蓄電池
2025/12/16
10kWhの蓄電池の価格相場はいくら?容量の考え方から補助金、選ぶ際のポイントなどを解説

一般的に、蓄電池の容量は10kWh以上を大容量タイプと呼び、価格が上昇していく傾向が見られます。
蓄電池を選ぶ際は蓄電容量が重要なポイントの1つです。容量が少なすぎると非常時に十分に役立たず、多すぎると価格が高くなり、持て余してしまう可能性があります。
そこで今回は、10kWhの蓄電池の価格や選ぶ際のポイントなどをわかりやすく解説します。ぜひ最後まで、ご覧ください。
蓄電容量とは?

蓄電容量とは、蓄電池にどれだけの電気を貯められるかを示す数値のことです。一般的に「kWh(キロワットアワー)」という単位で表されます。
スマートフォンのバッテリー容量と同じように、この数値が大きいほど多くの電力を蓄えることが可能になります。
蓄電池は、太陽光発電などで作られた電気や、電力会社から購入した電気を化学エネルギーに変換して内部に保存する仕組みです。必要なときに化学エネルギーを再び電気に戻すことで、家庭内の電力として活用できます。
製品によって蓄電容量は大きく異なり、家庭用では3kWh程度の小型タイプから、15kWh以上の大容量タイプまで幅広く展開されています。
10kWhの蓄電池であれば、節電を意識した使い方を前提に、一般的な家庭の1日分前後の電力をまかなえる目安になります。
なお、基本的に蓄電容量が増えるほど本体価格も高くなる傾向があります。内部に搭載されるバッテリーセルの数が増えるためで、容量が2倍になれば、価格もそれに近い比率で上昇するケースが多く見られます。
ただし、工事費用やメーカーによる価格設定の違いもあるため、容量だけで一概に判断することはできません。
10kWhの蓄電池でどれくらい電気が使える?
10kWhという容量が実際の生活でどの程度の電力をまかなえるのか、具体的なシミュレーションで確認してみましょう。
4人家族でオール電化住宅の場合、1日あたりの平均的な電力消費量は約12〜15kWh程度とされています。
ただし、停電時には通常よりも節電を意識した使い方になるため、10kWhの蓄電池でも十分な対応が可能です。
停電発生時に最低限の電化製品だけを稼働させる場合、冷蔵庫・照明・スマートフォンの充電・テレビなどを合わせても消費電力は1時間あたり1kWh程度に抑えられます。この計算でいくと、10kWhの蓄電池があれば約10時間の連続使用が見込めるでしょう。
さらに、節電を徹底すれば、使用時間の延長も十分可能になります。例えば、冷蔵庫と最小限の照明のみに絞った場合、1日以上の電力確保も現実的です。
夏場にエアコンを短時間使用したい場合でも、他の電化製品の使用を調整することで柔軟な運用ができます。
つまり、10kWhクラスの蓄電池は、日常シーンから災害による停電といった緊急時まで、幅広く活用できる容量です。
他の蓄電池の容量
家庭用蓄電池の容量は製品ごとに幅広く設定されていますが、主に3つのカテゴリーに分類できます。
- 5kWh未満の小容量タイプ
- 5kWh~10kWh未満の中容量タイプ
- 10kWh以上の大容量タイプ
まず、5kWh未満の小容量タイプは、導入コストを抑えたい方に適した選択肢です。貯められる電力量は限られるものの、価格面でのメリットが大きく、一人暮らしや夫婦世帯など少人数の家庭であれば十分な実用性があります。
停電時の最低限のバックアップ用途や、太陽光発電の余剰電力を少しだけ貯めたい場合にも向いているでしょう。
5kWh~10kWh未満の中容量タイプは、家庭用蓄電池として最も普及している容量帯になります。
製品ラインナップが豊富で、各メーカーが力を入れている価格帯でもあるため、機能面での比較検討もしやすくなっています。一般的な家族構成であれば、日常使いと非常時対応の両方をバランスよくカバーできる容量です。
10kWh以上の大容量タイプは、初期投資額は高額になりますが、その分だけ得られる安心感も大きくなります。停電が長引いた場合でも、エアコンや給湯器を含めた主要な電化製品を通常に近い形で使用できるでしょう。
