蓄電池
2021/11/14
蓄電池の蓄電容量はどれぐらい必要なのか?蓄電容量別のおすすめメーカーも紹介
蓄電池を購入する時のポイントとして、蓄電容量は重要になります。なぜなら、蓄電容量によって停電時にどれだけの電化製品を使用できるのか異なるからです。 しかし、蓄電容量は幾つかの要素が絡んでくるため、どれぐらい必要になるのかすぐに結論を出すのは難しいです。
そこで今回は蓄電池の蓄電容量はどれぐらい必要になるのか解説します。蓄電容量別のおすすめメーカーも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
蓄電池の容量とは?
蓄電池は、太陽光発電システムで発電した電力や電力会社から購入した電気を充電する機器のことで、何度も繰り返し使用できる電池のことを指します。本記事では主に、太陽光発電システムに対応した家庭用蓄電池を蓄電池と呼称します。
容量は蓄電池に充電できる電力量のことで、単位はkWh(キロワットアワー)で表記されます。
基本的にはkWhの数値が大きいほど、多くの電力を充電することが可能で、停電時でも様々な電化製品を日常と同じように使用することができます。ただし、蓄電池の容量が多いと比例するように価格も高くなる傾向にあります。
蓄電池に関する基礎知識
蓄電池の容量について解説する前に、蓄電池に関して知っておきたい基礎知識について順番に解説します。
kWhとkWの違いは?
太陽光発電システムのスペックを調べると、kW(キロワット)という単位を見る機会があります。
蓄電池のkWhと太陽光発電システムのkWは似ていますが、意味は次のように異なります。
- kWh:太陽光発電システムを1時間(hour)発電した時の電力量
- kW:瞬間の電力量
kWは発電力の単位ですが、時間の概念がありません。一方で、kWhは1時間発電・充電し続けた場合の電力量の単位という意味です。
つまり、蓄電池に6kWhという表記があった場合、1時間で6kWの電力を蓄電できるという意味になります。
ただし、電力は蓄電する際にロスが発生し、太陽光発電システムの発電量が常に一定とは限らないため、6kWの電力を蓄電するのに1時間以上かかるケースもあります。
定格容量と実効容量の違いは?
蓄電池の容量は次の2種類があります。
- 定格容量:規定された条件下で蓄電できる電力量
- 実効容量:実際に使用できる電力量
例えば、田淵電機の「EIBS7 蓄電ハイブリッドシステム」の蓄電容量は次になります。
- 定格容量:7.04kWh
- 実効容量:6.2kWh
EIBS7は最大7.04kWhまで充電できますが、実際に使用できるのは6.2kWhまでになります。
蓄電容量が2種類あるのは、蓄電池は蓄えている電力を全て放電してしまうと寿命を縮めてしまうからです。
使用できる電力量にあらかじめ制限を掛けておけば、蓄電池の容量がゼロになってしまうのを避けられます。
そのため、蓄電池を選ぶ際は、実効容量(実際に使用できる電力量)がどの程度あるのか、しっかりと確認しましょう。ただし、メーカーによっては実効容量が記載されていない場合があります。
定格容量から実効容量を求める計算式はありますが難しく、計算に必要な数字が公表されていない場合もあるので、実効容量は定格容量の80%前後と覚えておきましょう。
蓄電池の容量の選び方
蓄電池の容量を選ぶときのポイントは次の2つになります
- 太陽光発電システムとのバランス
- 停電時にどの電化製品を使いたいのか
それぞれ、順番に解説します。
太陽光発電システムとのバランス
太陽光発電システムと蓄電池をセットで運用する場合、太陽光発電システムの発電量と蓄電池の蓄電容量のバランスを考えましょう。
蓄電池の一般的な用途は、太陽光発電システムで発電した電力のうち、買取・自家消費されなかった分を蓄電することです。
例えば、5.0kWの太陽光発電システムを設置しているとします。年間発電量を5,500kWと想定すると、1日あたり平均15kWほど発電します。
経済産業省の調査によれば、発電した電力の自家消費分はおよそ30%と言われているので、残りの10.5kWが売電と充電できる電力量になります。
