蓄電池
2021/10/09
ニチコンのEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」とは?
ニチコンが2017年に販売したEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」は、自治体が災害時対応のために購入し、実際に使用されたことで有用性が証明されました。2021年8月には、個人が利用しやすい小型版も販売されます。
そこで今回は、ニチコンのEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」について解説します。主な仕様や特長などを解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
V2H機器のメーカー
ニチコンのEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」とは、可搬型V2L機器です。電気自動車やプラグインハイブリッド車、燃料電池車などの電力を活用して、家電製品や電気機器に電力供給を行える装置です。
可搬とは、持ち運びができるという意味で、伸縮式キャリバー・キャスター付きのため、女性でも持ち運びが可能となっています。トランクケースタイプのため、車に積み込んでおけるので、アウトドアの時や非常時の際に役立ちます。
パワー・ムーバーの主な仕様は次の表のとおりになります。
EVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」 | |
---|---|
メーカー | ニチコン |
型番 | VPS-4C1A |
本体形状 | トランクケース型 |
外形寸法 | W631×D500×H305(mm) |
質量 | 38kg |
出力電源 | AC 100V |
最大出力 | 4.5kW(1.5kW × 3):力率100%時 |
出力端子 | AC100V コンセント 3個 |
ケーブルの長さ | 2.0m |
適合規格 | 電動自動車用充放電システムガイドライン V2L DC版 |
V2LとV2Hの違いは?
パワー・ムーバーは電気自動車などの電力を電化製品に供給する装置です。英語で「Vehicle to Load」と表記し、略称はV2Lになります。
一方、ニチコンではEVパワー・ステーションというV2H機器を販売しています。V2Hは「Vehicle to Home」の略称で、電気自動車やプラグインハイブリッドの電力を住宅に供給する装置のことを指します。
- V2L…電気自動車の電力を電化製品に供給
- V2H…電気自動車の電力を住宅に供給
どちらも車の電力を別の物に供給する機器ですが、V2Lに比べてV2Hの方が供給する規模が大きいです。そのため、V2H機器は大型になりやすく、持ち運ぶことはできません。
一方で、V2Lは個別の電化製品に直接電力を供給する機器のため、V2Hのように住宅丸ごとに供給することはできません。つまり、V2LとV2Hは使用するシーンが異なるのです。
- V2L…野外での使用がメイン
- V2H…住宅での使用がメイン
使用するシーンが異なるため、どちらが優れていると比較することはできません。もし、予算に余裕があるなら、V2L機器とV2H機器の両方を揃えることも検討してみましょう。
パワー・ムーバーの特長
パワー・ムーバーの特長は次の3つです
- 誰でも簡単に使える操作性
- コンパクトながら高出力の機器
- 様々なシーンで活用できる汎用性の高さ
それぞれ、順番に解説します。
誰でも簡単に使える操作性
ニチコンのEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」は誰でも簡単に使える操作性と、持ち運びがしやすい可搬性の高さが大きな特長です。
女性でも車に積み込みやすいサイズで、なおかつ伸縮式キャリバー・キャスターが付いているので、まるで旅行用トランクのように持ち運べます。
先進のエコカーなら、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、PHV(プラグインハイブリッド)のどのタイプとも接続が可能です。操作方法も簡単なため、電気機器になれていない方でも動かせるのは、非常時に助かります。
また、パワー・ムーバーは静音性や安全性にも優れています。ガソリン式発電機は騒音や換気、燃料(ガソリン)の取り扱いなどの注意すべき点が幾つもありますが、パワー・ムーバーは使用上の制限が少ないです。
また、車をバッテリーとするため、移動できる発電機として考えると、離れた場所で
被災していて動けない方の支援にも役立ちます。
コンパクトながら高出力の機器
ニチコンのEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」は、4.5kWの出力を持つV2L機器です。1.5kWのAC100Vコンセントを3基搭載しているので、最低3つの電化製品に同時に給電できます。延長コードなどがあれば、給電できる数は増えます。
4.5kWの出力があれば、下記の機器を同時に使用することができます。
- 80Wの照明10台を12時間
- 600Wの冷蔵庫1台を24時間
- ケータイ充電(5W)30台を2時間
- 1200Wの電気ポットを2時間
上記の合計電力は26.7kWhになりますが、4.5kWの出力があれば同時に使用できます。
ニチコンのEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」は電気自動車の電力を電化製品に給電するための機器のため、実際の電力量は電気自動車に依存します。上記の使い方の場合、トヨタのMIRAIなら約2日、リーフなら約1日の電力を供給できます。
上記の使い方は、避難所での電気使用量としての試算例となります。災害時に避難してくる方々に必要な電気使用量としては最低限のレベルですが、個人がアウトドアを楽しんだり、仕事で使用したりするには十分な出力と言えます。
様々なシーンで活用できる汎用性の高さ
ニチコンのEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」は様々なシーンで活用できます。