太陽光発電システムと組み合わせることで、電力の自給自足に近い生活スタイルも実現可能です。
蓄電池を選ぶ際は、家庭での電力使用量や設置する目的、活用したいシーンなどを含めて検討しましょう。
10kWhの蓄電池の価格相場
三菱総合研究所の「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ(案)」によれば、2023年度時点での蓄電池の価格水準は1kWhあたり11.1万円で、工事費は1kWhあたり1.0万円です。
内訳を見ると、電池部分が5.6万円、PCS(パワーコンディショナー)が1.5万円、その他の部品や機器が4.0万円という構成になります。
ただし、上記の水準は全体の平均で、蓄電容量によって1kWhあたりの単価は変動する傾向があります。容量別の詳細な価格水準は以下のとおりです。
| 蓄電容量 | システム価格 | 工事費 |
|---|---|---|
| 5kWh未満 | 15.0万円 | 1.6万円 |
| 5~10kWh | 10.6万円 | 1.3万円 |
| 10kWh以上 | 10.7万円 | 0.6万円 |
上記の数値から10kWhの蓄電池を設置する場合の概算を算出すると、システム価格は約107万円、工事費は約6万円となります。合計すると約113万円が10kWhの蓄電池を設置する場合の目安になるでしょう。
10kWhの蓄電池の実勢価格
市場で販売されている10kWh前後の蓄電池を調査したところ、実際の価格には大きなばらつきが見られることが分かりました。
最も手頃な価格帯では約120万円から購入できる製品が存在する一方、高機能なタイプになると約180万円を超える製品も確認できます。さらに全負荷対応など充実した機能を備えたモデルでは、200万円を超える価格帯の製品も販売されているのが現状です。
同じ10kWh程度の蓄電容量でありながら、製品によっては50万円~100万円以上の価格差が生じるのは、主にメーカーによる設計思想の差異や、搭載される機能の充実度などが理由と考えられます。
具体的には、全負荷対応か特定負荷対応か、ハイブリッド型か単機能型か、パワーコンディショナの出力容量、保証年数や耐用年数の違いなどが価格に反映されています。
京セラやシャープといった大手家電メーカーの製品と、新興メーカーの製品とでは、価格帯が異なる傾向があります。
導入を検討する際は、単純な容量だけでなく、自宅の電力使用状況や予算に合わせて、必要な機能を見極めることが重要になります。
同じ10kWhでも価格が違う理由
蓄電容量が同じ10kWhの蓄電池でも、次の理由で価格は異なる可能性があります。
- メーカーの違い
- 全負荷型と特定負荷型の違い
- ハイブリッド型と単機能型の違い
それぞれ、順番に解説します。
メーカーの違い
10kWhという同じ容量であっても、どのメーカーが製造した蓄電池かによって価格は大きく変動します。
国内の大手家電メーカーや住宅設備メーカーが販売する製品は、長年培ってきたブランド力や技術的信頼性が評価されており、本体価格も相応の水準に設定されているのが一般的です。
パナソニックやシャープ、京セラといった名前が示す安心感は、購入後の長期運用を考える上で重要な判断材料になるでしょう。
対照的に、新興メーカーや海外メーカーの製品では、同等の蓄電容量でありながら価格を抑えた設定が目立ちます。
初期投資を少しでも減らしたい場合には魅力的な選択肢ですが、保証期間の長さや販売店の対応体制、アフターサポートの充実度には差がある点に注意が必要です。
価格の安さと、導入後の安心感のどちらを優先するかは、各家庭の予算や価値観によって判断が分かれるところになります。
さらに、見落としがちなのが、同一メーカー内でのグレード差による価格変動です。普及モデルと上位モデルでは、停電時の出力性能に違いや、クラウド経由での遠隔操作やAIによる最適充放電制御といった先進機能の有無で価格帯が区分されています。
結局のところ、単に「10kWh」という容量だけでなく、「どのメーカーの、どのグレードの製品を選ぶか」という組み合わせが、最終的な価格を決定する大きな要因の1つといえます。
