太陽光発電
2023/08/18
太陽光発電システムが悪天候時に受ける影響は?発電量のシミュレーション結果を解説
太陽光発電システムを設置する際に気になるのは、発電量です。太陽光発電システムで発電した電力は売電できますが、発電量が少ないと売電収入が減ってしまいます。 売電収入の増減は、太陽光発電システムを設置する際の負担にも影響を及ぼす可能性が高いです。
そのため、太陽光発電システムを設置したいと考えている方は、悪天候時の影響について知っておくと良いでしょう。
そこで今回は、太陽光発電システムが悪天候時に受ける影響について解説します。発電量のシミュレーションも行うので、ぜひ最後までご覧ください。
太陽光発電システムは天候に影響を受ける
太陽光発電システムは、太陽光をソーラーパネルで電気に変換して発電する住宅機器です。雨雲に遮られても太陽光は届いているので発電はしますが、発電量が下がる可能性は高いです。
太陽光は主に次の2種類に分かれています。
- 直達日射
- 散乱日射
直達日射は太陽から直接届く太陽光のことで、発電量の損失がほとんど発生しません。一方で、散乱日射は曇りや雨で遮られながら届く太陽光のことで、直達日射よりも発電量が50%~90%程度低下する可能性があります。
直達日射と散乱日射の合計が日射量です。晴天時は直達日射の割合が高く、日射量も多くなる傾向があります。一方で、曇天や雨天では散乱日射の割合が高くなり、日射量が少なくなる傾向があります。
太陽光発電システムの発電量をシミュレーション
太陽光発電システムの発電量は次の計算式で求めることができます。
- 太陽光発電システムの容量(kW)×日射量×損失係数=1日の発電量(kWh)
システム容量とは、太陽光発電システムの最大出力を指しており、ソーラーパネルの枚数や性能、方角などによって変動します。本記事では5kWと定めてシミュレーションします。
日射量は特定地点における光の強さで、過去の観測データを参考にすると良いです。本記事では国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」のデータを参照に、東京都千代田区の日射量を基にシミュレーションします。
損失係数とは、発電する際にロスするエネルギーを指します。太陽光発電システムはすべての太陽光を電気に変えることはできず、幾つかの要素によって数値が変動します。本記事では75%と定めてシミュレーションします。
たとえば、晴天時の日射量が3.73kWh/㎡だった場合、上記の条件に基づいてシミュレーションすると、次のような結果になります。
- 5kW×73 kWh /㎡×75%=13.98kWh
一方で、雨天時の日射量が0.4 MJ/㎡だった場合、上記の条件に基づいてシミュレーションすると、次のような結果になります。
- 5kW×4 kWh /㎡×75%=0.3kWh
実際の発電量は太陽光発電システムの容量や日射量によって変動しますが、晴天時と雨天時では発電量に大きな違いが生じます。
太平洋側と東日本側で平均日射量は異なる
太陽光発電システムの発電量を決める大きな要素は太陽光発電システムの容量と、平均日射量です。太陽光発電システムの容量は予算や性能などを工夫すれば、ある程度の改善が見込めますが、平均日射量は住んでいる地域によって大きな違いがあります。
次の図は、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の日射量マップになります。
(※)出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「NEDO日射量データベース閲覧システム」
図をご覧になるとわかるように、太陽光発電システムを最適な角度で設置した場合の年間日射量は太平洋側に比べて日本海側は少なくなっています。
日本海側の日射量が少なくなる原因の1つに、秋から冬にかけて天候が荒れやすいことが挙げられます。特に冬はシベリアからの寒気が流れ込み、山にぶつかると上昇気流となって雲を発生させると曇天や雪の日が増えていきます。
環境省が発表している「令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書」によれば、日本海側の都道府県の発電量は、太平洋側の都道府県よりも若干ではありますが少ないです。
年間日射量が少ない地域で太陽光発電システムを設置する際は、工夫が必要になると覚えておきましょう。
太陽光発電システムの発電量を増やす工夫とは?
