蓄電池
2021/03/06
POWER DEPOとは?見守りサービスや特徴について解説
POWER DEPOは住友電工が提供している家庭用蓄電池です。住友電工は電力線や通信ケーブルなどを提供しているメーカーですが、最近では再生可能エネルギー分野にも進出をしており、注目を集めています。
そこで今回は、POWER DEPOシリーズについて解説します。POWER DEPO(R)Ⅲの見守りサービスや特徴についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
POWER DEPO(パワーデポ)とは
POWER DEPOとは住友電気工業が開発した家庭用蓄電池のシリーズです。記事執筆時点だと、2017年5月に販売された、家庭向けリチウムイオン蓄電システム POWER DEPO(R)IIIが最新になります。
以前はスタンドアロン型の蓄電器だったPOWER DEPOシリーズですが、POWER DEPO(R)Ⅲは太陽光発電システムと接続できる単機能型の蓄電池のため、販売された当時は注目を集めました。
2017年に販売されたPOWER DEPO(R)IIIですが、定期的にバージョンアップを施されており、2019年にはHEMSセットの販売、2台同時接続機能の搭載など、スペックが向上しています。
本記事では主にPOWER DEPO(R)Ⅲについて解説を致します。
家庭用蓄電池とは?
家庭用蓄電池とは、自宅に設置できる蓄電池で、主に太陽光発電システムで発電した電力を蓄電することができます。
基本的に太陽光発電システムは家庭用蓄電池が無くても設置・運用することは可能です。しかし、蓄電池が無いと自家消費(自宅で消費する)しきれなかった電力は捨てなければなりません。
蓄電池があれば、消費しきれなかった電力を蓄電し、朝や夕方といった発電効率の低い時間帯をカバーし、非常時に給電して日常と同じように生活を過ごせるようになります。
POWER DEPO(R)Ⅲのスペック
POWER DEPO(R)Ⅲ(PDS-1500S01)のスペックは次になります。
主要構成 | ||
---|---|---|
型番 | PDS-1500S01 | |
蓄電池 | 種類 | リチウムイオン電池 |
定格蓄電容量 | 3.2kWh | |
定格電圧 | DC103.6V | |
交流出力容量 | 2.7kWh | |
充電時間 | 約3時間(25℃時) | |
入力 | 系統入力 | ・定格電圧 : AC202V(単相3線に接続) |
PV自立入力 | ・定格電圧 : AC101V(単相2線) | |
出力 | 系統連系 | ・定格電圧 : AC202V(単相3線に接続) ・定格出力 : 1000W/2台設置(増設)時、2000W ・定格出力可能時間※3 : 約3時間(25℃時)) |
自立運転 | ・定格電圧 : AC101V(単相2線) ・定格出力 : 1500W ・定格出力可能時間: 約2時間/2台設置(増設)時、約4時間(25℃時) |
|
電力変換効率 | 95.5% | |
環境 | 動作温度 | 周囲温度 -10℃~40℃ |
保管温度 | 周囲温度 -20℃~40℃ | |
防水仕様 | IP44相当 | |
設置場所 | 屋外/屋内 | |
構造 | 外形寸法 | 幅530×奥行300×高さ650mm |
重量 | 約55kg | |
騒音 | 約40db以下 | |
リモコン | ||
型番 | RCS-1500S000 | |
外観 | 液晶(バックライトあり)、タッチパネル・操作ボタン | |
環境 | 動作温度 | 周囲温度 -10℃~40℃ |
設置場所 | 屋内 | |
構造 | 外形寸法 | 幅100×奥行23.2×高さ130mm |
重量 | 約230g(取付け金具含む) | |
外部通信 | 通信機能 | 無線LAN(IEEE802.11b/g/n)、2.4GHz |
通信プロトコル | ECHONET Lite(Ver.1.12、APPENDIX I) |
このスペック表だけを見ても、POWER DEPO(R)Ⅲがどのような蓄電池なのか、ほかのメーカーの蓄電池との違いは分かりづらいです。蓄電池のスペックや選び方で重要になるのは、次の5つになります。
- 仕様
- 種類
- 容量
- 価格
- 寿命
POWER DEPOの場合、まとめると次になります。
仕様 | 内容 |
---|---|
POWER DEPO(R)Ⅲの仕様 | 特定負荷型 |
POWER DEPO(R)Ⅲの種類 | 単機能型 |