全負荷型と特定負荷型の違い
蓄電池を選ぶ際には、「全負荷型」と「特定負荷型」という2つの方式の違いを理解しておく必要があります。
全負荷型は、停電が発生した際に家全体の分電盤をまるごとカバーできる設計になっています。照明や冷蔵庫といった基本的な機器だけでなく、エアコンやIHクッキングヒーターなど、通常時とほぼ変わらない範囲で電気を使用できる点が最大の特徴です。
家族全員が普段に近い生活を維持できるため、安心感という面では大きなアドバンテージがあるでしょう。
ただし、住宅全体をバックアップするには相応の出力性能が求められ、分電盤の交換や配線工事も大規模になりがちなため、機器本体と工事費の両方が高額になる傾向があります。
一方、特定負荷型は停電時に電力を供給する回路をあらかじめ限定しておく方式です。
リビングの照明とコンセント、冷蔵庫、電子レンジといった必要最低限の設備だけを選んで接続するため、要求される出力を抑えることができます。
配線作業も比較的シンプルで済むことから、同じ10kWhという容量であっても、全負荷型に比べて導入コストを抑えられるのが一般的です。
停電時にどの程度まで電気を使いたいかという考え方が、そのまま方式の選択につながり、結果として価格差を生み出す構造になっています。
ハイブリッド型と単機能型の違い
蓄電池を導入する際、システム構成の違いとして「ハイブリッド型」と「単機能型」という区分も存在します。
ハイブリッド型は、太陽光発電用のパワーコンディショナと蓄電池用のパワーコンディショナを一体化した設計になっています。
太陽光パネルで発電した直流電力を、変換ロスを最小限に抑えながら蓄電池へ充電したり家庭内へ供給したりできるため、エネルギー効率の面で優れた性能を発揮します。
ただし、多機能を一台に集約した高性能機器のため、本体価格は単機能型と比較して高額な設定になるのが一般的です。
単機能型は、すでに設置されている太陽光発電のパワーコンディショナはそのまま残し、蓄電池専用の機器を別途追加する構成を指します。
太陽光発電システムを先行して導入済みで、あとから蓄電機能だけを追加したいケースに適した方式といえます。
ハイブリッド型よりも初期投資を抑えやすいメリットがある反面、電力変換の工程が増えることで、システム全体として見たときの効率は若干低下する可能性があります。
- 太陽光発電と同時に導入して効率性と高機能を両立させたい場合はハイブリッド型
- 既存の太陽光設備を活用しながら蓄電池の追加コストを抑えたい場合は単機能型
同じ10kWhという蓄電容量であっても、システム構成の選択も最終的な総額に影響を与える要因になっています。
10kWhの蓄電池は補助金の対象になる?
補助金制度の種類にもよりますが、10kWhクラスの蓄電池も条件を満たせば補助金の対象となるため、制度の内容を把握しておくことが重要です。
例えば、国が実施している代表的な補助金制度として「DR補助金」があります。DRとはデマンドレスポンス(Demand Response)の略称で、電力の需給バランスが逼迫した際に、蓄電池を遠隔操作で充放電させることで電力の安定供給に協力する仕組みです。
この制度に参加することで、蓄電池の導入費用に対して最大60万円の補助金が交付されます。
DR補助金の金額は、初期実効容量1kWhあたり3.7万円か、機器本体と工事費を合わせた総額の3分の1のどちらか低いほうが適用されます。
例えば、初期実効容量10kWhで90万円の蓄電池があった場合、容量計算の37万円ではなく30万円が補助金額になります。一方で、導入費用が120万円以上であれば、容量計算による37万円が適用される仕組みです。
補助金を活用することで、高額になりがちな蓄電池の導入も経済的な負担を軽減しながら実現できる可能性が広がります。
ただし、予算に達すると期間内でも受付が終了するケースが多いため、最新の募集状況を確認し、早めの準備と申請が求められるでしょう。
10kWhの蓄電池があれば電気料金を節約できる?
