オール電化
2020/04/26
IHクッキングヒーター(ビルトイン型)のメリット・デメリット
新築やリフォームの際に、ガスコンロとIHクッキングヒーターのどちらにしようか悩まれる方も多いポイントになります。ビルトイン型のIHクッキングヒーターに関しての、メリット・デメリットを正しく客観的にガスと比較しながら解説していきます!
IHクッキングヒーターの仕組み
IHクッキングヒーター(以下IH)の原理は、ガラスの下にコイルという銅線を巻いて作られた部品が、磁力を起こして鍋に熱を発生させます。そのため、IHは台そのものが熱くなるわけではなく、鍋自体を発熱させて調理を行います。
そのため、火を起こして熱を鍋に伝えるガスよりも、エネルギー効率は良いと言われており、ガスが約半分のエネルギーしか鍋に伝わっておらず、残りは外に逃げているのに対して、IHは80~90%のエネルギーを熱に変えることができます。
IHのメリット
お湯を沸かしたりする時間はガスの約半分以下!時短調理!
IHの火力にもよりますが、ビルトインIHは2.5kW~3.0kWという出力が現在の主流ですが、こちらで同じ量のお湯を沸かした時には、IHの方が早く沸きます。火力の伝わり方も、効率が良く短時間での強化力で調理することができます。
一昔前や、置き型のIHではまだまだ出力が弱い機種もありますが、ビルトインIHでは出力が多い機種が現在は主流ですので、火力が弱いという不安は不要で、むしろIHの得意分野になります。
フラットだから掃除が楽!
IHの大きな魅力の1つであるフラット形状です。五徳がないため、拭きこぼれや、飛び散りがあっても、洗剤を含んだ洗剤でサッと拭くことができます。
ただし、長く使い込んでいくと鍋の焦げや汚れが蓄積していきます。その時は、「クリームクレンザー+アルミホイル」で汚れを除去することができます。アルミホイルを丸めて、クリームクレンザーをIHの汚れの周辺に垂らし、アルミホイルで擦る様に汚れを除去します。IHの調理面はガラスの為、クレンザーで擦っても傷などはほとんど付きませんので、汚れが取れにくくなって来たら試してみてください。
チョコレートの湯煎などにも使える
火力調整が上手なため、高温で一気にお湯を沸かすこともできれば、反対に低温で一定に保つことも得意です。チョコレートの湯煎などにも活用することができたり、タイマー設定での調理もガスコンロ同様できます。
光熱費はガスに比べると、都市ガス並み
ガスや電気代は地域差や契約で差があるので、一概に決めつけれませんがおそらく都市ガス並みでしょう。IHで消費する電気代としては4人家族の場合、月に800円~1,000円程度になります。
オール電化の場合、ガスの基本使用料金が不要になる分が浮きますので、基本料金分が安くなるイメージです。またプロパンガスは、都市ガスと比較すると高くなりますので、プロパンガスとIHを比較するとIHの方が安くなります。
火を使わないから安心・快適
この話は表裏一体ではありますが、単純に火を使わないことで、袖やエプロンへの引火等を防止することや、地震の際には家事につながりにくい点が挙げられます。最近のガスコンロはほとんどの機種でSIセンサーが搭載されているので、振動等でストップするように設計されていますがIHはより安全です)
そして、引火しないことから、お子様との料理を行ったりする際は安心に使っていただくことができます。機種によっては、天ぷら油の温度も制御を行ってくれる機種も多く、安心して使用して頂くことができます。(火がないことによるデメリットも参照)
火を単純に使わないので、料理していてキッチン空間が暑くなりにくく、二酸化炭素や窒素酸化物を室内に発生させない観点からも、室内空気質をクリーンに保つことにつながります。
炒め物や天ぷらでの油の拡散が少ない
肉を焼いたり、天ぷらを揚げたりするとダイニングの床の方まで油が飛んでいることはありませんか?これはガスの火の上昇気流によって、油が拡散されているためです。
IHの場合は、この上昇気流がありませんので、油の拡散も少なくキッチン廻りやダイニング廻りが汚れにくいことは、お掃除をされる主婦の方に強い味方です。
最新機種の中には、お菓子作り等もできるIHも!
