太陽光発電
2018/12/25
太陽光発電の出力制御とは?出力抑制のルールや影響・対策
太陽光発電の出力制御について、しっかりと理解できていますか?出力抑制がなぜ必要なのかや、「30日ルール(旧ルール)」、「360時間ルール」、「指定ルール」などを解説します。各電力会社の出力制御のルールや、自家消費や蓄電池などの対策も紹介。
そもそも、太陽光発電の出力制御とは?
まずはじめに、太陽光発電の出力制御について、いったいどういう制度なのかを解説していきます。
主力制御は「出力抑制」とも呼ばれ、その内容は「一時的な売電ストップ」です。
もう少し詳しく解説すると、電気の供給量が電気の需要を上回りそうな場合(主に春や秋など電力消費量が少ない季節)において、電力会社が太陽光発電事業者に対して発電設備からの出力を停止したり、抑制を要請する制度となります。
では、なぜ主力制御が必要なのか、その理由についても見ていきましょう。
出力制御が必要な理由
上記で、出力制御が行われる条件を「電気の供給量が電気の需要を上回りそうな場合(主に春や秋など電力消費量が少ない季節)」と解説しました。実は、出力制御が必要な理由には、この「電気の供給量が電気の需要を上回る」という状況が大きく関わってきます。
そもそも、電気は発電する量(供給)と使用する量(需要)のバランスが同じになるように保たなくてはいけないという原則が存在しています。そのため、電気の供給量が電気の需要を上回ってしまうと、使い切れなくなった電気が電装網に流れ、周波数が上がって大規模停電が発生するリスクに繋がってしまいます。
このように、出力制御は単に「売電のストップ」が目的なのではなく、供給と需要のバランスを整え、電気を安定供給するために無くてはならないものなのです。
出力制御の3つのルール
出力制御のルールには、「30日ルール(旧ルール)」、「360時間ルール」、「指定ルール」の3つがあります。それぞれのルールの内容について、以下でご説明していきます。
30日ルール(旧ルール)
「30日ルール」は、平成27年度の固定価格買取制度(改正FIT法)の見直しによるルール変更が行われるまで適用されていたルールです。
この「30日ルール」は、500kW以上の太陽光発電に対して適用され、電力会社が自社の発電設備(火力・原子力など)の出力を抑制しても電力の供給量が需要量を上回る場合、年間30日を上限として無補償(減った売電収入への補償なし)に出力抑制を行うというルールでした。
なお、平成27年1月25日までに接続申し込みを行った分は、この30日ルールが適用になります。
360時間ルール
「360時間ルール」は、以前の「30日ルール」から変化したもので、主に「出力抑制の上限」と「出力抑制の対象」が大きく変わったポイントになります。
具体的には、旧ルールの「30日ルール」が日数を単位としていたのに対し、「360時間ルール」は時間単位のルールになります。「30日ルール」時代は、30日が出力抑制の上限でしたが、「360時間ルール」では出力抑制の上限が年間360時間と、時間単位に変更になりました。
また、以前の「30日ルール」では、500kW以上の大規模な設備のみが対象でしたが、「360時間ルール」になることで、500kW未満の家庭用太陽光発電なども出力抑制の対象に含まれることになりました。
指定ルール
「指定ルール」とは、国から指定を受けた電力会社を対象に、接続申込みの接続可能量を超えた場合、それ以降に接続を申込んだ接続発電設備を対象に、時間の上限なく無補償で出力制御を要請できるルールです。
この「指定ルール」は、接続可能量を超えている、もしくは超えそうな電力会社が対象のルールです。現在、経産省より指定を受けていて、「指定ルール」が適用されるのは、「北海道電力」、「東北電力」、「北陸電力」、「中国電力」、「四国電力」、「九州電力」、「沖縄電力」です。
電力会社によって異なる出力制御のルール
ここでは、電力会社ごとの出力制御ルールをご紹介していきます。
東京電力管内の出力制御ルール
●10kW~50kW未満:出力制御の対象外
●50kW以上:360時間ルール/接続申込日が2015年4月以前の場合は対象外
●500kW以上:接続申込日が2015年1月26日以降であれば「360時間ルール」/申込日がそれ以前の場合は「30日ルール」
中部電力管内の出力制御ルール
●10kW~50kW未満:出力制御の対象外
●50kW以上:360時間ルール/接続申込日が2015年4月以前の場合は対象外
●500kW以上:接続申込日が2015年1月26日以降であれば「360時間ルール」/申込日がそれ以前の場合は「30日ルール」
関西電力管内の出力制御ルール
●10kW~50kW未満:出力制御の対象外
●50kW以上:360時間ルール/接続申込日が2015年4月以前の場合は対象外
●500kW以上:接続申込日が2015年1月26日以降であれば「360時間ルール」/申込日がそれ以前の場合は「30日ルール」
北陸電力管内の出力制御ルール