売電をするつもりが無いなら蓄電容量が10kW前後の蓄電池を購入すれば、自家消費しきれなかった電力のほとんどを蓄電できます。
反対に、売電を積極的に行うつもりなら蓄電容量が5kW未満の蓄電池を購入すれば、まとまった売電収入を得ることができます。
このように、太陽光発電システムの発電量から売電・充電できる電力量を導き出し、売電・充電のどちらを重視するかによって蓄電池の容量を決める方法があります。
停電時にどの電化製品を使いたいのか
蓄電池に蓄えてある電力によって停電時でも電化製品を動かすことができます。ただし、電化製品は物によって必要な出力が異なります。次の表は一般的な電化製品の出力の目安になります。
電化製品 | 出力(目安) |
---|---|
冷蔵庫(40L) | 190W |
電子レンジ | 1500W |
IH調理器 | 700W |
電気ケトル | 250W |
エアコン | 650W~750W |
洗濯機(8㎏) | 600W |
テレビ | 150W |
パソコン | 100W |
照明 | 50W~100W |
携帯電話の充電 | 15W |
停電時に使用したい電化製品に必要な蓄電池の容量は次の計算式で算出できます。
- 使用したい電化製品の合計出力(W)×時間(h)÷1000(k)=必要な蓄電池の容量(kWh)
例えば、停電時にテレビと携帯電の充電、照明、エアコンを5時間使用したいとします。この場合の計算式は次になります。
- (150W+15W+100W+650W)×5時間÷1000=4.5kWh
上記の条件で停電時に電化製品を使用したい場合は、蓄電池の容量が4.5kWh以上の製品を選べばいいと求めることができます。
実際の停電時にテレビやエアコンを5時間も使用しているということは少ないかもしれません。しかし、停電時にも使用したい電化製品を先に決めておけば、出力と使用したい時間から必要な蓄電池の容量を決めることができます。
蓄電池容量と太陽光発電システムの発電量の早見表
蓄電池の容量と太陽光発電システムの発電量のバランスは、電力の使用量や使用用途によって異なるので、購入する際に迷ってしまいます。
次の表は1日の自家消費電力量を5kWhとした場合の蓄電容量と太陽光発電システムの発電量の早見表になります。
太陽光発電システムの設置容量 | 年間発電量 | 1日の発電量 | 蓄電池容量の目安 |
---|---|---|---|
3kW | 3,300kWh | 9kWh | 4kWh |
4kW | 4,400kWh | 12kWh | 7kWh |
5kW | 5,500kWh | 15kWh | 10kWh |
6kW | 6,600kWh | 18kWh | 13kWh |
7kW | 7,700kWh | 21kWh | 16kWh |
上記の表はあくまでも試算のため、設置容量の4kWの太陽光発電システムには蓄電池容量が7kWh必要だということにはなりません。家族の人数によっては1日の自家消費電力量が5kWhを超える場合もありますし、1日の発電量が試算よりも少ない場合もあります。
しかし、蓄電容量と太陽光発電システムの発電量のバランスを考える際の目安にはなるので、ぜひ参考にしてください。
蓄電池を選ぶときの容量以外のポイント
蓄電池を選ぶときは蓄電容量以外に次の2つのポイントも重要になります。
- 100V対応か200V対応
- 蓄電池の種類
それぞれ、順番に解説します。
100V対応か200V対応
蓄電池の出力は100Vか200Vのどちらかになります。
蓄電池の容量が大きくても、一度に使える電力量には限界があり、機種によっては使用できる電化製品の種類に制限が掛かります。
一般的な蓄電池だと100Vが主流ですが、出力が100Vだと停電時にエアコンやIH調理器、エコキュート、電子レンジなどを使用できません。
エアコンやIHクッキングヒーター停電時に使用できないと、夏場や冬場だと体調を崩してしまい、レトルト食材を温めることもできません。
停電時でもエアコンやIHクッキングヒーターを使用したい方は、200V対応の蓄電池を選ぶことになります。