最新のIHは、魚焼きグリルが工夫されている機種があり、網ではなくプレートになっています。(パナソニックのラクッキングリル、日立のラク旨グリル等)
通常機種に比較して高額にはなりますが、グリルの中でプリンやカステラ、ドーナツといったお菓子が作れたり、グラタンやパエリア等の料理もグリルの中でできる機種が多くなっています。特に、お菓子作りは低温調理が必要なため、温度調整が上手なIHならではの技術です。
IHのデメリット
「調理している感」がガスに比べて少ない
ガスからIHに変えた方の意見として聞くことは、「問題ある話ではないが、鍋を思いっきり振ったり調理している感はあまりない」という意見です。
火力については、前述の通り問題ないことは使っていただくとご理解頂けると思いますが、鍋を振って豪快に料理がしたい!という方には、少し味気のない感触を持つ方もいらっしゃいます。
使える鍋が制限される
ガスでは特に鍋の種類は選ぶ必要はありませんが、IHは「使えない鍋」があります。
具体的には、中華鍋のような底面が平らでない鍋、土鍋、磁石にくっつかない金属鍋(オールメタルIHの場合は使用可)はIHでは使用できません。
直接温めるわけではなく、金属の化学反応によるため底がくっついた状態の、基本は磁力が通る鍋でないといけません。
オールメタルと呼ばれるIHの場合は、磁石にくっつかない鍋でも使用することができます。仕組みとしては、磁力を発生させてるコイルの量が、一般のIHに比べて多く磁石がくっつかない鍋でも温めることができます。
ただオールメタルIHは高額になります。どうしても使いたい鍋が磁石につかないアルミ等の場合は、片側だけオールメタルのIHも中にはありますので、高い部類の中でも少しリーズナブルに購入できます。
海苔が乾かせない
火の上昇気流がないため、火の上で海苔を炙って乾かす、という技ができません。
ただ、フライパンで熱したり、オーブントースターや電子レンジで温めてもパリっと復活させることはできますので、あまり不便にはならないかも知れません。
火が見えないこと(メリットと表裏一体)
火が無いことはメリットでもありますが、中には熱くなっていることが分からないお子様、またはご高齢の方に対しては注意が必要な場合があります。
またガスと同様ですが、IHも鍋を温めて調理をする、と言っても調理直後はIHの天板が熱くなっており素手で触ったりすると危険です。高温注意のランプなどでお知らせをしてくれる機種がほとんどですが、お子様や、特にご高齢の方が家族にいらっしゃるご家庭は、よく家族内、もしくはケアマネージャー等に相談してIHを導入しましょう。
天板のガラスが割れることがある(発生頻度はかなり少)
最近のガスコンロは、真ん中にSIセンサーがありありますので、一概に比較はできませんが、五徳があるため比較的頑丈ではあります。
IHを導入される際に、ガラスが割れないか?という不安を持たれる方もいらっしゃいますが、強化ガラスにはなっていますが、よっぽど強い衝撃があったり、当たり所が悪いとヒビが入ることもあります。
ただ、IHの故障において天板ガラスが割れた、という事象は故障案件の中でも少数です。
鍋振りをすると、一時ストップする
調理中に鍋をIHから離すと、異常検知をしておおかたのIHが一時ストップします。
鍋を置けばまた復活しますが、一昔に比べて立ち上がりが早くなったとは言え、一時的に鍋の温度が落ちたりします。
そのため、基本的には炒飯などを炒めていても、鍋は置いたままで調理を行いますので、ガスコンロに慣れている方は最初戸惑うかも知れません。
まとめ
ガス・IHともに良い点はありますが、筆者は悩まれている方には、選択の仕方として、「ガスにどうしても拘りが強い方はガス、それ以外の方はIHをおすすめ」しています。
ガスにように中華鍋を豪快に振ったりは基本IHではできないので、「ガスの火が一番!」と考える方は、ガスの良い点もありますので、ガスが良いと思います。
200VのビルトインIHは、機能面や火力の面でも同等価格のガスコンロと比較すると優れている点が多く、なんといってもお手入れがしやすく、高価なIHは様々な自動メニュー等があり、料理の幅が広がるというメリットが大きく、豪快に鍋を回さなくても良い、という方はIHの採用をおすすめいたします。