結論から述べると、蓄電池だけを導入しても必ずしも電気料金の節約につながるわけではありません。節約効果を得るには、使い方や組み合わせる設備が重要になってきます。
蓄電池は電気を貯蔵しておき、必要なタイミングで取り出して使用できる機器です。多くの電力会社では、時間帯によって電気料金の単価が異なる料金プランを提供しています。
例えば、次の表は東京電力エナジーパートナーのスマートライフSの料金プランをまとめたものです。
| 基本料金 (10Aにつき) |
時間帯(1kWhあたりの料金) | ||
|---|---|---|---|
| 午前6時~翌午前1時 | 午前1時~午前6時 | ||
| スマート ライフS |
311.75円 | 35.76円 | 27.86円 |
日中に比べると夜間の電力量料金単価は割安であることを利用して、安価な夜間電力を蓄電池に充電しておき、割高な日中は蓄えた電気を使うことで電力会社からの購入量を抑える運用が行えます。
しかし、上記の方法による節約効果は限定的です。結局は電力会社から電気を購入している点は変わらないため、抜本的な電気代削減にはつながりにくい構造があります。
電気料金を本格的に削減するには、電力会社から購入する電気の総量そのものを減らすことがポイントになります。
そのため、電気料金節約を主な目的として蓄電池の導入を検討している場合は、太陽光発電システムとセットで導入することを強くおすすめします。
太陽光で発電した電気を蓄電池に貯めて自家消費すれば、電力会社からの購入量を大幅に削減でき、長期的な経済メリットも格段に向上するでしょう。
10kWhの蓄電池の導入をおすすめするケース
10kWhの蓄電池の導入をおすすめするケースは、主に以下のとおりです。
- 在宅時間が長い世帯
- 停電リスクに備えたい世帯
- コストパフォーマンスを重要視している世帯
それぞれ、順番に解説します。
在宅時間が長い世帯
在宅時間が長い家庭では、日中と夜間の両方で電気使用量が増える傾向があります。
テレワークを中心とした働き方をしている世帯や、小さな子ども・高齢者が日中も自宅で生活している家庭では、照明やエアコン、各種家電製品の稼働時間が必然的に長くなりやすいです。
10kWhクラスの蓄電池を導入すれば、日中に太陽光発電で蓄えた電力を夕方から夜のピークタイムまでしっかり活用でき、電力会社からの購入量を大幅に削減できる可能性があります。
容量の小さい蓄電池では夕方の早い段階で充電分を使い切ってしまい、その後は通常通り電力を購入することになりがちです。
しかし、10kWh程度の容量があれば、リビングやキッチンといった主要スペースの電力を比較的長時間賄えます。
在宅時間が長い世帯は、蓄電容量が10kWh以上の蓄電池を中心に検討するとよいでしょう。
停電リスクに備えたい世帯
台風や地震が頻繁に発生する地域、あるいは降雪による停電が起こりやすい地域に住んでいる場合、停電時の電力確保は生活を守るうえで重要な課題になります。
また、在宅医療機器を使用している家庭や、冷蔵保存が必要な薬を常備している世帯では、電力供給が途絶えることが深刻な影響を及ぼす可能性を否定できません。
10kWhの蓄電池があれば、冷蔵庫や照明、スマートフォンやパソコンの充電といった最低限の生活インフラに加え、状況次第ではテレビや一部のエアコンも一定時間稼働できます。
5kWh程度の容量では、停電が半日から1日と長引いた際に早い段階で電力が底をつく懸念がありますが、10kWhクラスなら使い方を工夫することでより長時間の対応が可能です。
「在宅医療機器の稼働を絶対に止められない」「子どもや高齢者の熱中症・低体温症を防ぐため、最低限の空調は確保したい」と考えている家庭においては、停電時の安心材料として10kWhクラス以上の蓄電池を検討する価値は高いといえます。
コストパフォーマンスを重要視している世帯
蓄電池は容量を大きくするほど停電時の安心感が高まりますが、比例して初期投資額も増加します。
コストパフォーマンスを重視して選ぶ際には、「電気代削減や停電対策で得られるメリット」と「導入にかかる費用」のバランスをどこで調整するかが重要なポイントです。
10kWhクラスは、一般的な家庭において容量と価格のバランスが取りやすいゾーンとされています。
5kWh前後の小容量タイプでは初期費用を抑えられる反面、停電時の対応時間や電気代削減効果は限定的になりがちです。
反対に13kWh以上の大容量タイプを選べば余裕は確かに増えますが、家庭の電気使用量によっては容量を使い切れず、投資を回収するまでの期間が長期化する懸念があります。
