オール電化

2023/03/30

深夜電力割引は廃止されていく!?

電力消費は、平均的に見ると朝6時頃から増え始め、19時~21時をピークとして以降翌日早朝まで減少する傾向にあります。この電力需要が少ない時間帯に、夜間蓄熱機器や電気温水器といった機器に限って電力を安く提供する事を深夜電力といいます。今回は、この深夜電力割引について解説いたします。

今回は、深夜電力割引について解説いたします。ぜひ最後までご覧下さい。

深夜電力とは

まず、深夜電力とは何か、ということからおさらいしていきましょう。

人には様々な生活スタイルがあるため、各々の電力消費が一番多い時間帯は人によって異なります。

しかし、平均的に見ると電力消費は朝6時頃から増え始め、19時~21時をピークとして以降翌日早朝まで減少する傾向にあります。

この電力需要が少ない時間帯に、夜間蓄熱機器や電気温水器といった機器に限って電力を安く提供する事を深夜電力といいます。

深夜電力割引プランとは

火力発電や原子力発電等、発電方法は様々ありますが、基本的に発電所は電力の最大需要時間の電力を満たせるように発電計画が建てられています。

しかし実のところ、日々の時間帯別の電力需要に対して、柔軟に発電量を変更する、という事は非常に難しく現実的ではありません。

結果として、発電された電力は需要の減る夜間になると、最大需要時間の発電量との差額分だけ余ってしまう事になります。

この問題を解消するべく、日中の電気代を上げ、夜間の電気代を下げることによって深夜電力の使用を促し、余剰電力の消費を促すために作られたのが深夜電力割引プランです。

このプランは、夜間電力を何らかの形で蓄え、日中に使用できる機器を対象として加入できるプランです。

一般に、夜間に電気代が安くなるプランとはまた別のものとなりますので注意しましょう。

主に、エコキュート、電気温水器といった夜間蓄熱式機器がその対象です

上記のような電気を使って湯沸かしをする給湯機器にはお湯を貯蔵するタンクがあります。

深夜電力割引プランに加入すると、夜間の電気が安い時間帯にお湯を沸かし、日中の電気代が高い時間帯は湯沸かしをせず貯まったお湯を消費していくことで電気代の節約が出来るというメリットがあります。

電力会社によって金額は異なりますが、30%~60%程電気代を節約出来るプランが多くありました。

深夜電力割引プランの廃止や値上げが進んでいる

深夜電力割引は廃止されていく!?

深夜電力割引プランは非常にお得であったため、夜間蓄熱式機器を使用した家庭、オール電化住宅等を主として急激に広まりました。

しかし近年、各電力会社は深夜電力割引プランの廃止や値上げを進めています。

深夜電力割引プランはなぜ廃止や値上げが進んでいるのか

深夜電力割引プランを提供していた電力会社は次々とプランの廃止や値上げを行っています。

これは昨今の社会情勢による燃料費高騰による各電力会社の値上げとはまた別の要因から起こっているものです。

主に、以下の理由から廃止や値上げが進んでいると考えられます。

  • 夜間蓄熱式機器の普及
  • 太陽光発電の普及

順番に解説いたします。

夜間蓄熱式機器の普及

理由のひとつとして、エコキュートや電気温水器といった夜間蓄熱式機器の普及が挙げられます。

例えばエコキュートは、2001年に日本で始めて製品化されてから、2021年には国内累計出荷台数が800万台を超えました。

元来、日中と夜間の電力消費量を平準化する目的で作られた深夜電力割引プランですが、上記のように夜間蓄熱式機が多数設置され、夜間電力の需要が激増しました。

そのため、プラン設立当初に比べ、電力会社にとっての負担増加が深夜電力割引プランの廃止や値上げに繋がっている一因です。

参考:一般財団法人 ヒートポンプ・蓄熱センター(https://www.hptcj.or.jp/individual/tabid/149/Default.aspx)

参考:東北電力(https://ecolife-project.tohoku-epco.co.jp/night/)

太陽光発電システムの普及

太陽光発電システムの普及も、深夜電力割引プランの進退に影響しています。

日本では2020年10月にカーボンニュートラル宣言を行い、温室効果ガスの大幅削減、脱炭素社会の実現を目指しています。

その実現のための一環として近年、再生可能エネルギーの導入拡大を進めています。

中でも太陽光発電システムの普及を強く推進しており、2017年段階でも全国平均7.5%の世帯が太陽光発電システムを導入しています。

深夜電力割引プランの設立の大きな要因として、日中と夜間の電力需要の差を埋める事が目的であることは前述の通りですが、太陽光発電の普及によって日中の電力需要が下がった事も深夜電力の扱いの変化に関わってきます。

太陽光発電システムによって、各家庭が日中太陽光を用いた発電を行い、電力を自家消費し余った電力を電力会社に売電を行う、あるいは蓄電池を用いて電力を蓄え、太陽光発電の発電時間外に使用する、といった事が広まるにつれ、電力需要のピーク時間においても買電需要が減ってきているのです。以上の事柄から、電力会社は値上げによって収支のバランスを取るため、日中の値上げや深夜電力割引廃止に踏み切るケースが出てきています。