●全kW共通:2017年1月24日以降の接続申込は「指定ルール」/2015年4月1日~2017年1月23日までの接続申込は「360時間ルール」/それ以前の場合は出力制御の対象外
中国電力管内の出力制御ルール
●50kW未満:360時間ルール/接続可能量オーバー後は「指定ルール」/2015年4月1日以前の接続申込は出力制御の対象外
●50kW以上:360時間ルール/接続可能量オーバー後は「指定ルール」/2015年1月26日以前の接続申込の場合、50kW~500kW未満は出力制御の対象外/500kW以上は「30日ルール」
四国電力管内の出力制御ルール
●10kW未満:接続申込日が2015年1月25日以降であれば「指定ルール」/接続申込日が2015年4月1日~2016年1月22日の場合「360時間ルール」/接続申込日がそれ以前であれば出力制御の対象外
●10kW~500kW未満:2016年1月25日以降の接続申込は「指定ルール」/接続申込日が2014年12月3日~2016年1月22日の場合「360時間ルール」/接続申込日がそれ以前であれば出力制御の対象外
●500kW以上:2016年1月25日以降の接続申込は「指定ルール」/接続申込日が2014年12月3日~2016年1月22日の場合「360時間ルール」/接続申込日がそれ以前であれば「30日ルール」
沖縄電力管内の出力制御ルール
●10kW未満:2015年4月1日以降の接続申込は「360時間ルール」/接続可能量オーバー後は「指定ルール」/2015年4月1日より前の接続申込は出力制御の対象外
●10kW~500kW未満:2015年1月26日以降の接続申込は「360時間ルール」/接続可能量オーバー後は「指定ルール」/接続申込日がそれ以前であれば出力制御の対象外
●500kW以上:2015年1月26日以降の接続申込は「360時間ルール」/接続可能量オーバー後は「指定ルール」/接続申込日がそれ以前であれば「30日ルール」
九州電力管内の出力制御ルール
●10kW未満:2015年4月1日以降の接続申込は「指定ルール」/接続申込日がそれ以前であれば出力制御の対象外
●10kW以上:接続可能量オーバー後の接続申込は「指定ルール」
北海道電力管内の出力制御ルール
●10kW未満:2015年4月1日以降の接続申込は「指定ルール」/接続申込日がそれ以前であれば出力制御の対象外
●10kW以上:接続可能量オーバー後の接続申込は「指定ルール」
東北電力管内の出力制御ルール
●10kW未満:2015年4月1日以降の接続申込は「指定ルール」/接続申込日がそれ以前であれば出力制御の対象外
●10kW以上:接続可能量オーバー後の接続申込は「指定ルール」
実際に行われた出力制御の事例と今後の予測
上記でご説明してきたように、売電を行えなくなってしまう出力制御ですが、2018年10月に、離島以外では国内初となる出力制御が九州電力で行われました。
この出力制御は、合計4回行われ、それぞれの出力抑制発令量と再生エネ全体の割合は、
10月13日(1回目):32万kW(再エネ全体の5.3%)
10月14日(2回目):54万kW(再エネ全体の9.8%)
10月20日(3回目):70万kW(再エネ全体の12%)
10月21日(4回目):118万kW(再エネ全体の19%)
となっています。
今後は出力制御が春や秋に常態化するおそれ
上記で日本初となる計4回の出力制御をご紹介しましたが、今後は春や秋などエアコンや暖房機器の電力消費量が低下する季節に、出力制御が常態化するのでは?といった懸念が高まっています。
こうしたことから、出力制御への対策にも注目が集まり始めています。
出力制御への対策
実際にはじまった出力制御ですが、対策としては以下が考えられます。
自家消費型太陽光発電へシフトする
工場の屋根などに太陽光発電を設置している場合、自家消費型太陽光発電へシフトすることで、出力制御の対象から外れることができます。また、自家消費型太陽光により電気代も削減できるので、経済効果も期待できます。
「蓄電池」に電気をためて出力抑制を回避
蓄電池を導入することで、出力制御中に余ってしまう電気を蓄電池の中に貯めておき、自家消費へ回すなどして無駄なく活用することが可能になります。ただし、産業用太陽光発電で使用する大型蓄電池は高価なため、導入の普及には今後の価格低下が待たれるところです。
出力制御の影響はまだ軽微
2018年10月に国内で初めてとなる出力制御が九州で行われましたが、その影響はまだまだ軽微と言って問題ないでしょう。そのため、「出力制御で太陽光発電の売電が行えなくなる」といった心配は、いまのところ必要ありません。
ただし、今後は出力制御の規模が拡大していくことも考えられます。現時点で関係のない場合や影響がすくない場合でも、今後を見据えるならば「自家消費型太陽光発電へのシフト」や「蓄電池の導入」など、出力制御への対策をしっかりと考えておきましょう。
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