のエコキュートに塩害地域対策を施す必要があります。
北海道や青森県、岩手県といったほとんどが寒冷地域に指定され、なおかつ沿岸部に住んでいる方は、特殊条件下が重なっている場合があります。エコキュートを購入する際は、メーカーや工務店に問い合わせて確認を取りましょう。
寒冷地域、塩害地域に住んでいる方で、なおかつ井戸水・地下水を使用される方も同様に確認が必要です。
購入したエコキュートはメンテナンスや点検は必要なの?
基本的に購入したエコキュートはメンテナンスや点検が必要です。さらに言えば、特殊条件下の地域でエコキュートを導入した場合は、メンテナンスや点検の重要性は高いです。
狭小スペースを除いた特殊条件下でエコキュートを利用していると次のようなリスクが発生しやすいです。
- 井戸水・地下水地域…配管のスケール(目詰まり)
- 塩害地域…内部・外部部品が錆びる
- 寒冷地域…寒さにより給湯効率が下がる、止まってしまう
特殊条件下とは、普通のエコキュートだと使用できない、あるいは故障しやすいという特殊な環境下のため、定期的なメンテナンスや点検が必要になります。
井戸水・地下水地域なら配管掃除、塩害地域ならエコキュートを水拭き、寒冷地域ならヒートポンプユニット周りの雪かきや霜取りといったように、それぞれのケースにおいて必要なメンテナンスや点検の方法は異なります。
エコキュートの寿命は10年~15年と言われていますが、この寿命は定期的なメンテナンスや点検をしたと想定した場合の年数です。特使条件下だと寿命がさらに短くなる場合もあるため、3ヵ月~半年に1度のペースでメンテナンスや点検を行いましょう。
まとめ
以上が、特殊条件下の地域で住んでいてエコキュートを導入するときの問題点や対策の解説になります。エコキュートは普通の環境下で使用されることを想定している一般地と、特殊な環境下で使用されることを想定している寒冷地域使用や塩害地域使用に分類されます。
自分の住んでいる場所が井戸水・地下水を使用している地域、あるいは寒冷地域や塩害地域だった場合は、特殊条件下に対応したエコキュートを購入しましょう。なお、特殊条件下に対応したエコキュートは一般地仕様のエコキュートに比べて若干ですが高くなり、普通の環境下に比べると故障しやすくなるというリスクがあります。
エコ突撃隊ではエコキュートを始めとしたオール電化製品の施行を数多く手掛けております。創業22年・総施工数25000件を突破し、メーカー正規品を低価格でご提供しており、多くのお客様に満足して頂いた自負もあります。
自分の住んでいる地域が特殊条件下に当てはまるかどうか分からない、どのエコキュートを選べばいいのか迷ってしまうというお悩みがありましたら、ぜひエコ突撃隊までご連絡ください。
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