太陽光発電システムの発電量を増やすための工夫は以下の通りです。
- ソーラーパネルの枚数を増やす
- 性能の良いソーラーパネルを購入する
- 太陽光発電システムの方角や角度を検討する
- 太陽光発電システムの汚れを定期的に取る
上記を順番に解説します。
ソーラーパネルの枚数を増やす
太陽光発電システムの容量が大きいほど、発電量も増えていきます。太陽光発電システムの容量はソーラーパネルの枚数と性能によって比例するので、予算に余裕があり、屋根の形状に問題が無ければなるべく多くの枚数を設置しましょう。
性能の良いソーラーパネルを購入する
メーカーや製品によってソーラーパネルの性能は異なります。ソーラーパネルには損失係数とは別に、太陽光を電気に変換できる割合を示す発電効率が設定されています。
ひと昔前のソーラーパネルの発電効率は15%程度でしたが、現在では20%程度に上昇しています。つまり、太陽光発電システムの発電量を増やしたいなら、発電効率が高いソーラーパネルを選ぶと良いです。
太陽光発電システムの方角や角度を検討する
太陽光発電システムは設置した際の方角や角度によって発電量が大きく変動します。最も適切な方角は南で、最適な角度は20度~30度です。
たとえば、同じ地点でも、最も適切ではない北に向けて設置した場合は地域によって異なりますが、発電量が南に向けて設置した場合の65%に低下し、角度を20度以下、あるいは30度以上にすると発電量が最大10%低下する恐れがあります。
ただし、周りの環境や屋根の形状によっては最適な方角や角度に設置できない場合もあるので、太陽光発電システムを扱っている業者に相談しながら決めましょう。
太陽光発電システムの汚れを定期的に取る
太陽光発電システムのソーラーパネルが汚れていると、発電量が下がってしまう可能性があります。そのため、太陽光発電システムは定期的に汚れを取ったほうが良いでしょう。
ただし、太陽光発電システムは特殊な住宅機器のため、素人が触れるのは大変危険です。面倒ではありますが、専門業者に依頼することが望ましいです。
なお、太陽光発電システムに付着する汚れの大半は雨で流れ落ちます。専門業者に掃除を依頼するなら、梅雨が明けて雨で流れ落ちきれなかった汚れを取ってもらいましょう。
太陽光発電システムの発電量は気温にも影響を受ける
太陽光発電システムの発電量は次の計算式で求められます。
- 太陽光発電システムの容量(kW)×日射量×損失係数=1日の発電量(kWh)
計算式の損失係数にはパワーコンディショナーの変換効率のほかに、気温が大きな要素となっています。
実は、太陽光発電システムはパネル表面の温度が高くなると、発電効率が下がるという特徴があります。電力は電流と電圧によって決まりますが、温度が高いと電圧が著しく低下してしまいます。
そのため、太陽光発電システムは日射量が多くなる7月や8月ではなく、4月や5月のほうが発電量は多くなる傾向があります。
7月や8月は日射量が増えるので、4月と5月に次いで発電量が多い時期ではありますが、1年を通じて見ると特別に高くなる時期ではありません。そのため、発電量が多くなると思い込んで消費電力量を増やさないように注意しましょう。
太陽光発電システムに蓄電池は必要?
太陽光発電システムは直達日射の割合が多いほど発電量は多くなりますが、曇天や雨天が続いて散乱日射の割合が増え、全体の日射量が減ってしまうと発電量は少なくなります。
つまり、太陽光発電システムは天気によって発電量が変動する住宅機器です。また、地域によっては年間日射量が少ない場合もあるので、安定した発電量を見込めるかどうかは、太陽光発電システムの容量と天候、環境などの要素が重要になります。
一般的な住宅に太陽光発電システムを設置して運用するなら、容量や環境にもよりますが、天候を気にする必要はありません。発電量が足りない場合は、不足分を電力会社から購入して補えます。
しかし、エコキュートやIHクッキングヒーターなどの住宅機器を導入して、オール電化住宅を目指すなら、太陽光発電システムと蓄電池を一緒に導入したほうが良いでしょう。
蓄電池とは、太陽光発電システムで発電した電力や電力会社から購入した電力などを蓄えて、必要に応じて給電する住宅機器です。
蓄電池があれば、余剰電力を蓄えておき、悪天候で発電量が少ない場合に不足分を補える可能性があるので、電力会社から電気を購入する必要がありません。
オール電化住宅では、季節別時間帯別電灯のような特殊な電力料金プランと契約している場合があります。太陽光発電システムの発電量が十分なら問題ありませんが、不足した場合には電気代が一般家庭よりも余分にかかってしまう恐れがあるので注意しましょう。
まとめ
以上が、太陽光発電システムが悪天候時に受ける影響の解説になります。太陽光発電システムは日射量によって発電量が減る可能性があり、同じ地点でも天候によっては発電量が90%近く低下することも珍しくありません。
そのため、年間日射量が少ない日本海側は太平洋側に比べると発電量がやや少ない傾向が見られます。ただし、発電量は日射量だけでなく、太陽光発電システムの容量によってはある程度改善されます。
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