オール電化
2025/02/12
エコキュートの消費電力は?機種ごとの電気料金のシミュレーションや節電する使い方などをわかりやすく解説
エコキュートは電気でお湯を沸かす給湯器なので、消費電力量が増えるほど電気料金が高くなる可能性があります。ただし、消費電力が低いからといって、必ずしも電気料金が安くなるとは限りません。そこで今回は、エコキュートの消費電力について解説します。
エコキュートは電気でお湯を沸かす給湯器
エコキュートは電気と空気の熱でお湯を沸かす給湯器です。
エアコンにも用いられているヒートポンプ技術を採用しており、ヒートポンプユニットが空気の熱を取り込んで圧縮し、高温にしてお湯を沸かすと貯湯タンクユニットで溜めておき、リモコンユニットで湯温や湯量をコントロールします。
空気の熱を活用してお湯を沸かすため、ガス給湯器や電気温水器に比べて圧倒的にランニングコストが抑えられていることが特徴です。
エコキュートの消費電力は?
消費電力とは、電気製品を動かすときに使用される電力の量です。最小単位はW(ワット)で、k(キロ)がつく場合は1kW=1,000Wで、h(アワー)がつくと1時間あたりの消費電力量を指します。
エコキュートの消費電力は一般地向けの場合は1.0kW~1.5kW程度です。
消費電力1.0kW~1.5kW(1,000W~1,500W)は電子レンジや電子ケトル、掃除機、ヘアドライヤー、セラミックファンヒーター、電気ストーブなどの電気製品と同程度になります。
LED照明やノートパソコン、テレビ、炊飯器、エアコン(冷房)などと比べるとやや多いですが、IHクッキングヒーターやエアコン(暖房)に比べるとやや少ない程度だと覚えておきましょう。
なお、エコキュートの消費電力は次のような特徴があります。
- 季節や環境で変動する
- 貯湯容量が同じなら消費電力の違いは少ない
上記を順番に解説します。
季節や環境で変動する
エコキュートの仕様を確認すると、消費電力の項目が「中間期標準加熱能力」と「中間期標準加熱能力」で分けられているが確認できます。
エコキュートは空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器で、気温が低くなると通常よりも多くの電力が必要です。
そのため、春~秋の消費電力は1.0kW前後ですが、気温が下がる冬になると1.5kW~2.0kW程度まで上昇します。
また、外気温がマイナス10℃を下回る地域を寒冷地と呼び、寒さが厳しいため専用の寒冷地タイプのエコキュートが必要です。
寒冷地タイプのエコキュートは厳しい寒さのなかでもお湯を沸かすため、一般地タイプのエコキュートに比べて消費電力が若干高いと覚えておきましょう。
貯湯容量が同じなら消費電力の違いは少ない
エコキュートは複数のメーカーからさまざまなタイプが販売されています。
例えば、エコキュートのトップメーカーである三菱エコキュートは性能や機能が充実しているプレミアムなPシリーズや、初期費用を抑えているAシリーズがあり、貯湯容量が300L、370L、460L、550Lなどがあります。
一見すると、機種によって消費電力に大きな差があるように思えますが、実際は同メーカーで貯湯容量が同じなら消費電力に大きな違いはありません。
次の表は、三菱エコキュートの消費電力を比較したものです。
SRT-P376UB | SRT-P466UB | SRT-N376-2 | SRT-N466-2 | SRT-N186D | |
---|---|---|---|---|---|
シリーズ | Pシリーズ | Pシリーズ | Aシリーズ | Aシリーズ | Aシリーズ |
貯湯容量 | 370L | 460L | 370L | 460L | 300L |
給湯タイプ | フルオート | フルオート | 給湯専用 | 給湯専用 | 給湯専用 |
消費電力(通常) | 1.37kW | 1.70 kW | 1.37 kW | 1.70 kW | 1.50 kW |
表にあるように、同シリーズで貯湯容量が異なると消費電力は変動します。
一方で、貯湯容量が同じであれば、シリーズや給湯方法が異なっていても、消費電力に大きな違いがありません。
機種ごとの電気料金のシミュレーション
同メーカーで貯湯容量が同じなら消費電力の違いは少ないですが、お湯を沸かすためのランニングコストが変わらないわけではありません。
次の表は、貯湯容量が同じSRT-P376UBとSRT-N376-2のお湯を沸かすためのランニングコストをシミュレーションしたものです。
SRT-P376UB | SRT-N376-2 | |
---|---|---|
シリーズ | Pシリーズ | Aシリーズ |
貯湯容量 | 370L | 370L |
給湯タイプ | フルオート | 給湯専用 |
消費電力(通常) | 1.37kW | 1.37 kW |
1月 | 6,400円 | 7,128円 |
2月 | 5,828円 | 6,482円 |
3月 | 6,008円 | 6,670円 |
4月 | 3,708円 | 4,133円 |
5月 | 3,349円 | 3,696円 |
6月 | 2,804円 | 3,121円 |
7月 | 2,203円 | 2,456円 |
8月 | 1,784円 | 1,993円 |
9月 | 1,986円 | 2,199円 |
10月 | 2,855円 | 3,130円 |
11月 | 3,536円 | 3,885円 |
12月 | 6,069円 | 6,716円 |
合計 | 46,530円 | 51,609円 |
上記の電気料金はあくまでも目安で、実際のランニングコストは気温やお湯の使用量などによって変動します。
しかし、シミュレーション上では同じ消費電力のエコキュート同士なのに、ランニングコストに差が生じます。