10kWhという容量帯は、停電対策としても一定の安心感を確保できる水準でありながら、過剰なスペックになりにくい中間的な位置付けのため、コストパフォーマンスにこだわる家庭におすすめです。
10kWhの蓄電池の導入をおすすめしないケース
10kWhの蓄電池の導入をおすすめしないケースは主に以下のとおりです。
- 日中ほとんど家にいない世帯
- 太陽光発電システムの発電量が少ない世帯
- ローンを組むと家計がきつくなる世帯
それぞれ、順番に解説します。
日中ほとんど家にいない世帯
共働きで朝から晩まで外出している家庭や、平日は日中ほぼ無人になる世帯では、昼間の電気使用量が少ない傾向にあります。
このようなライフスタイルの場合、太陽光発電システムを設置していても日中に発電した電気をその場で消費する機会が限られ、「売電」もしくは「蓄電」のいずれかが中心的な活用方法です。
10kWhクラスの蓄電池を導入すれば、発電した電力を大量に貯めて夜間に回すことはできます。
しかし、電気使用量が少ない家庭では、蓄電池に充電した電力を使い切れずに余らせてしまうケースが想定されます。
容量に対する活用度合いが低くなると、高額な設備投資をしても電気代削減による回収速度が遅くなり、投資効率の面で不利になりやすいです。
そのため、日中ほとんど在宅しない世帯では、まず「夜間の電気使用量がどの程度あるのか」「本当に10kWhもの容量が必要なのか」をしっかり確認することが重要になります。
小容量の蓄電池や、場合によっては蓄電池を導入しない選択肢とも比較検討した上で、自分たちのライフスタイルに合った判断をすることをおすすめします。
太陽光発電システムの発電量が少ない世帯
蓄電池は太陽光発電との組み合わせによって最大限の効果を発揮する設備です。そのため、太陽光パネルの設置容量が小さく発電量自体が少ない場合、10kWhという大きめの蓄電容量を持て余してしまう可能性があります。
例えば、太陽光発電システムの出力が4kW未満で屋根の方角や日当たり条件もあまり良くない環境では、天候不良の日が続いた際に蓄電池を満充電にできない日が増えます。
上記のような状態で10kWhの蓄電池を設置しても、「常に半分程度しか充電されない」「フル容量を使い切る前に翌日の少量発電で再び中途半端に充電される」といった非効率な運用に陥りがちです。
発電量が限られている家庭では、蓄電容量を大きくするアプローチよりも、まず太陽光パネルの容量増設や設置条件の見直しを優先しましょう。
ローンを組むと家計がきつくなる世帯
蓄電池は補助金を活用しても数十万円から100万円を超える出費となるケースが多く、現金一括ではなくローンで導入する家庭も珍しくありません。
しかし、毎月のローン返済が家計を圧迫するような状況であれば、長期的に電気代が節約できたとしても「精神的な負担のほうが大きかった」という結果になるかもしれません。
蓄電池はあくまで生活の安心感や電気代削減をサポートするための設備です。
ローンを組むことで家計が明らかに圧迫される場合や、今後の収入見通しが不安定な状況にある場合は、無理に10kWhクラスの蓄電池を導入するのではなく、まず家計の見直しや他の省エネ対策を優先し、経済的余裕ができてから検討しましょう。
10kWhの蓄電池を選ぶ際のポイント

10kWhの蓄電池を選ぶ際のポイントは、主に以下のとおりです。
- 本体価格だけでなく総額を比較する
- 全負荷型と特定負荷型のどちらにするのか決める
- ハイブリッド型と単機能型のどちらにするのか決める
それぞれ、順番に解説します。
本体価格だけでなく総額を比較する
蓄電池の見積もりを検討する際は、本体価格だけに注目するのではなく、工事費や諸経費などを含めた総額で比較することが重要になります。
例えば、A社は本体価格が安く見えても、配線工事や分電盤交換、基礎工事などが別途費用として設定されており、結果として支払う総額はB社のほうが安かったというケースは決して珍しくありません。
反対に、本体価格は高めに見えても標準工事や補助金申請のサポートが一式含まれていて、トータルでは割安なプランになっている場合があります。
そのため、複数の業者から見積もりを取得し、以下の項目を横並びで比較することが求められます。
- 機器本体の価格
- 工事費・申請費などを含めた総額
- 保証内容(年数・範囲)
