蓄電池

2022/04/09

電力需給ひっ迫警報とは?停電に備えるなら太陽光発電システムと蓄電池がおすすめ

電力需給ひっ迫警報とは?停電に備えるなら太陽光発電システムと蓄電池がおすすめ

2022年3月22日、政府は電力需給ひっ迫警報を発令し、広範囲に渡って停電が起きる可能性があると警告しました。結果だけを見れば大規模な停電は回避されましたが、昨今の電力事情を考えると電力需給ひっ迫警報が再び起きないと断言できません。

そこで今回は、電力需給ひっ迫警報が発令された背景や、停電に備える方法としておすすめの太陽光発電システムと蓄電池を解説します。ぜひ最後までご覧ください。

電力需給ひっ迫警報とは?

電力需給ひっ迫警報とは、2012年に導入された制度です。翌日の電力余力が3%を下回ると予想された場合に発令される警報で、制度がつくられてから実際に発令されたのは2022年3月22日が初めてです。

今回の電力需給ひっ迫警報の対象は東京電力管内の1都8県と、東北電力管内の7県の住宅や企業になります。翌23日に警報は解除され大規模な停電は起きていませんが、日本の電力事情と問題点が浮き彫りになりました。

電力需給がひっ迫した理由

電力需給がひっ迫した主な理由は次の2つが考えられます。

  • 地震による火力発電所の稼働停止
  • 季節外れの寒さ

それぞれ、順番に解説します。

地震による火力発電所の稼働停止

2022年3月16日に起きた地震により、福島県にある広野火力発電所6号機と新地火力発電所の1号機が稼働停止しました。東京電力管内に電気を送る大型の発電所で、稼働停止により電力の供給量が大幅に減ってしまったのです

電気は需要と供給の一致が不可欠で、電力の需給バランスのことを「同時同量」と呼びます。

電気を作る量と消費する量が常に一致していないと、電気の品質(周波数)が乱れてしまい、発電所が停止する場合があります。実際、2018年9月に起きた北海道全域の停電は、同時同量のバランスが崩れたことが原因とされています。

つまり、電力は常に供給 (発電する量)が需要(必要とする量)を上回っており、いつでも調整可能な状況でいることが求められています。

季節外れの寒さ

同時同量を目指すために、電力会社は予想される電力消費量に応じた発電計画を事前に組んでいます。季節や天候に合わせて組まれた発電計画を基本としつつ、その時々で増減する消費量に対して発電量を調整しています。

しかし、電力需給ひっ迫警報が発令された頃は、3月としては季節外れの寒さとなっており、暖房の需要が増えてしまうと予想されました。

2021年から2022年にかけて冬の寒さは厳しくなると予想されており、国や電力会社は対策として老朽化していた火力発電所を稼働させていました。しかし、3月になって暖かくなったので、2月末に可動を停止していたことも裏目に出てしまったのです。

つまり、今回の電力需給ひっ迫警報は時季外れの寒さにより電力消費量が増えると予想され、地震により大型の発電所が停止したことで発電量が少なくなったので発令されました。

日本の電力事情

今回の電力需給ひっ迫警報は予想外の地震と季節外れの寒さが連続して起きたことが大きな原因です。しかし、日本の電力事情を考えると、再び電力需給ひっ迫警報が発令される可能性は否定できません

次の表は、経済産業省資源エネルギー庁が発表した2020年度の発電量をまとめたものです。

2020 (億)kWh 構成比 前年度比
原子力 388 3.9% -39.2%
石炭 3,101 31.0% -5.1%
天然ガス 3,906 39.0% 2.0%
石油等 636 6.3% -0.9%
水力 784 7.8% -1.5%
太陽光 791 7.9% 14.0%
風力 90 0.9% 17.8%
地熱 30 0.3% 5.1%
バイオマス 288 2.9% 10.3%
合計 10,013 100% -2.1%

政府は2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言しており、太陽光発電の導入量を増やしています。しかし、2020年度時点では化石燃料による火力発電が76.3%を占めており、日本の電力は火力発電に依存しています。

なぜなら、太陽光発電は天候により発電量が左右され、電力消費量が増える夜間に発電ができません。そのため、太陽光発電の弱点を補う形で火力発電が使われています

日本電力の大部分を占めている火力発電ですが、最近では老朽化が激しく、太陽光発電の需要に合わせて出力を落とすと効率が悪くなって、採算が落ちるなどの問題点が指摘されています。

また、2021年頃から世界規模で電力需要が増えたことにより、石炭や石油の不足と価格高騰が起きており、電力会社の経営を圧迫しています。実際、2021年4月~2022年3月にかけて、自前の発電所を持たない新電力会社が14件倒産しております。

つまり、日本の電力は天候によって発電量が不安定になる太陽光発電と、問題点が幾つも指摘されている火力発電の2つが柱となっており、安定しているとは言えない状況です。

電力需給ひっ迫に備えて個人で出来ること

日本の電力事情を考えると、電力需給ひっ迫による大規模な停電が起きないとは断言できません。そのため、電力需給ひっ迫に備えて、太陽光発電や蓄電池の設置をおすすめします。