また、蓄電池には全負荷型と特定負荷型があり、次のように異なります。
- 全負荷型…すべての部屋に給電できる
- 特定負荷型…特定の部屋にだけ給電する
200V対応の蓄電池は全負荷型になります。予算に余裕があり、停電時にすべての部屋で電気を使いたい方は全負荷型/200V対応の蓄電池を選びましょう。
蓄電池の種類
蓄電池の種類は単機能型とハイブリッド型の2種類に分類されています。
単機能型の蓄電池はどのメーカーの太陽光発電システムにも適合し、価格が安いというメリットがあります。しかし、停電時に十分な充電ができないというデメリットがあるので、停電時でも普段通りの生活を送るのは難しいです。
一方で、ハイブリッド型の蓄電池は停電時にも十分な充電が可能というメリットがあります。停電が長引いても対処でき、太陽光発電システム用のパワーコンディショナも内蔵しているので、パワコンの交換費用を節約できます。
単機能型に比べてハイブリッド型の蓄電池の方が高いですが、機能や性能が優れているため、これから蓄電池を購入するならハイブリッド型の蓄電池がおすすめです。
ただし、古い太陽光発電システムと適合しない、あるいは適合しても発電量が大幅に下がるというケースがあるので、太陽光発電システムをすでに設置していてハイブリッド型の蓄電池を導入する際は注意しましょう。
蓄電池は太陽光発電システムとセットで運用すべき?
結論から申し上げますと、蓄電池と太陽光発電システム(ソーラーパネルなど)はセットで運用すべきです。
蓄電池はスタンドアロン型や単機能型といった種類なら、ソーラーパネルが無くても電力会社から買電した電力を蓄えて、停電時に備えたり、日中の電力として使用したりできます。
しかし、ソーラーパネルが無ければ、停電時に消費した電力を充電しなおすことはできないため、蓄電池があっても停電時に使用できる電力量は少なくなってしまいます。
よって、ソーラーパネルを設置するなら蓄電池もセットで運用すべきです。
蓄電池の容量別おすすめメーカー
2021年時点で蓄電池の容量は大きく分けて3種類に分類されます。
- 5kWh未満
- 5kWh~8kWh未満
- 8kWh以上
蓄電池はメーカーによって力を入れている容量や特徴が異なります。それぞれ、順番に解説します。
蓄電容量5kWh未満のおすすめメーカー
蓄電容量が5kWh未満の蓄電池は、小型の蓄電池やポータブルタイプの蓄電池に分類されます。
ポータブルタイプの蓄電池は工事不要、屋内コンセントから充電可能で停電時はコンセントから各所に給電できます。
小型の蓄電池なら、おすすめのメーカーはシャープや田淵電機です。
シャープの蓄電池は長寿命設計が特長で、12000回の充電・放電を繰り返しても蓄電容量が70%も維持できます。長寿命ということは長く使用できるので、コストパフォーマンスに優れていると言えます。
エコ突撃隊では、シャープの「JH-WBP41 4.2kWh」を販売しております。コンパクトで設置しやすいタイプとなっており、屋外だけでなく屋内でも設置できます。既存の太陽光発電システムと連携可能で、専用タブレットにより発電や蓄電状況を一目で確認できます。
田淵電機は蓄電池と太陽光発電システムを併用するのに最適なハイブリットタイプパワーのコンディショナを開発しているメーカーです。海外進出を果たしているほど高い技術力も有しています。
エコ突撃隊では、田淵電機の「EIBS蓄電ハイブリッドシステム 4.0kWh」を販売しております。数多くの太陽光発電システムと接続可能で、小型ながら定格容量に対して実効容量が多い機種です。
5kWh~8kWh未満のおすすめメーカー
蓄電容量が5kWh~8kWh未満の蓄電池は現在発売している機種のなかでも主力製品になります。そのため、各種メーカーから機能や性能が優れた蓄電池が販売されています。
上記で紹介したシャープや田淵電機のほかに、長州産業やパナソニックがおすすめのメーカーになります。
長州産業は太陽光パネルのメーカーとして有名ですが、実は長寿命で安全性の高い蓄電池を開発しているメーカーでもあります。長州産業の蓄電池は衝撃に対する耐性が強いため、地震で倒れても壊れにくいという評価を得ています。