消費電力が同じなのにランニングコストに差が生じるのは、年間給湯保温効率が異なるからです。
エコキュートのランニングコストは年間給湯保温効率で決まる
エコキュートの年間給湯保温効率とは、1年間の給湯とふろ保温に要した熱量を、その期間の消費電力量で割った数値です。
SRT-P376UBの年間給湯保温効率は4.2、SRT-N376-2は3.5となっており、数値が低いと効率良くお湯を沸かすことができず、ランニングコストが高くなっています。
SRT-P376UBの場合は、前日の残り湯の熱を回収して貯湯タンクユニット内部を温める「ホットりたーん」機能があるため、効率良くお湯を沸かすことが可能です。
つまり、エコキュートは貯湯容量が同じなら消費電力に違いはありませんが、搭載している機能によってお湯を沸かすための効率が異なり、結果としてランニングコストに差が生じます。
エコキュートのランニングコストを抑えたい方は、消費電力よりも年間給湯保温効率が高い機種を選びましょう。
エコキュートで出来る節電の方法
エコキュートは貯湯容量が同じなら消費電力に大きな違いはりませんが、使い方を見直すことでお湯を沸かす時間が短縮され、消費される電力量が減り、結果としてランニングコストの節約につながります。
そのため、エコキュートを利用している方は次の節電方法を試してみましょう。
- お湯を無駄に沸かさない
- お湯を無駄に使わない
- 日中にお湯を沸かさない
- 入浴の間隔を空けない
- 風呂の水位を下げる
- 浴槽に蓋をつける
- 給湯温度を下げる
- ヒートポンプユニットの周りを片付ける
上記を順番に解説します。
お湯を無駄に沸かさない
エコキュートはリモコンユニットでお湯を沸かす量やモードを変更できます。
過剰にお湯を沸かすと余った分が無駄になる可能性があるので、家族の使用量を把握し、適切な沸き上げ設定を行うことで電力消費を抑えましょう。
なお、最新のエコキュートはAIによる学習機能があり、過去のお湯の消費量から最適な沸き上げ量を見極めるので、AIにお任せするモードの利用もおすすめです。
お湯を無駄に使わない
エコキュートは夜間にお湯を沸かして溜めておき、翌日以降に消費する貯湯式給湯器です。
お湯を消費すると、消費した分を沸かそうとするので、必要以上にお湯を使ってしまうと、結果として電力の消費量が多くなる可能性があります。
お湯を流しっぱなしにする、高温のシャワーを長時間使うなどは、お湯の消費量が多くなりやすいので注意しましょう。
日中にお湯を沸かさない
エコキュートは電気料金単価が安い夜間にお湯を沸かすため、ランニングコストが抑えられています。
しかし、日中にお湯を使いすぎてしまうと、湯切れとなり、不足分を補うために日中にお湯を沸かそうとします。
エコキュートを導入する場合、日中と夜間で電気料金単価が異なる料金プランと契約するケースが多いです。
例えば、次の表は東京電力エナジーパートナーのスマートライフSの料金をまとめたものになります。
基本料金(10Aにつき) | 時間帯(1kWhあたりの料金) | ||
---|---|---|---|
午前6時~翌午前1時 | 午前1時~午前6時 | ||
スマートライフS | 311.75円 | 35.76円 | 27.86円 |
夜間に比べると日中のほうが電気料金単価は高いので、日中にお湯を沸かそうとするとランニングコストが高くなります。
そのため、お湯の使いすぎを避け、なるべく日中に沸かさないようにしましょう。
入浴の間隔を空けない
入浴の間隔が長く空くと、お湯が冷めてしまい、足し湯や追い焚きが必要になります。
足し湯や追い焚きを繰り返すと、お湯の消費量が増えてしまい、結果として沸かす際の湯量が増えて、消費電力量が増加する可能性が高いです。
そのため、家族が短い時間で次々と入浴することを心掛けましょう。
風呂の水位を下げる
国土交通省の発表によれば、1日で最も多く使用される水は風呂です。一般的に180L~200L程度のお湯を消費しています。
風呂の水位を下げれば消費する湯量が減り、節電効果を期待できるので試してみましょう。
浴槽に蓋をつける
浴槽に蓋をすることで、保温効果が高まりお湯が冷めにくくなります。
追い焚きの頻度が減って、エネルギーの無駄を防げるので、市販の断熱効果の高い蓋を活用しましょう。
給湯温度を下げる
エコキュートは高温のお湯を貯湯タンクユニットに溜めておき、水道水と混ぜて設定した給湯温度まで下げてから各所に給湯します。
給湯温度が低いほど、水道水の割合が増えるため、貯湯タンクユニットに溜めてあるお湯の消費量は少なくなる仕組みです。
つまり、給湯温度を下げることでお湯の消費量を減らし、お湯を沸かす時間の短縮が期待できます。
ヒートポンプユニットの周りを片付ける
ヒートポンプユニットとは、エコキュートの心臓部分で、空気の熱を利用してお湯を沸かす機器です。
エアコンの室外機のような形状をしており、前後にあるファンで空気の熱を取り込んでいます。
そのため、ヒートポンプユニットの周りに荷物やゴミなどがあり塞がっていると、給湯効率が下がる可能性が高いです。
給湯効率が下がれば消費電力量が増えてしまうので、定期的にチェックしましょう。
まとめ
以上が、エコキュートの消費電力の解説になります。基本的に一般地仕様のエコキュートなら、消費電力は1.0kW~1.5kW程度で、メーカーによって差は少ないです。
また、エコキュートは同メーカーで貯湯容量が同じなら、消費電力に大きな違いはありません。
ただし、搭載している機能などによってお湯を効率よく沸かせる場合は、ランニングコストが抑えられる可能性が高いです。
エコキュートの電気料金にこだわりたい方は、年間給湯保温効率が高い機種を選び、節電を行いましょう。
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