太陽光発電システムはパネルの性能にも左右されますが、晴天の場合は1kWのシステムで2.5~3.5kWhの電気を発電できます。

仮に、5kWの太陽光発電システムを設置していた場合の1日の発電量は12.5kWh~17.5kWhとなります。12.5kWh~17.5kWhは平均的な4人家族の電力消費量を上回っています。

つまり、5kWhの太陽光発電システムを設置していれば、晴天なら自宅の電力を自分でカバーできます

もちろん、太陽光発電なので夜間は電力会社から電力を購入することになりますが、蓄電池があれば対応可能です。蓄電池は日中に消費しきれなかった余剰電力を蓄えて、夜間に回すことができます。

また、蓄電池の種類によっては万が一の事態に備えて電力会社から電力を購入しておき、停電時でも普段に近い生活を送ることができます。

蓄電池と太陽光発電システムはセットで購入する必要はありません。しかし、売電単価が下がっていることや、夜間の買電などを考えると、太陽光発電システムと蓄電池はセットで運用した方がメリットは多いです

太陽光発電システムの選び方

太陽光発電システムを選ぶときのポイントは以下の通りです。

  • 発電量に対するコスト
  • 実際の発電量
  • 耐久性

それぞれ、順番に解説します。

発電量に対するコスト

太陽光発電システムの発電量や価格は、商品ごとによって異なります。そのため、1kWあたりの価格を比較することで、コストパフォーマンスを比べることができます。例えば、以下のような太陽光発電システムがあったとします。

  • A…6kWの太陽光発電システムで販売価格は120万円
  • B…4kWの太陽光発電システムで販売価格は100万円

導入費用だけを見た場合はBの方がお得ですが、1kWあたりの価格を比較すると次のようになります。

  • A…1kWあたり20万円
  • B…1kWあたり25万円

kW(キロワット)は太陽光発電システムの全体の発電量を指しており、1kWあたりのコストが安いほど、多くのパネルを設置できます。多くのパネルを設置できれば、日照時間が少なくても多くの電力を発電できます。

太陽光発電システムを選ぶときは発電量に対するコストを比較してみましょう。

実際の発電量

インターネットや広告で表示されている発電量と、実際の発電量は異なる場合があります。なぜなら、太陽光発電システムは実際に設置する場所の日照量や湿度などで変わります

例えば、曇りや雨が多い地域や、日照時間が短い地域だと発電量は下がってしまいます。また、お客様によって屋根の形状や方角、周囲の環境も異なります。

太陽光発電システムを設置する際は、メーカーや販売会社に相談して、自分に合った太陽光発電システムを選んでもらいましょう

耐久性

太陽光発電システムのパネルは温度の変化や潮風によって劣化していきます。パネルが劣化すると、発電量が下がったり、火事の原因になったりします

そのため、太陽光発電システムを選ぶ際は、発電量やコストパフォーマンスだけでなく、耐久性を比較しておくことも重要です。メーカーによっては、積雪試験や塩害試験などの結果を公表しているので、参考にしてみましょう。

蓄電池の選び方

蓄電池を選ぶときのポイントは次の通りです。

  • 使いたいシーンに合った蓄電池を選ぶ
  • 太陽光発電システムの発電量に合わせる

それぞれ、順番に解説します。

使いたいシーンに合った蓄電池を選ぶ

蓄電池は仕様と種類が次のように分かれています。

名称 特徴
仕様 特定負荷型 100Vまでの家電製品を動かせる
停電時、特定の部屋にのみ給電する
全負荷型 200Vまでの家電製品を動かせる
停電時、全ての部屋に給電できる
種類 スタンドアロン型 太陽光発電システムを必要としない
使用する前に充電が必要
単機能型 太陽光発電システムの種類やメーカーを選ばない
ハイブリッド型 停電時の出力が高く、多機能な機種が多い

例えば、特定負荷型の単機能型なら、既に太陽光発電システムを設置している住宅に蓄電池を取り付けることができます。太陽光発電システムのメーカーや機種を選ばないので、蓄電池の選択肢が多いです。

一方、全負荷型のハイブリッド型は200Vまでの家電製品を動かせて、停電時の出力も高いので、万が一の場合でも普段通りに近い生活を送ることができます

蓄電池を選ぶ際は、太陽光発電システムとセットで運用するのか、どんなシーンに備えておきたいのかなどを考えてから選びましょう。

太陽光発電システムの発電量に合わせる

蓄電池と太陽光発電システムをセットで運用するつもりなら、太陽光発電システムの発電量に合わせましょう

例えば、1日の発電量が12kWhの太陽光発電システムがあったとします。家庭で消費される電力量を5kWhとすると、余剰電力は7kWhです。この場合、蓄電池の蓄電容量が7kWh以上あれば、余剰電力を捨てずに蓄電できます。

家庭で消費される電力量は個々人で異なります。太陽光発電システムや蓄電池を導入する際は、家庭の消費電力量を計算しておくと、商品を選ぶ際に役立ちます

まとめ

以上が、電力需給ひっ迫に関する解説です。電力需給ひっ迫警報が発令されたのは地震と季節外れの寒さが続けて起きたことが大きな原因ですが、日本の電力事情を考えると再び起きる可能性はあります。

また、2022年3月~4月にかけて、電気料金の値上げが続いています。電力需給ひっ迫や電気料金の値上げへの対策として、太陽光発電システムや蓄電池の導入をおすすめします。

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