POWER DEPO(R)Ⅲの容量 | 3.2kWh (6.4kWh) |
POWER DEPO(R)Ⅲの価格 | オープン価格 |
POWER DEPO(R)Ⅲの寿命 | 10年 |
POWER DEPO(R)Ⅲの仕様
蓄電池には、停電時に特定のコンセントや部屋にだけ電力を送る「特定負荷型」と、すべてのコンセントや部屋に電力を送る「全負荷型」という2種類の仕様があり、POWER DEPO(R)Ⅲの仕様は特定負荷型です。
特定負荷型のため、停電時は事前に設定したコンセントや部屋にだけ電力が送られます。例えば、台所を設定しておけば冷蔵庫や冷凍庫は停電しても動きますが、リビングのテレビや明かりは点かないということになります。
つまり、特定負荷型だと停電時の生活にある程度の制限が発生するのです。また、POWER DEPO(R)Ⅲの最大出力は100Vのため、200Vが必要な電子レンジやIHクッキングヒーターを動かすには出力が足りません。
ただし、POWER DEPO(R)Ⅲは2台接続して使用できます。2台接続した場合の出力は200Vになるため、停電時でも電子レンジやクッキングヒーターを使用することが可能になります。
POWER DEPO(R)Ⅲの種類
- スタンドアロン型…蓄電池単体で稼働す
- 単機能型…蓄電池用のパワーコンディショナがセットになっている
- ハイブリッド型…蓄電池用と太陽光発電システム用のパワーコンディショナがセットになっている
POWER DEPO(R)Ⅲは単機能型のため、蓄電池用のパワーコンディショナがセットになっています。パワーコンディショナとは、太陽光発電システムなどで発電した電力を、住宅で使用したり、蓄電したりするために変換する機械で、太陽光発電システムと蓄電池にそれぞれ必要になります。
つまり、POWER DEPO(R)Ⅲを導入するなら、太陽光発電システム用のパワコンが別途必要ということになります。すでに太陽光発電システムを導入している、あるいはこれから導入するが、ハイブリッド型以外の蓄電池を探している方におすすめです。
POWER DEPO(R)Ⅲの容量
蓄電池の容量とは、蓄電池内部にどれだけの電力を蓄えられるかという数値で、数値が多いほど多くの電力を貯めることができます。POWER DEPO(R)Ⅲは3.2kWhになります。
2021年時点で蓄電池の容量は5kWh~8kWhが主流となっているため、POWER DEPOの容量はやや少ないといえます。
容量が多いほど停電時に多くの家電製品を長時間使用することができますが、POWER DEPOの容量だと難しいです。
例えば、停電時に携帯電話の充電器、冷蔵庫、デスクトップパソコン、液晶テレビを使ったとします。それぞれの1時間あたりの消費電力は次とします。
- 携帯電話の充電器…15W
- 冷蔵庫…300W
- デスクトップパソコン…200W
- 液晶テレビ…50W
1時間あたりの消費電力を合計すると565Wになり、仮に6時間使用すると、消費電力の合計は3,390W=3.3kWhになります。POWER DEPO(R)Ⅲの蓄電容量3.2kWhを超えてしまう計算になります。
公式ホームページでも、合計300Wの家電製品を約9時間まで連続使用可能となっており、停電時に普段と同じ生活を過ごすのは難しいです。
ただし、POWER DEPO(R)Ⅲは2台接続することで出力だけでなく蓄電池の容量も増やせます。合計6.4kWhの容量があれば、300Wの家電製品を約17時間も連続使用可能になり、停電から復旧されるまで電力が尽きることは少なくなります。
POWER DEPO(R)Ⅲの価格
POWER DEPO(R)Ⅲの価格はオープン価格です。オープン価格とは、メーカーが希望小売価格や定価を定めず、小売業者や施工業者に一任する価格のことです。
2021年2月時点でインターネットショップなどでのPOWER DEPO(R)Ⅲの価格は約65万円です。蓄電池の本体相場が80万円~170万円に比べると安いといえますが、次の2つが理由だと考えられます。
- 蓄電池の容量が少ない
- 2017年に登場した単機能型
POWER DEPO(R)Ⅲの容量は3.2kWhと平均的な蓄電池と比べると少ないです。また、登場したのが2017年とやや古く、蓄電池用のパワーコンディショナしかセットになっていない単機能型です。
最新の蓄電池は容量が5.0kWh~8.0kWhで、太陽光発電システム用のパワーコンディショナもセットになっているハイブリッド型が主流です。そのため、100万円からという製品も珍しくありません。