参考:環境省(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/2017/result3/detail3/index.html)

深夜電力は今後廃止されていくのか

2023年3月現在、東北電力や関西電力等、多くの電力会社で深夜運転機器特別割引が廃止されています。

まだ継続している電力会社でも新規受付を終了している場合が多く、2023年4月から廃止と宣言されている場合もあります。

また、今後各電力会社で大幅な電気代の値上げが予定されていますが、夜間における電気代単価の値上がり幅は日中のそれに対して大きく、日中と夜間の料金差は少しずつ小さくなってきています。

電力会社によっては、日中の電気料金を下げ、夜間の電気料金を上げるといった改訂を行う会社もあります。

日中 夜間
東京電力EP
おトクなナイト10
値下げ(12銭) 値上げ(59銭)

参考:東京電力エナジーパートナーズ(https://www.tepco.co.jp/ep/)

今後の社会情勢や発電状況に左右されますが、深夜機器特別割引は廃止の流れと言えるかもしれません。

また、夜間電力割引プランについても縮小していく可能性が考えられます。

高くなっていく電気代にどのように対応していくか

深夜電力割引は廃止されていく!?

2023年3月現在、政府の補助金が入り僅かに電気代負担が減っているご家庭があります。

しかし、大手電力会社のほぼ全てが料金値上げ申請を出しており、2023年9月を以て政府の補助金が切れた際には、ご家庭への大きな負担増が見込まれます。

近い将来に訪れる電気代の激増に対してどのように対応していけばよいのでしょうか。

電力プラン、電力会社の見直し

契約している電力会社が大きな値上げをしてきた場合、電力プランの変更を検討してみると良いでしょう。

プランを検討してみて、それでも良いプランが見つからなかった場合は思い切って電力会社を変更してみるのも一つの手です。

基本料金や安くなる時間等、ご自身の生活スタイルに最もあった電力会社が見つかれば大きく電気代を節約することが出来るかもしれません。

また、大手電力会社と料金は変わらなくても、ポイント還元やスマホ保証といった付帯サービスがつく電力会社も存在しますので、結果的に得になる場合もあります。

ご自身と電力会社の条件をよく見定めてみるとよいでしょう。

電化製品の使用方法の見直し

初期費用のかかる設備刷新に踏み切るのは簡単ではありません。

そのため、現在使用している機器の使い方に気をつけるのもよいでしょう。

とはいえ、家庭で最も電力を使用する冷蔵庫には対策できる事が少ないです。

ご家庭の電化製品で電気の使用量が高く、かつ手を加えやすいのはエアコンです。

エアコンの電気代を節約するのに有効な対策は以下となります。

  • 冷房温度を下げすぎない、暖房温度を上げすぎない
  • 一時間以内の離席なら電源を切らない
  • 扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
  • 空調機器のフィルターを清掃し、無駄なく運用する
  • エアコン等冷暖房使用時は、窓や扉を締め、厚手のカーテンや断熱シートで外気温を防ぐ

以上がエアコンの節約方法となります。

まずはエアコンの使い方から試してみてはいかがでしょうか。

省エネ設備の刷新

現在使用している設備を新しい製品に変えていくのも有効です。

何故なら、技術の進歩とともに各電化製品の省エネ性能は上がり続けているからです。

10年前の機器と比較すると、年間の電気代は驚く程差が出ることもあります。

例えばエコキュートの場合、電気の使用効率を示す年間給湯保温効率を10年前の機種とでは比較してみると、最大1.5倍もの開きがあります。

これを年間の電気代に換算すると、1万円を大きく超える場合があります。

初期投資としては大きい額が必要となりますので、すぐ新製品に手を出すことは現実的ではありませんが、10年以上使用して、僅かでも不調が目につくようになったら新製品を検討しても良いでしょう。

太陽光発電システム、蓄電池の導入

電気料金の高騰には太陽光発電システムと蓄電池の導入が有効です。

お住まいの地域によって発電効率は大きく差が出ますが、太陽光発電システムによって日中電気を発電し、余剰電力を蓄電池に蓄えて発電外の時間に使用するようにすれば、大幅な電気代の削減が見込めるでしょう。

初期投資が非常に高額なのが問題ですが、今後電気料金が上がり続けた場合、発電設備を自家設置するのが最も賢い選択肢なのかもしれません。

まとめ

以上が深夜電力に関する見通しと対策となります。

2023年1月から、政府の電気代補助金によって一時的に電気代が下がるご家庭もありますが、電力会社は段階を踏みつつ複数回電気料金の値上げを行っていく予定です。

高騰する電気代へ対抗していくために、節約方法や省エネ設備について考えていく必要があるでしょう。

エコ突撃隊ではエコキュート、蓄電池、太陽光発電システムといった省エネ住宅設備を取り扱っています。

省エネ設備にご興味のある方はぜひ一度お気軽にご相談下さい。

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