「10kWhでいくら」という数字だけを判断材料にするのではなく、「10kWhの蓄電池を設置し終わるまでに最終的にいくら支払うのか」を基準に検討すれば、導入後に想定外の出費が発生して悩まされる事態を避けやすくなります。
全負荷型と特定負荷型のどちらにするのか決める
全負荷型と特定負荷型で迷っている場合、停電時に家全体で電気を使いたいのか、それとも特定の部屋や家電だけ使えればよいのかという視点が重要になります。
例えば、停電しても普段とほぼ同じように家中の照明やコンセントを使いたい場合や、在宅医療機器や複数のエアコンなど止めたくない機器が家のあちこちに点在している場合は、家全体をバックアップできる全負荷型がおすすめです。
工事が大掛かりになりやすく、10kWhクラスでも見積もり金額が高くなりがちですが、「どこが停電しているかを毎回意識せずに済む安心感」は大きなメリットといえます。
一方で、リビングとキッチン、冷蔵庫とスマートフォンの充電が確保できればひとまず安心という家庭や、停電そのものが頻繁ではなく最低限のライフラインを守れればよいという考え方であれば、特定負荷型が適しています。
特定負荷型はバックアップする部屋や回路をあらかじめ限定することで必要な出力を抑えられるため、同じ10kWhでも総額を抑えやすいのが特徴です。
つまり、停電時にどこまで電気を使いたいのかを具体的にイメージし、その希望に対して全負荷型が必要なのか特定負荷型で足りるのかを整理してから見積もりを比較することがポイントになります。
ハイブリッド型と単機能型のどちらにするのか決める
ハイブリッド型と単機能型で迷っている場合、現在の太陽光発電システムの状況と将来の計画を意識することが重要になります。
すでに太陽光発電を設置していて、既存のパワーコンディショナをできるだけ活かしたい場合や、とりあえず今は蓄電池だけを追加したいという場合は、太陽光発電システムとは別に蓄電池専用の機器を追加する単機能型がおすすめです。
既存設備に大きな手を入れずに済むケースが多く、初期費用を抑えたい場合にも検討しやすい方式といえます。
一方で、今は太陽光を載せていないが将来的に太陽光と蓄電池をセットで導入したい場合や、既存のFIT期間が終わるタイミングでシステム全体を入れ替える予定がある場合、あるいは太陽光と蓄電池を一体的に制御して効率よく自家消費したい場合は、太陽光パワコンと蓄電池の機能をまとめられるハイブリッド型が有力な選択肢になります。
ハイブリッド型は1台で多くの役割を担うぶん機器の価格は高めですが、電力の変換ロスを抑えやすく、将来のリプレイス(機器の入れ替え)もシンプルになりやすいという点がメリットです。
今の太陽光発電システムの有無や状態と、今後10〜15年の間に太陽光発電システムをどうするかなどを整理したうえで、既存設備を活かしつつ蓄電池を足すのか、太陽光と蓄電池をセットで最適化するのかという方向性を決めると、後悔の少ない選び方がしやすくなります。
10kWhの蓄電池の価格は将来的に下がる?
断言はできませんが、蓄電池の価格は将来的に下がる可能性があります。
実際のデータを見ると、2019年度の家庭用蓄電池の価格は工事費を含めて1kWhあたり18.7万円でした。
政府は2030年の目標価格として1kWhあたり7.0万円を掲げており、この目標数値に向けて着実に価格は下がってきている状況です。技術革新や量産効果により、今後もこの傾向が続くことが期待されます。
ただし、不確定要素も存在します。資源価格の高騰や円安が長期化した場合、製造コストの上昇が価格低下の流れを鈍らせる可能性は否定できません。
また、現在実施されている高額な補助金制度が今後も継続的に行われるとは限らず、補助金縮小のタイミングによっては実質的な負担額が増える懸念もあります。
以上のことから、蓄電池は将来的に価格が下がる可能性は十分にあるものの、補助金を受けられる現在のうちに購入することも検討してみましょう。
まとめ
以上が、10kWhの蓄電池の解説になります。記事執筆時点では、10kWhの蓄電池の価格の目安は約113万円で、実際の販売価格帯は120万円〜200万円程度です。
一見すると高額に思えますが、蓄電容量10kWhは家族4人が1日過ごす程度の電力を賄うことが可能なため、容量と価格のバランスが取れているといえます。
単独でも、太陽光発電システムとの連携でも十分に活躍できるため、これから蓄電池を購入したいと考えている方は、蓄電容量10kWhクラスの機種を中心に比較検討するとよいでしょう。
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