これから太陽光発電システム用の蓄電池を購入するならPOWER DEPOを購入するメリットは少ないですが、すでに太陽光発電システムを設置している住宅だとパワコンもあるため、POWER DEPO(R)Ⅲを購入するのも選択肢の一つです。
POWER DEPO(R)Ⅲの寿命
蓄電池の寿命は1充電・1放電を1サイクルと数えます。POWER DEPO(R)Ⅲのサイクル数は4000サイクルで、1日1サイクルのため10年~11年が寿命の目安となります。
ただし、あくまでも目安のため、設置される環境や使用方法によっては10年以下で寿命が尽きる可能性もあります。
なお、蓄電池の寿命とは、「蓄電池が故障する」、「蓄電池が充電できなくなる」ということではありません。
蓄電池の寿命は「出荷時の蓄電性能を100%としたときに、一定まで蓄電性能が下がるタイミング」のことを指しており、POWER DEPO(R)Ⅲの場合は4000サイクルがタイミングになります。
POWER DEPO(R)Ⅲのスペックのまとめ
POWER DEPO(R)Ⅲのスペックをまとめると「蓄電容量は少ないが、販売価格が安く、すでに太陽光発電システムを設置している方におすすめ」となります。
特定負荷型で、蓄電容量が3.2kWhのため、停電時に使用できる家電製品の種類と数が限定されます。しかし、POWER DEPO(R)Ⅲを2台繋げて使用すると、出力が向上し、蓄電容量も倍増するため、停電時でもある程度の家電製品を動かせるようになります。
ハイブリッド型の蓄電池は1台でも100万円以上するのも珍しくなく、蓄電容量が増えると本体価格も増加する傾向にあります。蓄電容量が6.4kWhで130万円(2台)というのは、コストパフォーマンスの観点から言えばそれほど悪くありません。
POWER DEPOの見守り機能について!
POWER DEPO(R)Ⅲには設置後も安心な24時間管理のオンライン見守りサービスがあります。
設置後も正常に稼働しているかを常に確認し、故障した場合は収集したデータから原因を素早く分析し、解決に役立てます。これら見守りサービスは無料となっていて、オプション料金や入会の手続きが無いのも嬉しいポイントです。
また、家庭内の電力消費量や生成量を見やすくするHEMSコントローラと無線通信可能で、充放電電力や、蓄電池以外のエネルギー機器・家電製品の消費電力など、各種電力使用状況をスマートフォンやパソコンから確認ができます。
ただし、これらの機能は見守りサービスとは別の機能で、HEMSが追加導入された機種でないと利用できません。
POWER DEPO(R)Ⅲの特徴
POWER DEPO(R)Ⅲには見守りサービス以外にも次のような特徴があります
- 狭小敷地に設置可能なコンパクトサイズ
- 業界でもトップクラスのエネルギー効率
- 2種類の運転モードで太陽光発電システムを効率よく運用
- 2台設置で出力と容量を倍増
それぞれ、順番に解説します。
狭小敷地に設置可能なコンパクトサイズ
POWER DEPO(R)Ⅲは非常にコンパクトで、設置できる場所を選ばない蓄電池です。本体のサイズが530mm×650mm×300mmとエアコン室外機の3分の2程度しかなく、屋内や戸建てのベランダ、マンションへの設置がしやすいサイズです。
フィルター交換などの作業スペース分を含めて、780mm×660mm ×400mmの空間があればどこでも設置できます。また、コンクリート基礎工事が不要なため、設置から太陽光発電システムとの接続まで半日程度で終わるので、導入しやすいというメリットもあります。
業界でもトップクラスのエネルギー効率
POWER DEPO(R)Ⅲは業界でも最高クラスのエネルギー効率を誇っております。太陽光発電システムで発電した電力は住宅や蓄電用に使用できるように変換する際に、ある程度のロスが発生しています。
POWER DEPO(R)Ⅲは独自の電力変換方式を用いており、総合エネルギー効率88%と高いエネルギー効率を実現しています。
2種類の運転モードで太陽光発電システムを効率よく運用
POWER DEPO(R)Ⅲには通常モードとグリーンモードの2種類があります。
通常モードは経済性重視のエコノミー設定で、充電を割安な深夜時間帯におこない、放電を電力使用量ピークの日中におこないます。電気代が安い時間に買電することで、日中の売電量を減らし、電気料金の節約が可能になります。
グリーンモードは環境を重視したエコロジー設定で、太陽光により発電した電力の余剰分を蓄電して夕方や夜に使用できるようにコントロールします。
