太陽光発電
2023/02/14
太陽光発電の売電ができなくなるって本当?売電の仕組みや自家消費のメリットを解説
結論から申し上げますと、太陽光発電の売電ができなくなることはありません。しかし、一定期間が経過すると、太陽光発電の売電価格が大幅に下がってしまい、売電するメリットが薄れてしまう可能性は高いです。
そこで今回は、太陽光発電の売電ができなくなることについて分かりやすく解説します。売電の仕組みや、自家消費のメリットなども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
太陽光発電の売電の仕組み
太陽光発電システムで発電した電力は電力会社に売電することが可能です。
売電先は複数あり、東京電力や関西電力などの旧一般電力事業者や、電力自由化以降に参入した新電力など、住んでいる場所でサービスを提供している事業者なら自由に選べます。
事業者ごとにサービス内容やキャンペーンは異なりますが、原則として設置してから10年間の売電価格は、どの電力会社を選んでも同じです。
日本は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)を行っており、住宅用太陽光発電の余剰電力の売電価格は10年間固定になります。2023年に太陽光発電システムを設置した場合、売電価格は1kWhあたり16円です。
太陽光発電で発電した電力のうち、30%以上は自家消費すると決まっており、残りの70%以下が余剰電力として売電できます。
例えば、東京電力エナジーパートナーの試算によれば、太陽光発電システム無しの電気代が月額12,548円の家庭で6.7kWの太陽光発電システムを設置した場合、発電した電力のうち35%を自家消費すれば、電気代は約8,242円まで下がります。
そして、残りの65%を1kWhあたり16円で売電した場合、約7,280円の収入を得られるので、実質的な電気代は約1,412円です。
実際の電気代や売電による収益は発電量に影響を受けますが、シミュレーション上では月額12,548円の電気代が、10年間は月額約1,412円まで下げることが可能です。
「太陽光発電で売電できなくなる」という噂の真相
FIT制度は売電価格を10年間固定する制度で、売電が可能な期間を意味している訳ではありません。10年間のFIT制度が終わっても、太陽光発電システム発電した余剰電力を電力会社に売却することはできます。
「太陽光発電で売電できなくなる」という噂は、FIT制度が始まった2009年から10年後の2019年頃に、「FIT制度が終わるので売電ができなくなる」という間違った認識が一人歩きした結果広まった噂です。
ただし、FIT制度が終了すると、売電価格が下がってしまうため、場合によっては売電しないほうがお得と言えます。
FIT制度が終了したあとの売電価格
FIT制度は太陽光発電システムを設置してから10年間は、国が定めた価格で電力会社が余剰電力を購入する制度です。11年目以降は電力会社が定めた価格で売買することになります。
例えば、2023年1月に開始した方は、2033年1月まで1kWhあたり16円で売電することができますが、2033年2月以降は電力会社が定めた価格での売電が可能です。
次の表は、2023年1月末時点での旧一般電気事業者の売電価格をまとめたものになります。
1kWhあたりの売電価格 | |
---|---|
北海道電力 | 8円 |
東北電力 | 9円 |
東京電力エナジーパートナー | 8.5円 |
中部電力 | 7円 |
北陸電力 | 8円 |
関西電力 | 8円 |
中国電力 | 7.15円 |
四国電力 | 7円 |
九州電力 | 7円 |
FIT期間が終了することを卒FITと呼び、卒FIT後の1kWhあたりの売電価格はFIT期間中の売電価格よりも大幅に下落する傾向があります。
売電先は自由に選べるので、ご自身でほかの電力会社のサービスを調べて切り替えることは可能です。そのため、卒FIT後の売電価格が高い売電先に切り替えるという方法も選択肢の1つになります。
ただし、新電力は旧一般電気事業者よりも高く買い取るケースもありますが、条件を満たした場合や、適用期間が決まっているなどしているため、確認が必要です。
旧一般電気事業者でも、新電力でも、太陽光発電システムを設置してから11年目以降は売電価格が下がってしまい、場合によっては売電よりも自家消費したほうが電気代の節約につながる可能性があります。
卒FIT後の売電と自家消費のシミュレーション
東京電力エナジーパートナーの試算では、6.7kWの太陽光発電システムを設置して35%分の自家消費で、電気代が月額約約4,300円節約できます。