エコ突撃隊では、長州産業の「ハイブリッドタイプ蓄電システム 6.5kWh」を販売しています。
屋内に設置できるコンパクトなタイプのため、基礎工事不要で初期導入費用を抑えることができます。コンパクトながら、フル充電だとテレビやパソコン、冷蔵庫などを約11時間も連続で使用できるほどパワフルな性能となっています。
パナソニックは蓄電や自家消費を効率良く行えるシステム性の高さが特徴的です。環境・蓄電・経済の3つのモードを切り替えるだけで、電気ロスを最小限に抑えつつ、効率的に蓄電や売電が行えます。
エコ突撃隊では、パナソニックの「リチウムイオン蓄電システム LJ-SF50B」を販売しております。蓄電容量5.0kWhながらポータブルタイプの蓄電池ため、太陽光発電システムを設置していないマンションにおすすめの製品です。
8kWh以上
蓄電容量が8kWh以上の蓄電池は大容量蓄電池と呼ばれており、以前は種類が少なかったです。しかし、電力の買取価格が下がっているのを受けて、固定価格買取制度が終了した後を見据えて大容量の蓄電池を購入するケースが増えており、注目を集めています。
そのため、各種メーカーから大容量蓄電池がいくつも販売されており、なかでもおすすめなのが伊藤忠商事やnichicon、長州産業です。
伊藤忠商事は繊維から機械、金属、エネルギーなど幅広い事業を展開している企業です。蓄電池メーカーとしては新参ですが、巧みなPR戦略などもあり業界内で知名度を獲得しつつあります。
エコ突撃隊では、伊藤商事の「スマートスター3 13.16kwh LL5130HOS」を販売しています。大容量の全負荷型蓄電池のため、停電時でも全ての部屋に電力を送ることができます。また、200Vに対応しているので、エアコンやIHクッキングヒーターを使用することもできます。
nichiconは用途に応じた蓄電池を販売しているメーカーです。住宅用では業界最大容量16.6kWhの機種を販売しており、長期の停電にも対応できます。一方で蓄電容量が2kWhの機種も販売しているので、自分に合った蓄電池を見つけやすいメーカーになります。
エコ突撃隊では、nichiconの「16.6kWh 単機能蓄電システム ESS-U4X1」を販売しております。業界でも屈指の大容量蓄電池で停電時に家全体に給電できる全負荷型となっています。また、AIによる自動制御に対応しており、過去のデータから最適な運用を行ってくれます。
他にも、エコ突撃隊では長州産業の大容量蓄電池として、「Smart PV Multi CB-P98M05A」を販売しております。太陽光発電システムの発電量や電気の使用状況に応じて、特定負荷/全負荷、ハイブリッド/単機能などを選択できるのが最大の魅力です。
蓄電池は容量が大きいほど初期導入費用が高くなりますが、ここで紹介した大容量蓄電池はDER補助金の対象となっています。
DER補助金は最大66.8万円の補助金が受け取れる制度で、高額な蓄電池をお得に購入できるチャンスがあります。ただし、補助金予算が無くなり次第終了のため、補助金を利用しようと考えている方は早めに購入しましょう。
まとめ
以上が、蓄電池の蓄電容量はどれぐらい必要になるのかについての解説になります。蓄電容量は蓄電池を選ぶ際に重要なポイントになりますが、太陽光発電システムの発電量とのバランスや、停電時にどの電化製品を使用したいかによって必要な容量が異なります。
売電や自家消費のバランスを重視するなら、太陽光発電システムの発電量に合わせましょう。停電時に日常生活と同じように電化製品を使用したいなら、全負荷型/200V対応にした、8kWh以上の大容量蓄電池を選びましょう。
エコ突撃隊では、相談者様の希望や使用用途に応じた蓄電池をご提案します。創業22年、施行件数25,000件を突破しており、他者とは違うこだわりの施行により、これまで多くのお客様に満足して頂いております。蓄電池の容量でお悩みでしたら、ぜひエコ突撃隊までご連絡ください。
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