蓄電池があることで太陽光発電システムが発電した電力を無駄なく運用することが可能になり、POWER DEPO(R)Ⅲは2つのモードを使い分けることでより賢く運用できます。
2台設置で出力と容量が倍増
POWER DEPO(R)Ⅲは2台設置することで、出力と容量を倍増することができます。単機能型ならではの機能で、出力が倍増することで停電時でも電子レンジやIHクッキングヒーターといった高出力な家電製品を動かすことができます
また、2台設置することで容量が増えると、大規模な太陽光発電システムを設置することも可能です。
POWER DEPO(R)Ⅲの注意点
POWER DEPO(R)Ⅲの注意点は次になります。
- 最近の蓄電池に比べるとスペックが低い
- 蓄電池の寿命や補償が10年と短い
それぞれ、順番に解説します。
最近の蓄電池に比べるとスペックが低い
POWER DEPO(R)Ⅲは2017年に登場した蓄電池のため、最新の蓄電池に比べると出力や容量、機能の面で劣っています。2台購入すれば最新の蓄電池と比べてもそん色ないスペックになりますが、余分なコストとスペースが掛かってしまいます。
ただしスペックが低い分、蓄電池としての価格は安く、最新の蓄電池を購入するよりもお得ではあります。
蓄電池の寿命や補償が10年と短い
POWER DEPO(R)Ⅲの寿命やメーカー保証は10年となっています。蓄電池の種類にもよりますが、最近の蓄電池は寿命が15年というのも珍しくないため、購入する際は注意が必要です。
POWER DEPO(R)Ⅲの補助金
POWER DEPO(R)Ⅲの補助金は2種類あります。
- 地方自治体の補助金
- 一般社団法人環境共創イニシアチブの補助金(終了)
それぞれ、順番に解説します。
地方自治体の補助金
蓄電池は住んでいる地方自治体にもよりますが、補助金の対象となります。例えば、東京都では電池助成金(自家消費プラン事業)として上限60万円の助成金(補助金)を出しています。
都道府県レベルだけでなく、市町村レベルでも補助金は出ており、千代田区では最大29.7万円の補助金が支給されます。東京都の補助金と併用すれば、最大89.7万円の補助金になります。
ただし、すべての蓄電池が対象という訳ではありません。補助金ごとに給付できる要件があり、POWER DEPO(R)Ⅲの場合は少なくとも東京都の補助金の対象となっています。
蓄電池を購入する際に補助金を利用しようと考えているなら、事前に地方自治体の窓口に連絡して確認を取りましょう。
一般社団法人環境共創イニシアチブの補助金(終了)
POWER DEPO(R)Ⅲは一般社団法人環境共創イニシアチブの補助金の対象でした。「平成30年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の対象となっており、2019年2月8日までに申し込みをすると上限30万円までの補助金が支給されました。
2021年2月時点では終了している補助金で、平成30年度以降支給されていない補助金になるため、今後もう一度実施されることはないかもしれません。
しかし、一般社団法人環境共創イニシアチブは環境に良い家電製品の導入に補助金を出している団体で、「平成30年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」とは別の補助金を毎年支給しています。
地方自治体の補助金と併用が可能なため、一般社団法人環境共創イニシアチブを含めた団体の補助金もチェックするようにしましょう。
まとめ
以上が、POWER DEPOの解説になります。POWER DEPOは住友電工の家庭用蓄電池システムで、2017年に登場したPOWER DEPO(R)Ⅲが最新型になります。非常にコンパクトなサイズとなっていて、設置する場所を選ばないのが最大の特徴です。
2017年当時は業界最高の発電効率で、太陽光発電システムで発電した電力を無駄なく運用できます。しかし、最新の蓄電池に比べるとスペック的に劣っている面があり、主に太陽光発電システムをすでに導入している方におすすめの蓄電池です。
エコ突撃隊では蓄電池を始めとしたオール電化製品の施行を数多く手掛けております。メーカー正規品を低価格でご提供しており、創業から22年で総施工数25000件を突破しているという実績もあります。
蓄電池に関するご相談は、ぜひエコ突撃隊までご連絡ください。
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