残りの65%を1kWhあたり16円で売電した場合の収入は約7,280円ですが、卒FIT後の売電価格1kWhあたり8.5円で売電した場合の収入は約3,867円です。
卒FIT後の売電価格は電力会社によって異なりますが、シミュレーション上では少なくとも1kWhあたり10円以上で売電できないと、売電収入が自家消費の節約分を上回ることができません。
つまり、卒FIT後は余剰電力を売電するよりも、自家消費に切り替えたほうがお得になる可能性があります。
卒FIT後の売電価格を現時点では断言できない
これから太陽光発電システムを設置する方の、10年後の売電価格がどうなっているかは断言できません。
上記の表にある卒FIT後の売電価格は2023年1月末時点での価格です。2023年に太陽光発電システムを設置した方のFIT期間が終了する2033年以降の売電価格は、表よりも下がっている可能性は考えられます。
なぜなら、FIT期間中の売電価格も、次のように年々減少しているからです。
1kWhあたりの売電価格 | |
---|---|
2012年 | 42円 |
2013年 | 38円 |
2014年 | 37円 |
2015年 | 33円~35円 |
2016年 | 31円~33円 |
2017年 | 28円~30円 |
2018年 | 26円~28円 |
2019年 | 24円~26円 |
2020年 | 21円 |
2021年 | 19円 |
2022年 | 17円 |
2023年 | 16円 |
FIT期間中の1kWhあたりの売電価格は10年間で半分以下まで減っています。FIT期間中の売電価格と、卒FIT後の売電価格は意味合いが違うため、卒FIT後の売電価格が将来的に下がるとは限りません。
しかし、昨今の電力会社の経営状況を考えると、売電価格を下げる可能性は十分に考えられます。
卒FIT後は売電よりも自家消費がおすすめ
FIT期間が終了した後は、太陽光発電システムで発電した電力は売電するよりも、住宅で消費する自家消費のほうがおすすめです。そのため、次の住宅機器の導入を検討してみましょう。
- エコキュート
- 蓄電池
上記を順番に解説します。
エコキュート
エコキュートとは、電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす貯湯式給湯器システムのことです。
エアコンの室外機のようなヒートポンプユニットが外気を取り込み圧縮してお湯を沸かし、貯湯タンクユニット内部に貯めておき、リモコンユニットでコントロールします。
お湯を沸かすために空気の熱を利用していることと、電気料金単価が安い深夜にお湯を沸かすため、ランニングコストがほかの給湯器に比べて大幅に安いことが特徴です。
次の表は、同じ湯量を沸かすのに必要な年間ランニングコストを、給湯器ごとに比較したものになります。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
実際のランニングコストは家族の人数やライフスタイルなどによって異なりますが、ほかの給湯器に比べてエコキュートのランニングコストが抑えられているのが分かります。
エコキュートの消費電力はタンクの貯湯容量や稼働する季節によって異なりますが、一般的に1.0~1.5kW前後です。
ほかの家電製品に比べると多いように思えますが、太陽光発電システムの発電量やライフスタイルによっては給電可能な範囲になります。
つまり、エコキュートを設置して、給湯する時間を深夜から日中に切り替えれば、太陽光発電システムの発電によって電力を購入する必要が無くなるので、給湯にかかるランニングコストをゼロにすることが可能です。
蓄電池
蓄電池は、太陽光発電システムで発電した余剰電力や電力会社から購入した電力を蓄えて、必要に応じて給電することが可能な住宅機器になります。
蓄電池があれば、日中の余剰電力を蓄えておき、太陽光発電システムが発電できない夕方から翌朝までの時間をカバーすることが可能です。そのため、エコキュートを日中に動かす必要が無くなり、一日の買電量を少なくすることで電気代の節約にもつながります。
また、蓄電池があれば停電時の夜間でも電力を使用することができるので、万が一の時に安心です。
まとめ
以上が、太陽光発電の売電ができなくなることの解説になります。太陽光発の売電ができなくなることはありませんが、設置してから10年が経過すると、売電価格が大幅に下落する可能性は高いです。
卒FIT後の売電価格を考えると、売電先を変更するか、自家消費に切り替えるなどの対応を検討してみましょう。おすすめは、エコキュートや蓄電池などを購入して、自家消費に切り替える方法です。
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