- キャンプ中の照明器具やスマートフォンの充電
- アウトドアイベントでの音響機器や通信情報機器の電力供給
- 工事現場の仮設電源
- 避難所での照明や冷蔵庫などへの電力供給
最近のキャンプ場は発電機があり電気を利用できる場所もありますが、シーズン中だとすべて塞がっていることも珍しくありません。キャンプ場で電力を使用したくなったときにパワー・ムーバーがあれば、照明やスマートフォンの充電がすぐに行えます。
コンパクトながらも高出力のため、野外ライブイベントやお祭りでの電源としても活躍します。スピーカーやトランシーバーの電源、屋台の調理機器への電力供給が可能になります。
最近は工事現場で騒音や排気ガスへの苦情も少なくありません。そのため、ガソリン発電機を設置できないということがあります。パワー・ムーバーはガソリンを使わないためニオイが出ず、騒音も限りなく抑えられます。そのため、発電機を使えない現場で活躍します。
上記でも触れましたが、パワー・ムーバーは避難所に最低限必要な電気使用量を供給できる機器です。
実際、2019年の台風15号で発生した千葉県の広域停電では、パワー・ムーバーにより住宅への給電が行われ、災害時共有スペースや高齢者施設への給電に役立っています。
このように、パワー・ムーバーは様々な場所やシーンで活躍できるV2L機器になります。
パワー・ムーバーの使い方
パワー・ムーバーの使い方は簡単です。以下の手順で使用できます。
- 1. EV・FCV・PHVに給電コネクタを接続
- 2. パワー・ムーバー側の開始ボタンを押す
- 3. 使用したい電化製品のプラグをパワー・ムーバーのコンセントに押し込む
以上の手順により、パワー・ムーバーを経由して電化製品に電力が供給されるようになります。
難しい操作や設定は不要のため、誰でも簡単に使えます。ただし、車種によっては12V電源ケーブルの接続が必要な場合があります。
パワー・ムーバーに対応している電気自動車
ニチコンのEVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」に対応している車種は、公式サイトによると次になります。
メーカー | 車種 |
---|---|
日産 | リーフ |
e-NV200 | |
三菱 | MiEV シリーズ |
アウトランダー PHEV | |
トヨタ | MIRAI |
ホンダ | CLARITY FUEL CELL |
なお、上記の表は2017年5月時点の公式発表のため、現在は車種が増えている可能性があります。パワー・ムーバーは「電動自動車用充放電システムガイドライン V2L DC版」に適合している車種なら接続して使用できるので、メーカーに問い合わせてみましょう。
表の中でおすすめの電気自動車は日産リーフです。電気自動車のなかで航続距離が長いのが特長で、ミドルクラスの車両のため家族でドライブをするのにも向いています。
日産リーフはV2H機器にも対応しているため、住宅にV2Hシステムを構築したいと考えている方にピッタリです。
パワー・ムーバーの補助金
パワー・ムーバーは経済産業省と環境省の補助金の対象となっています。機器によって補助金額は異なりますが、ニチコンのパワー・ムーバーの補助金額は約21.6万円になります。
公的機関の補助金は年度によって申込期間や予算が異なります。そのため、利用しようとしても、予算が尽きてしまった、あるいは申込期限が過ぎてしまったという場合があります。
パワー・ムーバーの購入を検討している方は、まずは補助金がまだ給付されるのかどうかチェックしましょう。
2021年8月には「パワー・ムーバーライト」が発売
2021年8月より、ニチコンはパワー・ムーバーを小型・軽量化した「パワー・ムーバーライト」を販売しています。
パワー・ムーバーよりも軽量化されただけでなく、価格が30%も安くなっているため、パワー・ムーバーよりも購入しやすい製品となっています。
次の表はパワー・ムーバーライトのスペックをまとめたものになります。
EVパワー・ステーション「パワー・ムーバーライト」 | |
---|---|
メーカー | ニチコン |
型番 | VPS-3C1A |
本体形状 | トランクケース型 |
外形寸法 | W553×D456×H292(mm) |
質量 | 21kg |
出力電源 | AC 100V |
最大出力 | 3.0kW(1.5kW × 2):力率100%時 |
出力端子 | AC100V コンセント 2個 |
ケーブルの長さ | 2.0m |
適合規格 | 電動自動車用充放電システムガイドライン V2L DC版 |
パワー・ムーバーに比べてサイズと重量が軽くなっているので、可搬性がさらに高まっています。また、パワー・ムーバー同様にキャスターは付いており、イエローとブルーの2色から好きな方を選べるようになっているのもポイントです。
しかし、軽量化により対応出力が4.5kWから3.0kWに低下しています。コンセントの口数も3口から2口に減っているのでパワー・ムーバーと同じように使用するのは難しいです。
なお、ニチコンはパワー・ムーバーライトを補助金の対象にするように申請をしています。記事執筆時点では申請が認められたか不明ですが、仮に申請が通れば約15万円の補助金が給付されると予想されます。
まとめ
以上が、ニチコンのEV・ステーション「パワー・ムーバー」の解説になります。パワー・ムーバーは電気自動車と組み合わせることで、活躍する場所を選ばない発電機となります。
アウトドアや野外イベント、工事現場、避難所など、様々なシーンで役立ち、可搬性が高いため女性でも持ち運んで使用できます。ただし、V2L機器のため、停電時に住宅に電気自動車から電力を供給するにはV2H機器が別に必要になります。
エコ突撃隊ではV2H機器の販売から設置までを扱っております。創業23年で総工事件数25,000件を突破。正規品をお求めやすい価格で販売しており、これまでに多くの方から高評価を得ております。
V2H機器でご相談がありましたら、ぜひエコ突撃隊までご連絡ください。
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